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  • トリモダリティ治療の総本山、外部照射

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2015年 8月11日(火)12時06分5秒
  • 編集済
 
トリモダリティ

 トリモダリティとは3つ(トリ)の治療(モダリティ)を併用する治療である。小線源治療、外部照射、ホルモン療法を併用する。その特長は、前立腺のみならず、前立腺周囲まではみ出して治療が可能なことである。手術ではこれが容易ではない。しかも小線源による内部照射と外部照射の合わせ技で、他の放射線治療では得られない高線量を安全確実に得ることができる。その結果きわめて高確率で癌細胞を死滅させる。このことがハイリスク前立腺患者の優れた治療成績につながっている。もちろん確実な施術が行われることが前提ではある。
 *外部照射で使用するX線は硬X線と呼ばれる。また小線源治療で使用する線源が放射するX線はγ線と呼ばれる。共に人体を透過するが、前者は人体を貫通して作用するのに対し、後者は人体で急速に吸収され線源から数ミリ程度までしか作用を及ばさない。従って外部照射では貫通してくる正常細胞へのダメージを抑制するため、線量が限られてくる。小線源では線源近傍のダメージのみ抑制すればよいから比較的高線量を得やすい。現在、それぞれの治療で得られる最大線量は、外部照射(IMRT)160Gy、小線源のみ210Gy、両方併用230Gy程度になっている(BED換算)。

S医科大の外部照射治療

 6/22(月)~7/27(月)に渡り、入院にて1.8Gy×25回の外部照射治療を受けた。これは小線源治療に上乗せするものであるが、小線源治療が及ばない部分の癌を予防するのに必要な標準的線量でもある。そして私のトリモダリティ治療の総処方線量は以下である。これはマウント・サイナイのストーン先生が限局癌をコントロールするのに必要な処方線量とした、ハイリスク≧220Gy、低中リスク≧200Gyを余裕でクリアする値である。安全に照射できる範囲で、これ以上望むのは難しいらしい。同時に入院していた他の二人も、当然基準値をクリアしている。
 BED:231.3Gy (内 小線源線量はD90:139.0Gy、[右精嚢5本、前立腺43本、前立腺体積16cc])
 *BED:生物学的実行線量(異なる照射法でも比較可能な線量とするため、生物学的効果  を勘案して実効的線量に換算した量)
 *上記を外部照射と小線源に分けてBEDで表すと、それぞれ85.5Gy+145.8Gy=231.3Gyと  なる。次の眞さん紹介の計算がぴったり合致する。
  「外照射に関しては、他のサイトで調べた結果、以下の計算式でいいようです。
  「BEDの参考数値」で検算済。
   BED=nd(1+d/(α/β))
   n: 照射回数 d: 1回線量
   α/β=2」
  「D90 は前立腺体積の90%に照射されている線量とのことです。
   BED = (R/λ){1+[R/((μ+λ)(α/β))]}
   R=D90*λなので、上記の式は以下のようになります。
   BED = D90{1+[D90*λ/((μ+λ)(α/β))]} = D90+D90*D90*λ/((μ+λ)(α/β))
   ここで、次の値をいれます。
   D90 =120  λ= 0.693/60*24 (hに換算) μ= 0.693 α/β=2」

 照射装置はVARIAN 社製のNovalis TXというリニアック高エネルギーX線照射装置である。この装置はマルチコリメータ(絞り)を有し、IMRTも可能なものであるが、実際の照射は、身体の背面、右横、前面、左横の順に4方向から照射する3次元原体照射となる。照射時間はそれぞれ6s、8s、4s、7sといった具合だ。自分の場合、全骨盤照射と言って骨盤内のリンパ節転移をマージする照射である。同じトリモダリティでもリンパを照射しない場合もあり、その時は照射範囲が異なり副作用の及ぶ範囲も異なる。また小線源と外照射の照射比率に自由度が生じるので、照射回数も異なることがある。
 治療は朝一番になることが多いが、午後になることも時々あった。その場合は部屋で待機しなくてはならない。呼ばれそうな時間の前にT字帯を装着し、排尿と排便を済ませる。特にガス抜きは大切だ。その後は少し時間的余裕がないと患部の形状が安定しないらしい。もちろん治療前に位置をX線CTでチェックしているので、うまく排泄できていなくとも再度時間を置いて行うので心配は要らない。自分は一度も不合格にならなかった。治療室に呼ばれ、T字帯一丁になり、人型に横たわり、3次元3軸微動調整を入念におこない、照射を済ませても10分程度である。
 診察は毎月曜日に放射線科、また入院中に2度木曜日に泌尿器科で受ける。治療やスケジュールの説明と身体状況のチェックである。

外部照射の副作用

 何と言っても気になるのがこれであろう。これは個人差も大きいので何とも言えないが自分のケースを述べる。
① 排尿痛
 会陰部の尿道の炎症である。外照射が始まる時点では、小線源治療の影響で尿勢が弱り、排尿時に少し沁みる程度であった。治療が進むにつれて痛みが着実に増してくる。少しでも尿道に尿が到達すると痛みが尿意を誘発する。それが痛みを増してさらに悪循環となる。これが尿切迫だ。排便と重なるとさらに促進される。尿道を尿が通る瞬間、思わずウッと唸ってしまう・・・。この症状は照射が終了しても1週間くらいは昂進する。前もって用を足すようにしないと1時間も持たない。身体を動かして患部に刺激を与えるとさらに危うくなる。しかし照射終了後1週間を過ぎる頃、急速に改善に向かう。その後は少しづつ良くなる。
② 排便
 これは便秘、下痢、無症状など人によって様々である。自分は照射後2~3日から下痢とガス便に悩まされた。4~5回/日といったところだ。それとともに下腹に重苦しさが生じ、身体に軽い脱力感を感じた。当然食欲も減退する。照射後3週間目くらいから下痢になる人は多いが、2~3日で始まる人は珍しい。先行きが危ぶまれたが、排尿痛と異なり目立って悪化することはなかった。下痢は照射ダメージを修復する生体反応の一種ではないかと思う。これとは別に照射で腸が拘縮する感じがする。これが腸の活動を悪くし様々な不調を生じさせているのではないかと思う。照射を止めて1週間ぐらいすると、この拘縮が緩んで気持ちよく排便できるようになった。お腹の重苦しさも楽になってきた。その後は、下痢は収まる傾向だが4~5回/日の軟便は続く。
③ 前立腺の腫れ
 これが腫れてくると走る時など患部に響くようになる。酷くなるとシンボルが腫れぼったくなってくる。この状態になると排尿痛が強くなる。自分の場合残尿感はないが、尿勢はさらに弱く切迫感が強くなった。この腫れが収まると排尿痛は急速に改善してくる。
④ 腰痛&皮膚炎
 照射終了頃から臀部に近い左腰に重苦しい鈍痛が生じるようになった。この症状は以前からあったが、小線源治療後かなり改善していた。照射の直接の影響というより、前立腺治療の進行にともなう患部の変化が間接的に影響しているのかも知れない。
 また照射終了まで気づかなかったが、終了後1週間ほどすると尾底骨周辺の皮膚がめくれた。そしてその周辺にひりひりする痒さが出ている。またその辺りがまるで日焼けのようにうっすらと変色し、それが下腹部側にも生じている。肛門付近に小さなイボ状のものができている。摘めるくらいで、かつ結構硬い。以前からあったのだろうか?皮膚と内皮の境目あたりにできている。
⑤ ハプニング
 照射が残すところ3日となった昼食後、左脇腹に鈍痛を感じた。一旦収まるが夕刻に再び腹痛となり不安が過ぎる。そこは入院の良いところで、早速先生に回診していただく。放射線性大腸炎と思われるが重篤ではないので様子を見ることになった。結局翌日まで計5回の間欠的鈍痛を覚える。特長は左脇腹から会陰に至る鈍痛、男の大事なところを打ちつけたような痛みなのだ。背中にも凝りのような痛みが出る。それが間欠的に繰り返し、時間の経過と共に痛みのポイントが少し下腹に移った。翌日午後CTで検査をした。そして夕刻K先生が病室に来られ、原因が分かったと言うのである。何と腎臓結石が尿管に下りて痛みを誘発しているという。その割には痛みが少なくて助かったらしい。
 腎臓結石の事は想像もしなかった。痛みのポイントが下腹に移動して、その後尿道に痛みが出たことからも、その症状には合点がいく。放射線傷害ではなかったので胸をなで下ろしたが、新たな悩みを背負い込んだことになる。治療のストレスやお腹の不調、身体活動低下による飲み水の減少などが引き金になったものと思われる。その後発作はないが、1週間ほど軽い鈍痛は残った。

照射終了2週間後の症状

 照射終了後1週間で結石の症状はなくなった。排尿痛は1週間後に急速に改善し、唸るほどの痛みはなくなる。その後痛みは少し残り、切迫感も少しある。
排便は終了1週間後に腹に感じる重苦しさが改善し、それとともに食欲も改善。便回数以外は以前と変わらない。そして昨日くらいから軟便も解消する気配が出てきている。
腰痛と皮膚炎は退院後に出てきた症状であるから未だ改善の兆しはないが、悪化もしていない。

治療の効果

 治療の効果を述べるのは時期尚早であるが、これまで述べて来たエイリアンが暴発しそうに感じた初期症状がどのように変化したか述べる。症状は小線源治療ですでに格段に改善していたが、未だ何かの拍子にそれを感じることがあった。ところが外部照射の中盤くらいからほとんど感じなくなった。入れ替わりに治療ダメージとして感じる症状は増加した。しかしそれはシンプルな感覚であり明らかに複雑に入り組んだ初期症状の感覚とは異なる。自分の初期症状とは以下のようなものである。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/4214


入院生活

 5週間の入院生活は短くはない。それがどのようなものであったか紹介する。まず以下は代表的な1日のスケジュールである。
6時 起床。散歩。病院は稀に見る自然環境に包まれているので、美味い空気を吸って散歩が可能。
7時 珈琲サロン。Yanbarukuinaさん、ヤマさん、キットコンディさんらとともに楽しい会話の一時を過ごす。
8時 朝食 パン、牛乳、果物
9時 照射
10時 検温、血圧測定、問診
12時 昼食 ごはん、鯖塩焼、こんにゃく煮物、ナムル
15時 バドラケット素振り 体操
17時 入浴またはシャワー
18時 夕食 ごはん、あんかけ豆腐、里芋、オクラ
21時 消灯
22時 就寝
 これではご気楽な入院生活に見えるし、事実そうに違いないのだが、身体に不調を伴っているのでそれ程でもない。空いた時間はベッド上での体操や昼寝、読書、TV、洗濯、買い物、そして会話などで過ごす。様々な病気の人との会話は病気への対処を考える上で非常に参考になる。
 病院には生活に必要なものがいろいろ備わっている。給水、給湯、給茶器、電子レンジ、洗濯乾燥機、冷蔵庫、TVなど。また院内にはコンビニ(ローソン)、郵便局、理容室、ヤマト宅配便、食堂、花屋などもある。さらに重宝したのが院内図書である。私はここで10冊程度の本を借り読破した。ここにはパソコンが設置されているので30分程度までならネット検索も可能だ。
 近隣まで足を伸ばせば、大学の学食やグラウンド、県立図書館、ショッピングモール、高速道路のSA、公設市場、公園、森林散歩コースなど2~3km圏内にある。お腹の具合が良くなかった自分は、生姜、エシャレットなどの香味野菜、発酵食品、果物などを買いによく出かけた。
 休日は体力が許せば行くところに事欠かない。S県は自然に恵まれた歴史の宝庫である。I寺、E寺、M寺、N浜、H城、O八幡など見てまわった。もちろん足を伸ばせばK、O、N県方面も日帰りで行くことができる。ただし排尿、排便は要注意だ。危うい場面もなくはなかったが、自分はすべての休日を外出で過ごした。


 今回の治療費は限度額を除くと全部で3万円足らずであった。日本の医療制度に感謝するのみである。そしてトリモダリティ治療としては3ヶ月余りのホルモン治療(アジュバント)を残すのみとなった。後は運を天に預けて天命を待つのみである。

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<外部照射後1ヶ月の症状>

① 排尿痛
痛みはあまりないが未だ刺激は残っている。従って切迫感も少しある。照射後1週間目くらいにピークを迎えた夜間排尿回数は5~6回から徐々に減少して2回である。
② 排便
照射後3日後くらいから体感的には改善していたが、下痢やガス便、最頻時6回くらいの便回数などの症状は少しずつしか改善しない。下痢やガス便は減少し、通常便になりつつあるが2~3回/日となっている。
③ 前立腺の腫れ
ほぼ収まっているが、枯れた感じで残存している。
④ 腰痛&皮膚炎
掻いても掻いても痒いという感じの皮膚炎である。3週後あたりから少し収まってきたが、未だに掻くと痒い。皮膚の薄黒い焼け?は、むしろ少し濃くなっている。腰の鈍痛は相変わらずであるが、改善の兆しがあるような気がする。肛門にできた疣状のものは、何時の間にか半分くらいに縮小し、かつ以前より柔らかくなっている。これってやはり照射と関係しているようだ。

これら症状の改善は比較的順調な方かもしれない。どうやら外部照射による急性期の症状は収まりつつあるらしいが、放射線障害を甘く見ることはできないという実感はある。現在は小線源によるダメージが緩和される過程にあるのか、それとも外部照射のダメージがさらに収まる過程にあるかの判断はつかない。 IMRT治療の患者さんなどの症状変化にも興味があるところである。

放射線照射とは関係ないが、ビカルタミドとゾラテックスのホルモン治療も半年を越して、その副作用による症状も少し強くなってきている。たとえばホットフラッシュを感じやすくなったこと。関節周辺に微妙に痛みを感じるようになってきたこと。また筋力の衰えによるバテ具合が強くなってきたことなどである。だがゴナックスの時の症状にくらべれば軽い症状であることは変わりない。

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<外部照射後2ヶ月の症状>

照射後2ヶ月後の症状は1ヶ月後とあまり変わらない。改善していることは間違いないが微妙な変化となる。

① 排尿痛
排尿痛はないが未だ少し刺激はある。従って微妙に切迫感があることがある。
夜間俳尿は1回、たまに2回である。
② 排便
ほとんど通常便になっているが若干安定感に欠ける。1~3回/日。ガスも通常より多い。ガスの臭いも加齢臭がまだ強い。以前の下水臭はほとんどない。
③ 前立腺の腫れ
未だ残っている。その部分から下腹周辺に重い不快感を感じることがある。これは腰の鈍痛とも関連しているようだ。
④ 腰痛&皮膚炎
皮膚の痒みはかなり収まってきた。肌の黒ずみは微妙に改善か? 最も痒みを感じていた尾底骨直近の左脇の皮下に小さな膨らみを発見。腰の鈍痛は相変わらずであまり変化なし。肛門にできた疣状のものは、ほとんど消失した。やはり照射の影響でできたものらしい。

ホルモン治療の副作用はさらに少し強まっている。頭のふらつきを感じることが増えてきた。また血圧が不安定に高くなる。

照射後1ヶ月を過ぎたころ、排尿の調子が大分改善したのでユリーフを中止してみた。ところが、4~5日もすると朝の排尿が途切れ途切れになり、ユリーフ復活。復活後はその日から快調な排尿に・・・。

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<外部照射後3ヶ月の症状>

外部照射後3ヶ月になるが、この一月は目立った変化がない。尿道の炎症感は微妙に良くなった気がするが、腸の具合は相変わらずで、食後のガスが多く、下痢はほとんどないが排便も不安定である。腰の鈍痛も相変わらずで、前立腺周辺の重苦しさも変わらない。ただその重苦しさは微妙に改善しているかもしれない。

左あばらが時折痛痒く感じられる。この部分は当初転移が疑われた部分に近い。ホルモン治療の影響は緩和せず、ホットフラッシュや頭のふらつき、バテバテの体力など改善なし。降圧剤を服用しているにも関わらず、少し高血圧気味になっている。コレステロール値も少し高い。もちろん体重も中年太り全盛期に近い。間食もしないし、食事量も減っているのに何故だろう? 最近気づいたのが、脇の毛の喪失である。う~ん何時抜けたのだろう・・・?

最近自転車に乗ってみた。漕ぐたびに前立腺に堪えて5㎞以上乗ることができなかった。思った以上にダメージが残っている。