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「前立腺ガン 最善医療のすすめ」

 投稿者:ひげの父さん  投稿日:2013年 6月10日(月)13時38分12秒
  通報 編集済
  藤野邦夫さんの新著「前立腺ガン 最善医療のすすめ」を読んでみました。
ズバリ言うならこれはお勧めですね。
泌尿器科医の著作では、もろもろの事情があって、
治療法の良し悪しに関してはなかなかここまではっきり書く事はできないでしょう。
翻訳を生業とし、前立腺がん関係の本の翻訳や著作もしてこられ、これまでに培われた専門医との繋がりもあり、
なおかつご本人も前立腺がんの体験者という立場であればこそ、ここまで踏み込むことが出来たのだと思います。
前立腺がんの治療では、粒子線治療(先進医療)やロボット支援手術(保険適用となった)が、
その華やかさもあって最新治療として注目されることが多いのですが、真の最新治療というものは、
案外静かに隠れているもので、それをこの本で見つけることができるのではないでしょうか。

まず始めに、普通はなかなか治療がやっかいだと思われる「高リスク」の前立腺がん患者10名の治療例が出てきます。
ほぉ~と驚かれるような事例もあるかも知れません。
かなりのハイリスクでも「トリモダリティ」と呼ばれる3つの(トリ)治療法(モダリティ)の組合せ、
すなわち「小線源療法(LDR or HDR)+外照射+ホルモン療法(長期 or 短期)」が多く用いられていることに
注目すべきでしょう。
ただ、ちょっと厳しい目で見ると、その多くはまだ経過年数が不十分な途中経過であって、
医学的見地からはかなり不十分なデータと言わざるを得ないわけです。
引用例として弱みが感じられるのは否定できないと思うのですが、
小線源療法が日本より早くから始まっている欧米では、
高リスク症例に対する「トリモダリティ」はすでに10年以上の実績があり、
実質的にはそれらを複合して考えても良いのではないでしょうか。
国内における長期的なエビデンスはまだまだ十分とは言えないものの、
小線源療法および「トリモダリティ」の到達点としては、
ほぼ欧米に追いついてきたというのが、今の日本の現状ではないでしょうか。

患者として気になることは、小線源療法をやっている施設ならどこでもこのような
「トリモダリティ」が受けられるかということですが、
それはまだ一部の医療機関に限られると思っていいでしょう。
外照射と小線源治療のレベルが共に一定の水準に達しており、
泌尿器科と放射線治療科の連携も緊密にとれている病院ということになると、
なかなか傍からは見つけにくいですよね。
こうした技量を持つ病院をリストアップしてお知らせできればと思うのですが、さてどうなりますか・・・

「リスク分類」については、私も「前立腺がんガイドブック」 http://pros-can.net/01/01-1.html
などで、かなり早くから(2006年)その考え方に基づいた解説してきました。
6年ぶりに改訂された「前立腺癌ガイドライン2012」でも「リスク分類」の解説がなされるようになりましたが、
この本でも「リスク別の治療法」という構成が取られています。
生存率ということばかりを考えると、どの治療法も大きな差がなく、結局副作用を秤にかけて決めることが多いのですが、
非再発率に焦点を当てると、最善の治療法に辿り着く道筋は、自然に浮かび上がってきます。
非再発率を重視すれば、手術(たとえロボットであれ)は明らかに近年の放射線治療に劣り、線量の低い外部照射は
高線量の得られる「トリモダリティ」に劣るということを、この本を読んで、
しっかり知っておく必要があるのではないでしょうか。

一点気がかりなのは、IMRT(強度変調照射)を「中・高リスク」に適した治療法と認めていないこと。
76Gy以下の照射線量しか当てられないようなIMRTでは、技術レベルにも問題ありと思うのですが、
78Gy以上の照射で、時間と共に変わる前立腺の位置変動にも、それにふさわしい制御技術で対応し、
好成績をあげている医療機関もあるわけで、私がこの治療法を選んだのも、当時としては最善であったと、
今振り返ってもそのように思っています。
ここはもう少し幅の広い度量でもって「適用あり」としても良かったのではないでしょうか。
IMRTも信頼できるのは、1割そこそこの医療機関かもしれないけれど、トリモダリティとて安心してまかせられるのは、
小線源療法をやっている医療機関の上位1割?ぐらいではないでしょうか。
結局は、治療法の選択と共に、医療機関(もっと突き詰めれば医師)の選択についても、
もっと判りやすい情報が患者に提供される必要があるということに尽きるのではないでしょうか。
 
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