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治療後の尿路系有害事象について

 投稿者:  投稿日:2021年 5月21日(金)14時54分4秒
  通報 編集済
  SKさん は前立腺肥大で重粒子線治療を希望されているとのことです。
治療後の排尿障害について心配されています。

前立腺肥大の場合に重粒子線治療を受けた患者の治療後の障害に関しては特に論文などでまとめられたものはないかと思います。

日本の重粒子線治療の施設、NIRS:QST病院(旧放射線医学総合研究所病院)、GHMC:群馬大学 重粒子線医学センター、HIMAT:サガハイマット |九州国際重粒子線がん治療センターで2003年12月から2014年12月の間に重粒子線で治療された2157人を対象にした野宮琢磨氏を筆頭著者とする論文をサイトで紹介しました。
http://flot.blue.coocan.jp/cure/memo/Nomiya.html

論文は以下のとおり。
Radiother Oncol 2016 Nov;121(2):288-293.full text

論文においてはよくグレード3以上の障害無しと書かれていることが多いです。これは癌治療における有害事象評価指標として米国 National Cancer Institute(NCI)の Cancer Therapy Evaluation Program が公表した Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) v4.0 を用いた客観的に評価する方法によるものです。

ブログで有害事象で少し詳しく紹介しました。

尿閉といってもテーテルが必要ないものはG1であり、カテーテル要な場合はG2です。尿閉、すなわち重大な障害だからG3かなと思い込んでいましたが、「Grade 3 重症または医学的に重大であるが, ただちに生命を脅かすものではない; 入院または入院期間の延長を要する」という定義にはあてはまらないということのようです。

上記の重粒子線治療の論文の治療後の障害についてみてみました。

Table 4 Toxicities by CTCAE ver 4. より以下のことがわかります。

グレード2
急性期 5.5%

頻尿 69 3.2%
尿閉 34 1.6%

晩期 4.6%

血尿 50 2.6%
尿閉 23 1.2%
頻尿  9 0.5%

Abstractには" the incidence of ≧G3 toxicities were 0%"と書かれています。

しかし、
Table 4 には
急性期 では グレード3 尿閉 1 0.0%
晩期 グレード3 血尿 1  0.1%

と書かれています。すなわちG3は 2人いたということです。

このことについては以下のように書かれています。

「急性期G3 GU障害と判定された1名の患者は、CIRT終了後3週間で感染症を合併した尿路閉塞により、カテーテル挿入と入院が必要となった。この患者の病状は3日以内に改善しました。また、G2の尿閉でカテーテル治療を必要とした患者もいました。しかし、残りの ≦G2 の急性期 GU 障害の患者は、頻尿や軽い排尿障害であった。
晩期 3と判定された1名の患者は、CIRT後3年9ヶ月で尿路出血が止まらなくなり、導尿が必要となった。この患者は CIRT を受けた時点では肝機能は正常でしたが,難治性の血尿が発生した時点では進行性の肝硬変による血小板減少症でした.その他の晩期 ≦G2のGU障害はほぼ血尿であり,手術,入院,輸血を必要としなかった。」

CIRT:carbon-ion radiotherapy

重粒子線治療とIMRTの治療成績はどうなのか比較した資料が厚生労働省の第33回 先進医療会議粒子線治療等について PDF 資料 先-5に載っています。(P.65~P.69)
先進治療として実施されてきた陽子線治療、重粒子線治療を今後どうするかを審議する会議での資料でどちらかというと粒子線治療のIMRTに対する優位性または劣ることはないということを示したものです。

野宮論文では低リスクの5年PSA非再発率は92%、10年PSA非再発率は77%と書かれています。

PSA非再発率に関しては治療法比較3にまとめてきました。特に治療後の障害に関しては積極的に調べ整理するということはしてこなかった。
この比較表のなかで日本語で書かれた低リスク 32人と人数的には少ないが5年PSA非再発率 100%の山本健太郎氏の論文をみてみました。(患者数全体は287人)

P.42
表Ⅳ-5:急性期・晩期の尿路系有害事象(Grade≧2)発生頻度とその内訳
急性期
Grade 2 (n = 41)14.3%
Grade 3-4  0.0%

晩期
Grade 2-3 (n = 27) 9.4%
Grade 3 (n = 2)  0.7%

野宮論文より障害は多い。

P.53以降にSKさんに参考になるかもしれないことが書かれています。

「Malik らも、治療前の IPSS が 15 点以上の群では、14 点以下の群と比較し、治療後 IPSS が改善する症例が多かったことを報告している[55]。これらの結果は、自験例と同様の結果であり、放射線治療前にひどい下部尿路症状に悩んでいる患者に外照射を実施する場合、更に排尿症状が悪化するのではないかと危惧されがちであるが、そうでない場合がむしろ多いことを意味している。考えられる原因の 1つとしては、あくまでも推測だが、照射の影響や内分泌療法の継続により、治療後前立腺体積が照射前よりも縮小し[56]、前立腺肥大の影響による頻尿、尿閉症状が改善した可能性がある。検証のためには、経過観察時に前立腺体積を計測できればよいが、これは今後の課題である。いずれにせよ、この事実はひどい下部尿路症状のある患者に放射線治療前に副作用についての説明をする際、必要以上に副作用を恐れる必要はないと説明できる根拠となり、有益な結果であると考える。」

[55] Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2011 Jul 15;80(4):1080-6.
[56] Radiother Oncol. 2000 Nov;57(2):195-200.

http://inves.seesaa.net/

 
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