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KSAD さんは2月11日の小線源治療の線量で「小線源治療の際の線量ですが、大きければ大きいほどいいものなのでしょうか?」という質問をされ、エナガさんがフォローされました。
小線源治療直後のD90が明らかになり、それに対して3月10日の投稿で以下のように書かれました。
処方線量145GyでD90=192.2Gyを実現するのはすごい技術だと思いました。BED=205Gyになるので中リスクとしては十分な線量だと思います。
後程、D90の値をKSAD さんは訂正されましたが、BED値としては四捨五入すると同じとのこと。
日本における小線源治療において中間リスクのBED値はどの程度で治療されたかということで、今朝、J-POPS研究:NCT00534196(日本における前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源永久挿入療法に関する前向きコホート研究)での値をfull textで確認してみました。
42病院で2005年7月から2007年6月に治療された2316人が対象の研究であり、日本における初期の小線源治療の状況が窺えるものかと思います。
中間リスク 1,109人
BED
平均 184.5
中央値187.4(80.6-289.8)
中間リスクの5年PSA非再発率は92.7%。
BED 187.4Gyで中間リスクに対して十分だったかどうかは分かりませんが、結果として上記のPSA非再発率となったということです。
J-POPSに関してのブログ記事は以下のとおり。
http://inves.seesaa.net/article/479653437.html
KSAD さんの投稿を契機に少し調べ、ブログに中間リスクに対して必要な小線源治療の線量(BED)という記事を書きました。
米国のマウントサイナイ病院における1990年6月~2004年12月の中間リスクの患者558人を対象とした論文を紹介しました。
BEDが150 Gy未満か以上かにより10年PSA非再発率が大きく異なるという話でそれが唯一の有意な予測因子ということをいっています。10年PSA非再発率は以下のように大きく異なります。
BED
150 Gy未満:63%
150 Gy以上:92%
この値は中間リスクでBED 200Gy以上で治療されて7年PSA非再発率 99.1%を報告したKeisei Okamoto他の論文よりは劣るものです。
しかし、いまはこの論文で報告されたような方法で治療を行う病院は日本にはどこにもなく、あくまでもかつての優秀な治療における値といえるものでしょう。
と長々書きましたが、私もBED=205Gy という値は中間リスクの患者に対して十分な線量かなと思います。
なお、マウントサイナイ病院の患者を対象とした論文のfull text が無料で参照できたので、サイトの記事とブログ記事を書きましたが、いまは無料ではアクセスできません。
http://inves.seesaa.net/
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