• [0]
  • 「論文・詳細スレッド」

  • 投稿者:武内 務@ひげの父さん
  • 投稿日:2015年 2月16日(月)15時37分35秒
 
論文などやや専門的な内容や難解と思われるもの、
及び、親掲示板では複雑と思える「詳細説明」などは、
こちらに書き込んでください。
その概略や案内は、親掲示板に判り易く書き込んで下さい。

投稿者
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題名
*内容 入力補助画像・ファイル<IMG> youtubeの<IFRAME>タグが利用可能です。(詳細)
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sage

  • [61]
  • 北里大学のHDR 10年治療成績

  • 投稿者:
  • 投稿日:2017年 9月28日(木)19時54分21秒
 
北里大学の津村秀康氏他の論文、Impact of five-tiered Gleason grade groups on prognostic prediction in clinical stage T3 prostate cancer undergoing high-dose-rate brachytherapy.の概要を紹介します。

なお、表題に示されています ISUPで承認されたGSの新しいグレード分類による報告は煩雑になりますので省略します。

・2003年11月から2012年12月のT3a 203人、T3b 80人計283人が対象
・HDRは平均D90 PTV線量: 7.5Gy/1分割 を5回実施、また、外照射は1回3Gy を10回照射
・ホルモン治療はすべての患者に術前に6か月以上、外照射の後に3年実施

・10年PSA非再発率は以下のとおり。
 T3a 79%
 T3b 64%

・10年癌特異的生存率は以下のとおり
 T3a 96%
 T3b 91%


http://inves.seesaa.net/


  • [60]
  • 独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター の手術の治療成績

  • 投稿者:
  • 投稿日:2017年 7月31日(月)19時48分59秒
  • 編集済
 
手術後のadjuvant radiotherapy に関して検索していたところ、次の論文をみいだしたので紹介します。
Indian J Urol. 2017 Jan-Mar;33(1):64-69.

独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンターの泌尿器科の古林伸紀氏を筆頭著者とする論文です。

1998年8月から2013年5月の間に九州がんセンターまたは関連病院で手術を受けた481人の患者が対象であり、内訳はD'Amico のリスク分類 により低リスクは107人、中間リスクは222人、高リスクは152人であり、5年PSA非再発率は以下のとおり。
低リスク  96.5%
中間リスク 88.9%
高リスク  72.6%

中間リスクの因子の数によりPSA非再発率は以下のとおり。
1 94.9%
2 88.4%
3 49.0%

abstract の結論には以下のように書かれています。

Patients classified into the intermediate-risk group based on all
three intermediate risk factors are less likely to achieve a complete
cure through surgery alone.

Google翻訳
3つの中間リスク因子すべてに基づいて中リスク群に分類される患者は、
手術単独で完全治癒を達成する可能性は低い。

なお、骨盤リンパ節郭清を実施したと書かれています。

サイトの治療法比較3にこの論文のデータを追記しました。

D'Amico のリスク分類を使用しているのはそう多くないですが、例えば、10 の奈良県立医科大学の小線源の論文はD'Amicoであり、と比較してみます。

全体 203人 低リスク 93人、中間リスク 92人、高リスク 18人であり、5年PSA非再発は以下のとおり。

低リスク  93.5%
中間リスク 91.8%
高リスク  94.1%

低リスク、中間リスクに関しては救済放射線治療を考慮すると九州がんセンターの手術のほうが良好であるといえます。

九州がんセンターのサイトを訪問し、泌尿器科の治療実績を確認しました。

PSA非再発生存率のグラフが掲示されていて以下の値が書かれています。
5年PSA非再発率
低リスク  96.5%
中間リスク 92.3%
高リスク  80.7%

10年PSA非再発率
低リスク  93.2%
中間リスク 85.9%
高リスク  76.4%

ありがちなこととして論文の値よりサイトのほうが良好な値を示しています。
それは条件がきっと異なるのだろうと思ってみていましたが、図をみると少し変です。
高リスクの10年PSA非再発率 はどうみても50%ほどです。

どうも、full text のFigure 1を英語を日本語にしたものをそのまま載せているようです。


http://inves.seesaa.net/


  • [59]
  • トリモダリティの外照射終了後2年

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2017年 7月27日(木)23時14分29秒
  • 編集済
 
概要

自分には、この病が発覚する前から前立腺周辺にいろいろ症状がありました。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/index/detail/comm_id/4214
それは両下腹部、肛門、仙骨周辺、臀部、鼠径部、バットなどに感ずる鈍痛、痺れ、掻痒感、拍動、違和感などです。
山や谷がありますが、それらは治療中も治療後も続いていました。しかし治療後1年半後くらいから影を潜めるようになり、現在では若干の名残はあるもののほぼ消失しました。このことからこれらがこの病気の症状であったと確信を抱くようになりました。

 その代わりに治療後に出現したものもあります。それは血便や頻便といった直腸症状、血尿などの排尿症状、皮膚炎などです。これらは治療に伴って現れた症状だと思います。ただ現在のところ日常生活に支障をきたす程ではありません。

 PSAの推移ですが、今回(今年の1月の値)は0.267で、その3ヶ月前が0.1999、3ヶ月後が0.256でしたから、現状はプラトーに達していることになります。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/t1/75
できれば下降に転じていてくれば良かったのですが・・・。
いよいよこれからが正念場ですね。
同時期にトリモ治療を受けた3人は数値こそ多少異なりますが、
同様の経過を辿っています。


放射線治療によると思われる症状

治療直後にはいろいろ症状がありました。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/t2/32
現在ではそのような急性期の症状は収まって、晩期障害と思われる症状が出ています。

①排尿
 半年前には治療前まであと少しのところまで改善していました。ところがその頃から徐々に尿が微妙に沁みるようになってきました。最近では唸るところまでいきませんが、そこそこ沁みるようになっていました。先週気が付いたのですが、排尿の当初に少し赤い尿が出るようになりました。よく観察すると、排尿の終わりにも赤い尿が少し出ます。時に小さなゴミのような血栓も混じることがあります。これでほぼ1週間、毎日1~2回は観察されます。
 このような按配なので以前より切迫感を感じることがあります。尿回数も少し増えています。しかし早めに排尿していれば、支障はほとんどありません。対策としてユリーフを飲みはじめています。排尿時の沁みが少し改善されるだけで、今のところ効果は未知数です。
 同時期に入院されたヤマさんも半年前に経験され、その後3ヶ月あまりで良くなったそうなので、私もそのような経過を辿ることを期待してあまり心配していません。


②排便
 半年あまり前に便の最後に少し確認できる程度の血便がありました。その後も5ヶ月間で6回確認しています。その頃はガスの排出も多く、お腹が重苦しく感じて若干元気をスポイルしている時もありました。しかし直近の3ヶ月は血便は確認されておらず、完全には復調していませんが、お腹の重苦しさは軽快しています。このまま収まってくれればと期待しています。もっと重度の症状なら、ステロイド注腸やアルゴンレーザーでの焼灼、高気圧酸素療法などの治療法もありますが、この程度なら自然に治ることが多いようです。

③臀部にある植皮採取部分の皮膚炎
 これは外部照射が終わってから出現したもので、皮膚が水膨れのようになり、その後瘡蓋が付いてそのまま何時までも治らないというものです。外照射後1年半経過してもほとんど改善しないので皮膚科でステロイドなどの薬剤治療を受けていますが、期待するほどの効果は現れていません。

④リンパ球の減少
 以前は何時も白血球数5000/ul、リンパ球比率36%程度でした。治療後3ヶ月では4000/ul、16%になってしまいました。9ヶ月後には4000/ul、26.7%に改善したが、その後は検査がないので元に戻ったか確認できていません。


ホルモン治療によると思われる症状(終了から1年9ヶ月)

 私もホルモン治療の副作用はいろいろありました。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/index/detail/comm_id/4368
しかし現在ではその表面的な症状はほとんど元に戻っています。しかし奥深く進行している症状は未だに歴然と残っています。

 表面的な症状ではホットフラシュが全くなくなり、関節周辺の痛みや違和感もありません。体毛は若干復活不足のところもあるが、あるべきところに復活しています。肌の感じも元の鮫肌に戻っています。筋力も大分戻ってきました。性機能は戻ったと言えるレベルですが、溜まるものがないので込み上げるものがありません。従って心の動きは微妙です。

 深く進行しているものは、なかなか改善しません。特にコレステロール値や中性脂肪値の悪化はまったく改善していない。中性脂肪69→157→180→165mg/dl、HDLコレステロール88→66→65→60mg/dl、LDLコレステロール112→123→135→142mg/dl(2014~2017年)。ちなみに、体重は8kg増から6kg増に低下。体重増加は筋肉減少、脂肪増加にともなうものですから、純粋な脂肪増加量は最盛期で推定10kgを超すと考えられます。今現在も筋肉復活を実感しつつあるので、未だその回復途上というところです。これらはそれなりの食事節制と運動の結果ですから、ホルモン剤恐るべしです。 膨らんでいた乳房は、幾分目立たなくなりました。

  • [58]
  • IMRT3年が終わって

  • 投稿者:トムメール
  • 投稿日:2017年 5月31日(水)08時43分48秒
 
トム。昭和14(1939)年生まれ、現在78歳。都内在住。高リスクIMRT患者


IMRTが終って3年

1.はじめに
最近、投稿がめっきり減ったIMRTですが、患者数が減っていることはないでしょう。IMRTを終えた方とこれから受ける方、これら声なき多くの方々に、治療終了後の一応の目安である3年‐直腸・尿路晩期障害発生率最大期間が経過したこと、加えて、個人の価値観が多様であるように掲示板にも多様な情報が有って然るべきと考え、私の体験を投稿することとしました。ご一読頂ければ幸いです。

2.がん発覚まで
・埼玉県内私立医科大学付属メディカルセンターにて、67歳から年1回、循環器内科検体検査に合わせてPSAを測定。
・2013年74歳、PSA=4.67 で同病院泌尿器科受診。生検を薦められたがMRIを希望。結果は、「右辺縁域がんの疑い。被膜外浸潤なし」
・3ヶ月後、同病院で2泊3日全身麻酔経会陰部生検。何ら不都合はなく会陰部に貼られた絆創膏にほんの少しの血痕を見ただけ。7日後、CTとPET-CT。3日後、がん告知。Gleason score(GS)=4+4、Stage=T1cM0N0、陽性率4/16。「6ヶ月後の再生検と開腹手術を決断して下さい」。当方の希望でLH-RHアゴニストと抗アンドロゲン剤の処置(ADT-CAB、1カ月製剤)。T1cは生検で発見されたというカテゴリーであり、T1cの30%はT2あるいはT3と理解していたので、実際の病期はT1cではなく、T2以上を覚悟していた。

3.IMRT、ホルモンと晩期障害
・転居に伴い同年、都内国立大学法人医学部付属病院に転院。当方が希望し、また、前主治医(准教授)が豊富な治療選択肢利用可能という理由で積極的かつ親切に薦めてくれた。准教授と相談の上、転院先の医師は指名させていただいた。セコンド・オピニオンは考えなかった。転院先選択変数は、つとに知られたその実績と片道徒歩40分の通院至便(バスや地下鉄も利用可能)。
・改めて病期判定(MRI)と病理診断。GS=4+4は同じであった。PSA=4.67, GS=4+4, Stage=T2bN0M0‐高リスクが確定。当病院泌尿器科(助教)は当初、daVinci手術を薦めたが、本から既に放射線(IMRT)の知識があったために非浸襲性治療優先を希望した。2回目(助教)、「コンファランスで治療法が決まりました、次回、教授から話があります」。3回目から当方の希望した医師に。初診から3回目まで約1か月を要した。主治医の「早く見つかって良かった、手術でも放射線でもどちらでも良い、全力を尽くします」の言葉にどれくらい助けられたか。不安も懸念も吹っ飛んだ。絶望が希望に。直ぐに放射線科を手配してくれた。
・2014年75歳、IMRT(VMAT) 2Gy x 38回=76Gy。照射は実質数分(入退室10分以内)で終了。デパートに買い物に行ったような気楽さであった。電車の時刻表の如く待ち時間は無かった。その後暫くして暗転。
・最終週3週間前(38回中24回目)から治療終了まで、徒歩から妻付き添いのタクシー通院を余儀なくされた。「宿粋」のような体の変調(宿粋は通常、照射後10日目頃から始まる不具合‐だるい、食欲が無い)、発熱(37‐38.5、照射後17時間で平熱に、このような症状聞いたことが無いと医師、遺伝的体質かと当方)、夜間排尿回数急増(3から7-8回に、1時間おきに7-8分便座に座ったまま、その都度よく眠れたが、明らかに睡眠不足)、弱い尿勢、極端な口内渇き(今でもはっきりと記憶している)などの合併症。また、治療終了直後から1週間、極端な排尿困難(出ない、閉尿寸前、代わりに汗が出る)と排便困難(出ない、粘液便が出る)。食わないから出ない、飲まないから出ないと考え直し、無理して胃に押し込んだ。尿が少しずつ出るようになり、4日経ってやっと便がでた。残尿を押し出した尿道括約筋がポンプの如く排尿を楽にしてくれた。
・まさにベッドに臥す病人であった。辛かった。体重は治療前66から58kgに(治療後3年の今、64kg前後で増え気味)。これらの症状は治療後2週間目から徐々に緩和。立ち小便が可能になった。間もなく日常生活も正常に。ふらふらの体でウオーキングを再開。
・ハルナール(排尿促進)、ベタニス(尿意制御)とガスモチン(腸管蠕動促進)を処方された。排尿最困難時にハルナールを1週間だけ服用したが、原則、薬は敬遠(薬嫌い原理主義者である)。治療終了後、処方されたガスモチンに代えてタケダ漢方胃腸薬(大黄甘草湯)を約1カ月。よく効いた。上記合併症に加えてこの期間、動悸、めまい、ふらつきがあり、ハルナールの副作用か、あるいは、放射線合併症(赤血球の減少)によるものなのか。CRP値(炎症と細胞破壊の程度を示す)の大幅上昇(IMRT直後6.45、現在0.04)に示されるように、体の不如意は、自然な生体防御反応であったと理解している。
・ホルモン治療をいつ止めるかについて率直に泌尿器科主治医に相談。定説が無いとしながらも、医師の同意を得て合計27カ月(ネオアジュバント6+コンカレント2+アジュバント19)で一旦、中止した。HbA1c>7.50のため、リュープリンの副作用である脂質代謝異常やインスリン抵抗性を懸念したため。尚、ALPや肝臓諸数値は正常であり、深刻な発汗(ホットフラッシュ)はまったく無かった。27カ月は、ADT-CAB最適期間であったと信じている(注1)。IMRT後3年、ADT-CAB効果消滅後1年5カ月の今、かさかさの頭髪、すべすべ膚と顔の皮脂は完全に原状回復、勃起と体毛(腋・腿・脛)も顕著に回復途上。乳首の発色は消えたが、ほんの少し膨らんだまま。
・晩期障害として直腸出血、血便と血尿はない。但し、この3年間(注2)、力んだ(下腹部に力を入れる、無理に押し出す)ときに数回、便にごく少量の血痕を認めた。今でも毎回、覗き込んで観察している。癖になった。排尿時に尿道に擦れるような(染みるような)感じが今でもときどきある。夜間排尿回数は、再頻値=2、平均値<2.0。治療前より減少した。但し、就寝時と起床時は含まれない。尿腺は明らかに太くなった。医師によれば、ホルモン剤は通常の前立腺肥大症薬よりはるかに強い効果がある由。便は、色、サイズや長さも改善、快便である。薬は何も使っていない。治療前最大の懸念材料であった晩期障害は楽観している。治療前のときどきの切れ痔が治療後ないのは予想外の負の後遺症。

4.PSA推移
 IMRT直前(ADT-CAB5カ月後)‐ 0.02 (ホルモン高感受性と理解している)
 治療中・治療後2年(ADT-CAB中断時まで)‐ <0.01
 治療後2.5年ADT-CAB中断1年から現在まで3カ月毎‐ 0.02、0.04、0.08(2017年4月、ホルモン効果切れか、男性ホルモン復活の兆しか)

5.その他もろもろ
・特段の食事療法はしていない。前立腺がんで赤身脂身の牛豚肉制限(発覚前は肉が多く、魚や野菜が少なかった、若い頃から)。糖尿病対策で糖質制限努力(甘党、HbA1c≦7.00を確実に維持するため)。ミニトマトとブロッコリーだけは例外なく3食とも食卓に上る。便秘対策(便の柔らかさ調整)で牛乳かなり多めのミルクコーヒーを飲む(長期的に牛乳がこの病に良くないことは承知しているが、短期的な直腸対策を優先。勿論、カルシュウム摂取も考慮)。
・降圧剤(カルシュウム拮抗剤アムロジン2.5㎎)と血糖調整薬(メトグルコ250mg)1日1錠服用中。降圧剤は、その日の血圧次第の間欠服用。
・効果のほどは定かではないが(免疫力アップとカロリー消費)、ウオーキングを励行。あとは自転車をときどき漕ぐぐらいで、老体の故か、他の運動にはまるっきり関心が無いし、体力に余裕もない。浴室独唱(一人カラオケ)が免疫力増進に良いと聞いたことがあるので、1時間以上の長っ風呂で隔日、実行している。これを聞いたら医師が何と言うか、一笑に付されるかもしれない。
・男性ホルモン復活の喜びとそれが因になるかもしれない再発の不安。痛し痒しの心境である。本音はやはり、そして当然のことながら 非再発>性機能 である。
・治療後3年が経過した。思う。発覚から3年8カ月、治療終了後3年、茫然自失、落胆、絶望の淵から、何とか心身共に立ち直れた。長野県北佐久郡にセコンドハウスの茅屋がある。腰をかがめては立ち、立っては腰をかがめて穴を埋め草を取りながら、庭を以前のように歩き回る自分が居る。この3年間、誰も構わない庭はイノシシに荒らされまま、草ぼうぼうであった。新緑のこの頃、業者が管理する近隣に負けないくらいの苔庭がある。心も体も動いている。各人各様であろうが、やっと「義務教育」が終わったような心持である。10年後の再発もあるという。何とも難儀な話だ。PSAとHbA1cの横文字はあの世まで道連れ。今は二つだけの横文字なので可としなければならない。

6.おわりに
 IMRTにも現在、例えば体幹部定位放射線照射のように、蓄積された知見に加えて機器と技術の進歩や改善がある。療法は一部異なるものの、IMRT(VMAT)を選択したのは間違いではなかった。IMRT+ADT-CABによるがん再発ほぼゼロと言う金沢大学並木教授(当時)の著書(注3)を心の担保として治療に臨んだ。勿論、泌尿器科主治医の癌に完治はないという所見に留意しながら今、寛解を信じて楽観と希望の中で消光している。体の節々は痛いが、今のところ心身ともに年齢相応に健康である。放射線治療終了前後4週間、極度の生活の質の低下に呻吟したが、平地や山中での1日1万歩目標の元気さを取り戻してくれた当病院の医師・看護師・技師各位に心から感謝している。同時に、親の心子知らずながら、体内に「侵入した異物」に発熱などで果敢に立ち向かった我が分身(討ち死にした白血球)が愛おしい。仮令再発したとしても(リスクは極めて小さいと踏んでいるが)、期待余命からこの病で死ぬことは無いだろう。

(注)
1.Takaha N et al., ”Optimal duration of androgen deprivation in combination with
radiation therapy for Japanese men with high-risk prostate cancer,” PubMed
‐Median age was 72 (59-82) years. Median initial serum prostate-specific antigen (PSA) was 19.0 (4.7-200) ng/ml.…Median duration of the entire ADT was 27 (8-63) months. Multivariate analysis suggested a total duration of ADT shorter than 24 months as an independent risk factor of biochemical progression.…ADT of 24 months or longer might be recommended to minimize biochemical progression. (当方訳注)Takaha N他(京都府立大学病院泌尿器科)「高リスク日本人男性の放射線治療(3D-CRT)に伴うホルモン治療の最適継続期間」『PubMed』(NCBI-米国国立生物化学情報センター検索サイト)-「年齢中央値72(59?82)、初期血清PSA19(4.7-200)。… ADT継続期間中央値27カ月(8‐63)。重回帰分析は、24カ月は生化学的進行の独立要因と示唆。… 24か月あるいはそれ以上のADTを生化学的進行最小化(期間)として推奨可(推奨されうる)」。当論文を参考にして、逡巡しながらも(リスクは自分で取らなければならないと思いつつ、医師ではないので正しいのか分からないと不安な思いで)ADT?CAB 27カ月終了を希望する旨申し出た。ADTは端的に言えば、男を女にする薬で極めて不自然、気分的にも限界であった。いつも止めるタイミングを探っていた。
2.山本健太郎『コーンビームCTによる画像誘導放射線治療を併用した前立腺癌に対する強度変調回転照射の検討』、東京大学博士論文、2015年‐「図IV-6:Grade 2以上の尿路晩期有害事象発生率3年以降安定(発生率が頭打ちになる)、また、図IV-7:Grade2以上の直腸晩期有害事象発生率3-4年で安定」、43-44頁。従って、晩期障害については治療後3年が、取り敢えずの安心の目処と言えよう。但し、この数値は当方が図から読み取ったもので、数値は記載されていない。
3.・荒井陽一、鳶巣賢一、寺地敏郎、吉岡邦彦、幡野和男、斎藤史郎、辻比呂氏、村山重行、鈴木啓悦、並木幹夫、内田豊昭『名医が語る最新・最良の治療 前立腺がん』、法研、平成23(2011)年、144頁。「ホルモン療法(CAB)をして6か月以内にPSA<0.2になった患者で、① 初期数値PSA<20、②GS<6、ならびに③ 6か月経過以前にPSA<0.2の3変数の中一つを満足した患者が根治治療(放射線)をやれば、大半の細胞はアポトーシスに至る」。当方のケースはこれに当てはまり、IMRT前に根治の可能性有りと希望を持った。
・並木幹夫他『泌尿器科18』(11)、1307-1313、2005年(ブログ『探索の日々』論文集より)‐「Gleasonスコア7以下、治療前PSA20以下、nadir(PSA=0.2)到達期間6カ月以内の3つの条件を満たす症例では、10年間特異生存率が99%であり、CAB療法を行った症例では10年経過しても前立腺がんで死亡する症例は認めなかった」

参考にした図書・論文・情報など
・本間之夫『すべてわかる前立腺がん・肥大症』、毎日新聞社、2005年
・垣添忠生『前立腺がんで死なないために よりよい人生に向けた選択肢』、読売新聞社、2012年
・山本健太郎『コーンビームCTによる画像誘導放射線治療を併用した前立腺癌に対する強度変調回転照射の検討』、東京大学博士論文、2015年
・ブログ『探索の日々』(内外の論文紹介やブログ主による分析を中心に有用な情報満載のブログ。今でも日々、参考にしている)
・ひげの父さん『前立腺がんガイドブック』およびリンク集(IMRTを中心にして)。これらは治療前に盛んに読んだ。
・Urology websites, Schools of Medicine, Stanford, UCSF and Duke Universities



  • [57]
  • 高リスク 治療法の選択 外照射(IMRT,VMAT)と小線源の比較

  • 投稿者:
  • 投稿日:2017年 5月21日(日)19時26分32秒
  • 編集済
 
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2017/06/09 に愛知県がんセンターのデータを追記
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2017年5月14日にひげの父さんはPCRSGの日本語のPDFの紹介の記事を読み、一覧表を提示した記事を投稿しました。今回その論文、または学会発表のデータに基づく項目を追加し、外照射(IMRT,VMAT)と小線源の比較という観点で書いてみます。

追加したのは5年PSA非再発率と高リスク因子数総計(%)の値です。
高リスク因子数総計(%)は高リスクのリスク因子の% を足したものであり、これが100%ならば、複数のリスク因子を持つ患者は0であるということを示し、その値が大きいと複数のリスクをもつ患者の数が多いことを示します。

表は10の病院からなっており、以下のとおりです。

小線源は高リスク前立腺がんで、トリモダリティーを積極的に実施している施設 前立腺がんの小線源療法 日本メジフィジックス株式会社でページが作成されたときに最初に掲載された3つの病院とさらに追記された徳島大学及び掲載はされていないが、日本で最初に小線源治療を行った東京医療センターです。

外照射は治療法比較3よりいずれもでfull text が確認できたもの5つです。


以下病院名は記さず、番号で記載します。
小線源の場合は残念ながら、PSA(20と超える患者数)のデータが5件中、6,7だけであり、T3以上の患者数、GSが8以上の患者数を足してもあまり意味ないので、欄は空白としています。

高リスク因子数総計(%)
外照射は149~180、小線源は128と172 です。値がはっきしない場合が多いですが小線源の場合、外照射の一番少ない値149になるのはPSAが20以上の患者の割合が80%ほどになる必要があり、そのようなことはあまり考えられず、外照射より値は低いと思われます。
すなわち、リスク因子を複数もつ患者は少ない。

PSA非再発率
PSA非再発率に関して、総じて小線源のほうがいいと思われるますが、T3以上の患者の割合及び複数 リスク因子の数をもつ患者の数が小線源のほうが外照射より少ないということがみてとれます。

すなわち、小線源と外照射のPSA非再発率の差はそう大きいものではないとみてとれます。それは外照射のほうがリスクの高い患者の治療を行っており、結果としてPSA非再発率も低い値となっていると思われるからです。

もちろん、先の投稿でも書きましたように 小線源の6は例外で高リスク因子数総計(%)、T3患者数の割合は外照射の1 と匹敵し、外照射の一番いいPSA非再発率の1 より少し劣るという状況です。

高リスク可能治療病院について
小線源は病院が極めて限定されるということはいえるかと思います。
すなわち「高リスク前立腺がんで、トリモダリティーを積極的に実施している施設」といっても論文でみる限り、T3患者を積極的に治療しているとも思えず、また複数のリスク因子をもつ患者を積極的に受け入れているとは思えない。

外照射(IMRT)は病期で制限されるという話はきいたことはなく、論文でのデータでもそうなっている。IMRTで治療可の病院は各県に少なくとも一つはあり、そういった面では地域に限定した治療ではない。

ブログでトリモダリティ実施病院は多くないという記事を書きました。
これはTRIP臨床試験を元にした小線源治療可能病院の一覧です。掲示板にも投稿しています。
これはTRIP臨床試験の対象は 臨床病期T2c が入っていますので、T3となると治療可能な病院は少なくなると思います。

結論
結論として高リスク(特にT3以上、複数のリスク因子をもつ場合)の場合、治療法として外照射(IMRT,VMAT)を選ぶ方が無難だと思います。

もちろん、これは小線源を否定しているわけではありません。
先の投稿には以下のように書きました。

「自宅からの距離はあまり考えず、遠くても、いい病院で治療を受ける」
ということを一等大事にしていて、小線源を選ばれた場合は、6一択
かもしれません。


表の記載方法他

外照射、小線源で各々、T3の患者の割合の多い順に並べている。
10 のリスク分類はD'Amicoです。

リスク因子の患者の数、割合は以下のように記す。
病期がT3以上:T3 n(%)
GSが8以上:GS n(%)
PSAが20を超える:PSA n(%)
ただし、論文によっては20以上の場合の数を書いている場合があるがその場合もその数値を記す。

論文へのリンクしている表は私のサイトの以下のページを参照のこと
http://flot.blue.coocan.jp/cure/memo/highcy.html

http://inves.seesaa.net/


  • [56]
  • 滋賀医科大学の治療成績について

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2017年 3月17日(金)12時06分46秒
  • 編集済
 
滋賀医科大学の治療成績について

<論文の概要>
 この論文は滋賀医科大学の岡本、河野先生のグループで治療された2005年から2013年までの高リスク患者143名の治療成績についてまとめられたものです。2005年は先生が治療を開始された時期にあたります。5年非再発率が95.2%と高リスク患者を対象とした結果では他にない好成績です。高リスクと言ってもリスク要因が1つの患者が60名(42%)、2つが61名(43%)、3つが22名(15%)と並外れた高リスクであり(詳細はTable1&2)、しかも前立腺近傍のリンパ節転移1~2個を有する患者5名を含んでいます。
 この内不幸にして再発された患者さんは6名になります。この6名の方は全員、外部照射終了から12―30ヶ月でPSA再発をきたし、その後0―18ヶ月で骨転移を確認しています。つまり全員5年以内に骨転移による臨床再発をきたした訳です。特筆すべきは、リンパ節転移を有した患者さんが再発していないことです。そして前立腺癌による死亡が1名あり、他の原因で死亡した患者さんが3名いました。

 それではこのような好成績を収めた治療法について説明します。先ず、全ての患者さんがホルモン治療、小線源、外部照射を併用するトリモダリティを受けています。ホルモン治療はLH-RHアゴニストと抗男性ホルモン剤を併用するMAB療法です。そして原則として小線源前6ヶ月のネオアジュバントと、その後は6ヶ月のアジュバントを行っています。小線源治療は経直腸超音波エコーを用い、125I線源をリアルタイム術中計画法で前立腺に留置します。また癌の位置によっては精嚢にも留置します。処方線量は通常D90にて135~145Gy程度になります。D90とは前立腺体積の90%に照射される最低線量で、これはBED(生物学的実効線量)に換算すると141~153Gyになります。小線源と合わせた総線量をBEDで220Gy以上確保するため、小線源施術1ヶ月後のポストプランで外部照射の処方を決めます。外部照射は3次元原体照射にて行います。その線量は1回1.8Gy、総線量は45Gyを中央値としています。そして前立腺と精嚢辺縁に15mmのマージンをとって照射します。ただし他臓器近辺は7~10mmにします。リンパ節転移を有する患者ならびに非常にリスクの高い患者は、それ以外にも骨盤内全般の照射も行います。これら全ての照射はUD30ならびにR100を担保します。
実際に患者さんに施された線量はTable3、Table4にまとめられています。
 *UD30(Gy) : 尿道線量の指標で尿道体積の30%が受ける線量
   小線源単独療法:200Gy未満 (術後210Gyを超えないように)
   外部照射併用療法:160Gy未満 (術後165Gyを超えないように)
 *Rectal V100(cc):直腸線量の指標で処方線量の100%以上が照射され
   ている直腸体積
    小線源単独療法:0.5cc未満
    外部照射併用療法:0.2cc未満

 いくら好成績であったとしても、有害事象が多ければ元も子もありません。論文ではグレード2の急性障害が直腸に1.3%、泌尿生殖器に10.4%あったそうです。またグレード2の晩期障害はそれぞれ2.0%と4.1%です。それ以上のグレードの有害事象はありません。治療としては末期の腎臓障害による血球減少にともなうグレード2の直腸出血をきたした患者1名が高圧酸素療法を受けました。また直腸出血はなかったが、特発性血小板欠乏症の患者1名が血小板輸血を受けました。尿道狭窄、経尿道切除術、直腸尿道瘻はありませんでした。
 *有害事象のグレード
   Grade 1 軽症 症状がないまたは軽度の症状がある。臨床所見または検査所見のみ。治療を要さない。
   Grade 2中等症 最小限局所的非侵襲的治療を要する。年齢相応の身の回り以外の日常生活動作の制限。
   Grade 3 重症または医学的に重大であるが、ただちに生命を脅かすものではない。
    入院または入院期間の延長を要する。活動不能、動作不能。身の回りの日常生活動作の制限。
   Grade 4 生命を脅かす 緊急処置を要する。
   Grade 5 有害事象による死亡

 その他私が気になったところを補足します。まずFig1と2の説明です。Fig1はA.PSA非再発率、B.臨床非再発率、C.前立腺癌生存率、D.全生存率です。勘の鋭い方は、PSA非再発率>臨床非再発率の関係に疑問を抱かれると思います。これはPSA再発率<臨床再発率を意味しているからです。論文を読めば分かることですが、実際はPSA再発率=臨床再発率なのですが、統計処理に用いられているカプランマイヤー法ではこのような奇妙な結果になるのです。簡単に説明すると、カプランマイヤー法では年数を経るにつれて、母数が減少するので1イベントの重みが大きくなるのです。臨床再発はPSA再発の後に生じるので、1イベントの比重が大きくなる訳です。あくまで統計処理なので、このような曖昧さが介在することに注意しなければなりません。
 次にFig2は、精嚢浸潤とリンパ節転移を有する患者さんの患部の画像とその患者の治療後のPSA経過です。画像は専門家でないとよく分かりませんが、治療後の経過は極めて順調ですね。
 論文で特に興味を持った点は、必ずしも転移がリスク要因の数と関係していない点です。再発患者6名の内、4名が1リスク(4/60=6.7%)、1名が2リスク(1/61=1.6%)、1名が3リスク(1/22=4.5%)です。患者数が少ないのでこれだけで結論できませんが興味深い結果です。転移はリスク要因とは別の要素を原因としているかもしれないと暗示しているからです。

 私の解説ですので、間違いや勘違い独断があると思います。これを読んでご興味を持たれた方は是非とも原論文を読んで確かめてください。
https://www.termedia.pl/High-biologically-effective-dose-radiation-therapy-using-brachytherapy-in-combination-with-external-beam-radiotherapy-for-high-risk-prostate-cancer,54,29511,1,1.html

<感想>
  ここから先は私の個人的感想であり、客観性を保証するものではありませんので、そのつもりでお読みください。

  論文にも書かれていますが、5年非再発率95.2%は、LDR&HDRの治療機関の中ではトップクラスの成績です。もちろん粒子線治療やロボットを含む手術と比較すれば、その差はもっと大きくなります。
5年非再発率は治療成績の目安として一般に用いられているものですが、実はこの指標には問題が潜んでいます。以前私が記載した内容をご覧になっていただければと思います。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/5149
つまりそこの「①患者のスクリーニング②ホルモン治療③病状認定」に記載した条件の違いが、5年非再発率の客観性を阻むのです。このうち②については最近漂流さんが鋭く指摘されていました。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/8357
従ってそのような点に注意を払って、この5年非再発率は見なければなりません。そうした観点からも滋賀医大の成績は秀逸です。何故なら画像上転移がない患者をスクリーニングせず治療しているからです。それどころか少数の近傍リンパ節転移を有する患者まで治療しています。さらにホルモン併用期間は1年という短さです。


 この成績が優れた結果であることは誰の目にも明かですが、この論文の意味はそれだけではないと思います。ある意味ストイックな治療姿勢が、新しい展望を切り開いていると思います。

 論文ではBED220Gy以上で照射することが、好成績を収めるキーポイントであると読み取れますが、未だ検証を要すると書かれています。確かにその通りでしょうが、この事は10年前のストーン先生のグループの治療経験からも導かれていることであり、下記の図25や
http://www.nmp.co.jp/member/oncoseed/download/seminar7.pdf
図13にデータがまとめられています。
http://www.nmp.co.jp/member/oncoseed/highrisk/index.html
最近では漂流さんも同じ図をアップされています。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/8397
 この論文はそれらをさらに一歩進めて裏付けたものと思われます。何故なら、リンパ節転移を含む患者さんにも治療を広げるなどしても、さらなる成績改善につながっているからです。

 Fig1のA.PSA非再発率に注目していただくと分かるのですが、再発は30ヶ月までに生じていて、それ以降はありません。これだけでこの後も再発がないと言えませんが、おそらく無いでしょう。この再発パターンは注目すべき傾向であります。そもそも治療法によって再発パターンは異なります。これに関して以前に投稿したので参考になさってください。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/7663
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/7676
その内容を要約すると、5年を越える長期の再発は、前立腺外への目に見えぬ微小浸潤が主な原因で、手術の方がその傾向が強いというものです。
 しかし実を言えば放射線治療でも同様の違いがあるのです。非再発曲線が長期に渡って尾を引くのは、この微小浸潤が充分治療されていないか、コールドスポット(治療の不備により生じる照射線量の低い領域)ができてしまったからだと考えられます。従って、私の想像ではBED220Gyが精度よく担保されれば、再発は最初の2~3年に限られて再発曲線は尾を引かないと思います。つまり滋賀医大の成績はこれまでのところまさしくこの傾向にあるのです。その結果は単にBED220Gy以上ではなく、コールドスポットもなく一様にくまなく治療されていることを窺わせます。
 非再発率の数値に注目するのは当然ですが、再発曲線のパターンにも目を向ける必要があると思います。上記の漂流さんご指摘の長期ホルモン併用治療でも、このパターンを長期に観察すれば必ず本来の姿が見えてきます。


 この論文の注目すべき点はPSA再発を起こした患者は6名であり、ハイリスク患者の5%以内であるという点です。上述の再発パターンを見る限り今後の再発はなさそうですが、絶対にないとは言えないので、この数値は厳密には言えません。しかし、その程度の値であることに変わりないでしょう。これまで再発原因の多くが、目に見えぬ遠隔転移の所為にされてきた訳ですが、この治療成績は、このような高リスク群であっても遠隔転移による再発は多くとも全体の5%以下であることを示したことになります。
 この結果は裏を返せば、この成績に及ばぬ治療は何某かの欠陥を抱えているということになります。つまりこの論文は、ハイリスク患者治療の良否を決めるスタンダードを提供したことになります。中、低リスクについては言及されていませんが、ハイリスクの治療成績は自ずと中、低リスクにも通底することであり、当然これ以上の治療成績が望めるということになります。

 さらにそのアグレッシブな姿勢は、リンパ節転移がある患者に心強い希望をもたらしました。前立腺近傍のリンパ節転移1~2個を有する患者5名は再発していません。そのことはさらに転移の多い患者の治療にも先鞭を付けるきっかけになります。


  • [55]
  • 滋賀医大岡本氏らの論文;抄録

  • 投稿者:ひげの父さん
  • 投稿日:2017年 3月15日(水)01時28分32秒
 
すでに漂流さんが訳されていますが、直訳気味で少し分かりにくいと思うので(失礼)、私の別訳も紹介しておきます。

目的:
高リスク前立腺癌に対する、低線量率ブラキセラピー(LDR)と外部照射(EBRT)および短期ホルモン療法(ADT)の組合せによる高線量放射線療法(生物学的等価線量:BED 220Gy以上)の成績を評価する。

対象と治療法:
2005年から2013年にかけて、高リスクおよび超高リスク前立腺癌患者143名が、LDR+EBRT+ADTの併用によるBED≧220 Gyの放射線量による治療を受けた。
高リスクの因子数は、1つだけが60例(42%)、2つが61例(43%)、3つとも高リスクであったのが22例(15%)であり、これには5人のリンパ節転移を有する疾患も含まれている。
外部照射の範囲は、疾患の広がりに応じて、前立腺および精嚢のみの場合と全骨盤域を含む場合がある。
生化学的再発はフェニックスの定義による。

結果:
6人が生化学的再発を発症し、5年生化学的非再発生存率(BFFS)95.2%が得られたが、生化学的再発(遠隔転移)を認められた6人の患者は、全て骨転移による臨床的再発を有しているため、5年臨床的非再発率(FFCF)は93.0%となる。
リンパ節転移のある症例については、いずれも生化学的再発には到らなかった。
死亡4名には前立腺癌特異的死亡も含まれており、疾患特異的生存率(CSS)は97.2%、全生存率(OS)は95.5%であった。

結論:
生物学的等価線量(BED)と生化学的非再発生存率(BFFS)との関係立証にはさらなる検証が必要だが、低線量率ブラキセラピー(LDR)と外部照射(EBRT)の併用による高線量(BED≧220Gy)放射線療法は、高リスクおよび超高リスク前立腺がんを対象とする5年生化学的非再発生存率(BFFS)において、優れた結果を示すことができた。


  • [54]
  • 滋賀医大 岡本らの論文

  • 投稿者:漂流
  • 投稿日:2017年 3月15日(水)00時50分40秒
 
http://www.termedia.pl/High-biologically-effective-dose-radiation-therapy-using-brachytherapy-in-combination-with-external-beam-radiotherapy-for-high-risk-prostate-cancer%2c54%2c29511%2c1%2c1.html

High biologically effective dose radiation therapy using brachytherapy in combination with external beam radiotherapy for high-risk prostate cancer

Keisei Okamoto, MD, PhD1, Akinori Wada, MD2, Naoaki Kohno, MD, PhD3
1Department of Brachytherapy for Prostate Cancer, 2Department of Urology, 3Department of Radiology, Shiga University of Medical Science,
Shiga, Japan

タイトル
内部照射と外部照射との組み合わせによる、高BED(biologically effective dose: 生物学的等価線量)での高リスク前立腺癌の治療

目的: 低線量率内部照射(LDR)、外部照射(EBRT)、そして、短期間アンドロゲン遮断療法(ADT)を組み合わせて、220Gyを超えるBEDで、高リスク前立腺癌を治療し、その成果を評価すること。

材料と方法: 2005年から2013年のまでの間、高リスク前立腺癌を患った143人に対して、LDR, EBRT, そして短期ADTを組み合わせてBED ? 220 Gyの放射線治療を施した。本研究での「高リスク前立腺癌の患者」は、高リスクと超高リスク前立腺癌患者から構成されていた。具体的には、60人は高リスク因子を一つ(42%)、61人は高リスク因子を二つ(43%)、そして、残りの22人は高リスク因子を三つ(15%)、このうち5人はリンパ節転移が認められた。 EBRTは癌の広がり方を勘案して、前立腺と精嚢だけに照射するか或いは、全骨盤照射を行った。

結果: 6人の患者は生化学的再発(PSAの再燃)が明らかとなったので、5年の実質生化学的非再発率は95.2%となった。生化学的再発は、本研究では、遠隔転移の症例でもあった。この生化学的再発をした6人は、骨転移という臨床的再発に至った。このことから、5年臨床的非再発率は、計算上、93.0%となった。リンパ節転移の患者については、何方も、生化学的再発は認められなかった。本研究の追跡で、前立腺癌が原因で亡くなられた1人を含め、計4人の方が亡くなられた。従って疾病特異的生存率は、97.2%、そして、全生存率は、95.5%と計算された。

結論:   LDRとEBRT を組み合わせて、BED ? 220 Gy照射は、生化学的非再発率において、卓越した成績をもたらすことが示された。

ここでは、スペースの関係で、抄録しか翻訳していませんが、この抄録からも判りますが、全文を読むと以下の事が明確に判ります。

生化学的再発は6人に認められ、ADT終了後、中央値23(12-30)ヶ月であること、遠隔転移は、その後、中央値9(0-18)ヶ月で確認された。このような短期間でのPSA再燃、そして、遠隔転移は、治療開始前に、既に、遠隔転移していたことを示しています。それを裏付ける証拠として、生化学的再発した6人は、前立腺内での癌の再発は認められなかったのです。
治療の段階で、既に遠隔転移している前立腺癌については、征圧出来ませんでしたが、前立腺内にある癌細胞、更には、骨盤内のリンパ節に転移している癌細胞は、完全に征圧することが出来ています。 つまり、遠隔転移がなければ、岡本らのこの治療法で、限局性前立腺癌、そして、たとえ、リンパ節転移があっても骨盤内であれば、完全に征圧(やっつける)ことが出来ることを示しています。


  • [53]
  • 治療法別PSA非再発率の比較表(第2版)

  • 投稿者:
  • 投稿日:2017年 3月 4日(土)20時38分57秒
  • 編集済
 
治療法別PSA非再発率の比較表 (改訂)で今まで調べた論文に掲載されているPSA非再発率の比較表を示しました。
今回、その後に調べたものを含め計39の論文の一覧を示します。

なおサイトには治療法比較3と題して、原論文へのリンク、サイトへのリンクの一覧表のページを公開しています。

表はオーストラリアでIMRTによる治療を実施し、オーストラリアの他の治療法との比較を実施した Shea William Wilcox 氏の論文、J Med Imaging Radiat Oncol. 2015 Feb;59(1):125-33に載せられている表を参考にしたものです。

リスク分類に関しては、患者の内訳(%)及び、NCCNリスク分類かD'Amicoリスク分類を示しました。

PCRTFのデータべースに受け入れる条件、Acceptance Criteriaには以下のように書かれています。

Only peer reviewed journals are included. Peer reviewed journals
are those in which every article is first reviewed by an expert panel
before publication.

ここで一覧表にあげた論文はピア・レビュー(査読)付きジャーナルに載ったものばかりということではないです。
博士論文、学会発表が学会誌に載ったもの等が含まれています。また、追跡期間なども特に規定していません。サイトを立ち上げ、営々と論文紹介をしたもののまとめです。

なお、ホルモン治療に関する情報は特に記載していません。




http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [52]
  • 東大山本健太郎氏の博士論文 VMAT治療成績

  • 投稿者:
  • 投稿日:2017年 2月 3日(金)18時26分43秒
 
ブログでVMATという記事を書き、東大、筑波大の博士論文でVMATを使用した治療成績を記述した東京大学 山本健太郎氏の論文の概要を紹介しました。その論文は以下の表題です。

コーンビームCTによる画像誘導放射線治療を併用した前立腺癌に対する強度変調回転照射の検討

論文は日本語で書かれているので、特に説明することはそうないかと思いますが、印象に残ったことをもう少し詳しくみて、以下に記述します。

治療装置に関しては、次のように書かれています。


東京大学医学部附属病院(以下当院と略す)では2007年にElekta社のSynergy
という治療装置を世界で先駆けて導入し、臨床研究を開始した[24]。


さらに前立腺の移動に関しては論文[27]の図を参照し、以下のように書かれています。

毎回の治療時の前立腺の移動量は、左右方向では2mm、前後・頭尾側方向では概ね
4mm以内に収まっていることが確認できた。

動く前立腺で前立腺の移動に関して調べたことを書きました。この論文では以下のように書かれています。


Shimizuらは、前立腺内に埋め込まれた金マーカーの治療時の移動を透視画像で
解析し、治療開始後2分以内であれば前立腺の移動量は前後、左右、上下ともに
2mm以内に収まっていたが、それ以上経過すると大きく変位することを報告して
いる[29]。


論文は2008年8月から2013年3月までにVMATで治療し、1年以上経過観察を実施した一連の前立腺がん患者287名が対象です。1回線量2 Gyで週5回、計38回 76 Gy での治療です。

患者の状況は以下のとおり。
年齢中央値71 (範囲, 48-84)

NCCN  リスク分類
低リスク  32人 (11.1%)
中間リスク 121人 (42.2%)
高リスク  134人 (46.7%)

高リスクの因子毎の数、割合は「表IV-1:患者背景と治療パラメータ」より以下のとおり。

治療前PSA >20 57人(19.9%)
T3 51人(17.7%)
T4  2人(0.7%)
GS 8-10 89人(31.0%)

5年PSA非再発率
低リスク 100%
中間リスク 97.2%
高リスク  90.0%

極めていい治療成績である。それはVMATという照射方式が優れているのか東大病院に優れたスタッフがいるからかその両方なのか分かりません。
金マーカーを埋め込むといった侵襲度が高い手法を用いないで良好な成績をおさめているのはとてもいいことだと思います。

また、人数はそう多くないですが、低リスクが100%というのもすばらしい。
愛知県がんセンターの富田氏の論文で紹介しましたが、愛知県がんセンターにおいても低リスク100%なので、IMRT+IGRTによる治療で治療計画がきちんとしていればいい結果になるということでしょうか。


24 Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2007 Nov 15;69(4):970-3.
27 Biomed Res Int. 2014;2014:960928.
29 Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2011 Nov 15;81(4):e393-9.


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [49]
  • トリモダリティ終了後1年半の症状

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2017年 2月 2日(木)16時29分26秒
  • 編集済
 
症状の概要

 最近の傾向として前立腺周辺にあった諸々の症状(http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/index/detail/comm_id/4214)が影を潜めつつあるということです。症状には山や谷があるのですが、昨年の秋以降何時の間にか影を潜めつつあります。この症状結構鬱陶しいのです。それに癌が悪化したのかもという心配も生じるし・・・。一時は癌とは無関係とも思ったのですが、やはり関係しているかもしれません。
 その代わりと言っては何ですが、血便が確認されました。幸い軽症らしいのですが、晩期障害の出現です。また肋の骨が痛むので心配の種が増えました。これまでもちょくちょくあったので神経痛と言い聞かせています。
全体的には、ゆっくりではあるが改善しつつあり日常生活に支障はありません。

放射線治療による症状

①排尿
 まだ少し炎症感があるので刺激が加わると早めに尿がしたくなります。夜間も1~2回な ので治療前の1回まであと一息です。半年前より微妙に改善しています。
②排便
 11月に血便があった頃は重苦しくガスも多かった。今は少し改善してきた。便の最後に うっすらと確認できる程度の血便です。10日ほど空けて2回しか確認していない。未だ に3回/日程度の頻便は続いています。
③前立腺の腫れ
 微妙に感じるが相当改善している。
④腰痛&皮膚炎
 以前は左に感じていたが最近は右に少し感じる。尾てい骨周辺の掻痒感はほとんどなく  なった。

放射線治療によると思われる変わり種症状

①リンパ球の減少
 以前は何時も白血球数5000/ul、リンパ球比率36%程度だった。治療後3ヶ月では4000/ul、 16%になった。そして4月には4000/ul、26.7%に改善した。10月は26.4%と改善は見られな い。
②臀部にある植皮採取のための古傷
 採取部と正常部の境目に軽度の潰瘍ができた。1年以上経過してもあまり改善しないので、 皮膚科受診。原因はともかく傷自体は重くないので、ステロイド軟膏で治療中。その結果 少し良くなりつつある。
③陰部先端周辺の発赤
 6ヶ月以降は一度も出現していない。
④肛門の内皮と外皮の境目に米粒大の出来物
 照射後3ヶ月くらいで消失。
⑤尿の異臭
 半年前からほとんどない。
⑥排便時に同時排尿が可能になった。
 現在も不可能ではないが、通常の状態に復しつつある。
⑦自転車乗車は堪える。
 照射後3ヶ月では5㎞で這々の体。1年3ヶ月では5㎞は楽勝だったが10㎞くらいかも。

ホルモン治療による症状(終了から1年2ヶ月)

①ホットフラシュはなくなった。
②ばてばてモードはかなり改善。
③身体のあちこち、特に関節周辺の痛みはなくなった。
④性機能はほぼ復活した。国旗掲揚も復活。Z旗もそれなりである。縮退した一物も復活の兆 しあり。ただし、たまは縮小したままである。何か分からぬが少し出るようになった?
⑤女性が通っても目がキョロっとは反応しない。しかし心の中で胎動するものを感じるよう になった。
⑥体重5Kg増は未だ減っていない。筋力は少し増している。
⑦足や手の体毛は7割、下腹の毛は9割、脇毛は2割復活。 髭は以前に近くなった。
⑧膨らみ気味であった乳は残念ながらそのままである。
⑨すべすべ肌は、元の鮫肌になった。額はまだテカっていない。
⑩柔軟になっていた関節が、固くなった。特に股関節の鼠径部が固くなった。
⑪コレステロール値の悪化は改善せず、むしろ悪化している。
 中性脂肪69→157→180→194mg/dl(2014、2015、2016年)、
 HDLコレステロール88→66→65→56mg/dl、LDLコレステロール112→123→135→169mg/dl。
⑫頭がふらつく感じはない。

その他

①尿道脇のしこり
 米粒大の存在に気が付いたのは数年前である。その間微妙に大きくなったような気がす  る。ゴナックス使用時には明  らかに縮小したが、その後は元に戻って特に変化なし。
 そんなところに転移することはないから安心するように言われた。
②仙腸関節や内股の痺れ
 左仙腸関節から股関節、左会陰から尿道、肛門、鼠径部、足にかけて、痺れの
 ような鈍痛が出る。治療開始後も半年くらい前まで続いていたが、3ヶ月くらい前から影を 潜めている。



  • [48]
  • トリモダリティ考

  • 投稿者:
  • 投稿日:2016年12月25日(日)10時03分53秒
  • 編集済
 
「トリモダリティ考」という表題をつけましたが、もちろん、医学的に前立腺がんに対する「トリモダリティ」 1) といわれる治療法を考察するものではありません。ネット空間他でどのように使用されているのかを検証しようとする試みです。


1. 初めての遭遇
「トリモダリティ」という単語をはじめて目にしたのは、腺友ネット:掲示板でのことでした。はじめて「トリモダリティ」という単語をしり、まるで魔法の療法のように感じました。琵琶湖の近くの病院で行っているとの情報でどこの病院なんだろうと思ったものだ。

掲示板内検索をすると今日現在で358件の記事があります。最初の投稿は「前立腺ガン 最善医療のすすめ」というひげの父さんの2013年6月10日の記事であり、藤野氏の著作を紹介しているものです。

初投稿以来3年半なので単純に割ると年平均102件の「トリモダリティ」という単語を使った記事が投稿されていることになります。

藤野氏の著作に関しては先のひげの父さんの投稿では「ズバリ言うならこれはお勧めですね」と書かれていますが、その問題点などをブログに執拗に書き、藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について indexにまとめました。

また、掲示板にも「藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』とStone氏の講演の類似」と題して投稿しました。これ以上言及しません。

2. Yahooでの検索結果
検索語は "トリモダリティ" とします。トリモダリティで検索すると検索エンジンは語を分割し、「トリ」でも「モダリティ」でもヒットするからです。

以下、検索時刻は2016年12月25日午前7時です。

2.1 「"トリモダリティ"」 で検索
1,890件ヒットし、topページの10件は以下のとおり。


1. トリモダリティ 滋賀医大へ | じじ..じぇんじぇんがん
2. トリモダリティ体験記 | じじ..じぇんじぇんがん
3. 高リスク前立腺がんの治療法別成績【1】|ブラキ・サポート
4. 信州のマサジロー | 前立腺がんトリモダリティ体験記
5. トリモダリティ治療で 高リスク前立腺がんを克服 - 滋賀医科大学 (PDF)
6. 高リスク前立腺がんでも根治が可能なトリモダリティ治療とは? | がんサポート
7. トリモダリティ考
8.前立腺癌密封小線源治療 | 滋賀医科大学 泌尿器科学講座
9. 自身の状態と希望で治療法を選ぶ前立腺がん治療:がんナビ
10. トリモダリティという単語

1.、2.及び4.は滋賀医科大で治療を受けた人のブログ記事です。 3.はシードを扱う(株)メディコンが運営するサイト、ブラキ・サポートの記事であり、以下のように書かれています。

<執筆>滋賀医科大学 泌尿器科 岡本圭生先生

6.は雑誌「がんサポート」の記事であり、以下のように書かれています。

監修 矢木康人 国立病院機構 東京医療センター泌尿器科
取材・文 伊波達也

9.は日経のサイト、がんナビ |がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートの記事です
7. は本稿の元の私のサイトの記事であり、10. は私のブログの記事です。
残りの2つは滋賀医科大のサイトの記事です。ただし、ひとつは旧サイトです。


2.2 「"トリモダリティ" 前立腺 site:ac.jp」 で検索
ac.jp ドメイン 2) に限定して検索した結果を以下に示します。「前立腺」という検索語を追加したのは他の部位を排除するため。

6件、検索されました。

1. トリモダリティ治療で 高リスク前立腺がんを克服 - 滋賀医科大学 (PDF)
2. 4. 前立腺癌小線源療法のリスク別 非再発率について ... - 滋賀医科大学
3. 3. 滋賀医科大学でおこなっている前立腺癌小線源療法の特徴について ...
4. CiNii 論文 - 3つの治療を組み合わせたトリモダリティ治療 10年生存率80%以上 ...
5. 全国トップクラスの前立腺がん 小線源治療を実践 - 滋賀医科大学 (PDF)
6. 腎がん・膀胱がん 前立腺がん・腎盂尿管がん - 九州大学病院 がんセンター (PDF)


4.は「"トリモダリティ"」で検索された6.の記事の書誌情報
6.は患者向けのパンフレットの一部に前立腺がんの中間リスクに対しては条件付き適応であり、その注として書かれた以下の文の「トリモダリティ」がヒットしたもの

内分泌療法、密封小線源治療、放射線外照射の3つを合わせて
(トリモダリティと呼ばれています)治療することは可能です。

なお、高リスクの適応はXとなっています。

残りの4件は滋賀医科大のサイトのページ。

2.3 「"トリモダリティ" 前立腺 site:go.jp」 で検索
5件検索されました
一覧表記は省略しますが、実質以下の2つです。

・2.3 「"トリモダリティ" 前立腺 site:ac.jp」 で検索した4.と同じで「がんサポート」の記事の書誌情報と同じもの
・金沢大学の小中弘之、並木幹夫の論文、併用療法の意義と効果(PDF)Japanese Journal of Endourology(2013)26:200-209

日本で初めて小線源治療をはじめた独立行政法人国立病院機構 東京医療センターは go.jp ドメインなのでその他の病院のサイトでの使用を確認という意味あいでの go.jp ドメイン に限定しての検索だった。
病院のサイトでは使用されていないということの確認となった。


3. Google Scholarでの検索結果
Google Scholarで「"トリモダリティ"」で検索した場合の結果。
がんサポート 記事 書誌情報
小中・並木論文


4.リンクされているページ
高リスク前立腺がんで、トリモダリティーを積極的に実施している施設 前立腺がんの小線源療法 日本メジフィジックス株式会社には現在、7つの病院のページがリンクされています。
なお、戸畑共立病院のアドレス、http://www.kyoaikai.com/kyoritsu/cancer/syousengen.htmlはリンクエラーとなるので、該当すると思われるページをリンクしました。

トリモダリティという単語が使用されているのは以下の4つです。ただし、滋賀医科大に関しては、上記のように別のページでは使用されています。

札幌医科大学附属病院 放射線医学講座
昭和大学江東豊洲病院 密封小線源永久挿入治療について
県立広島病院 放射線治療科
戸畑共立病院 前立腺密封小線源治療

なお、札幌医科大では「トリモダリティー」と記述されていますので、"トリモダリティ"ではヒットしなかった模様です。

昭和大学江東豊洲病院のURLは「http://www.showa-u.ac.jp/SHKT/」ですが、昭和大学江東豊洲病院外科系診療センター泌尿器科は「http://www.shkt-urology.jp/」であり、ac.jp ドメインでないので、先の ac.jp ドメイン限定での検索ではヒットしなかったということです。


5.使い方の違い
5.1 昭和大学
「4.リンクされているページ」の昭和大学江東豊洲病院 密封小線源永久挿入治療についてではこう書かれています。

当院での小線源治療の特色は、米国での経験および外部照射の治療データ
から、開始当初からリスク(後述します)の低い前立腺がんだけをシード
治療の対象とするのではなく、中リスク、さらに高リスクの前立腺がんに
もホルモン療法や体外照射と組み合わせた集学的な小線源治療を開始して
いることにあります(3者併用療法、トリモダリティ治療、2005年開始)。

シード治療と体外照射の放射線治療と長期のホルモン治療(約2年半)を
すべて併用する(3者併用療法、トリモダリティ)

当科での高リスク前立腺がんへの3者併用療法(トリモダリティ)の長期
治療成績です。

高リスクがんに対するシードを用いた併用療法(Trimodality、トリモダリティ)
の解説です


ここで使われているのはあくまでも3者併用療法という言葉が先にきて、その補足としてトリモダリティという言葉が使われているということです。

また、Trimodality therapyで示したようにシンポジウムの発表では表題は「ハイリスク限局性前立腺がんに対するTrimodality therapyの治療成績」ということで英語で表記されています。 3)

5.2 滋賀医科大学
「2.3 「"トリモダリティ" 前立腺 site:go.jp」 で検索」の3.で滋賀医科大では以下のように書かれています。

近年、難治性とされる高リスク前立腺癌に対してホルモン治療を短期におこ
ないながら小線源治療と外部照射併用による超高線量照射(高リスク癌に
対するこの治療をトリモダリティと呼んでいます)を行うことにより、非常
に優れたデータが海外より出ています。

「超高線量照射」に関して次のように説明しています。

われわれ小線源治療チームはマウントサイナイメディカルセンタで始めら
れたリアルタイムインプラントを高精度でおこなうため独自の治療プログ
ラムを編み出し、これにより他施設より圧倒的に高い線量の放射線を副作
用なくあてる経験と技術を有しています。


5.3 金沢大学 小中・並木論文
「"トリモダリティ" 前立腺 site:go.jp」 で検索された小中・並木論文ではこう書かれています。

小線源療法,外照射療法,ホルモン療法の3者併用(トリモダリティ療法)
まで踏み込んで,これまでの報告をレビューしながら併用療法の意義と
効果を考察したい.

これまで散見されている小線源療法と外照射併用のバイモダリティ療法,
あるいは小線源療法と外照射併用にホルモン療法を加えたトリモダリティ
療法の報告はあくまでもレトロスペクティブな研究としてまとめられた
ものであり,その結果について十分な検証がなされているとは言い難い.


小中氏はTrip臨床試験の名前はTri-Modality therapy からとり、論文、BMC Cancer. 2012 Mar 22;12:110.を書いている。この論文は小線源治療の論文で紹介しました。


6. 前立腺癌 診療ガイドライン 2016年版 での表現

日本泌尿器科学会編『前立腺癌診療ガイドライン 2016年版』メディカル・レビュー社が2016年11月1日に刊行されました。

トリモダリティ療法は高リスクに推奨となりましたが、「トリモダリティ」という言葉は使われておりません。3者併用療法という言葉が使われています。

P.167
CQ2 永久挿入密封小線源療法と外照射とホルモン療法の3者併用療法は
どのような患者に推奨されるか?

高リスク症例に推奨される。ただし一部にホルモン療法の必要ない患者が
存在し得る。中間リスク症例の一部にも適応があるが、明確な基準はない。
推奨グレードC1

推奨グレードに関してはP.2にこう書かれています。

推奨グレードC1 科学的根拠はないが、行うよう勧められる。


7. トリモダリティという言葉の意味の変化と拡散
以上、長々と「トリモダリティ」という言葉に関してYahoo検索結果他により提示しました。

トリモダリティは trimodality のカタカナ表記です。昭和医大、小中・並木論文では
その訳語である3者併用療法に続き()内で表記して使用しています。
またガイドラインではトリモダリティという単語は使われていません。

トリモダリティは3者併用療法であり、その言葉には療法自体が優秀であるといったことはうかがえません。

トリモダリティという言葉に優秀な治療法という含意をもつのは滋賀医科大のサイトでの表現からです。
治療法の説明と当院の技術力の高さをそれとなく各病院のサイトでは表現しますが、滋賀医科大のサイトは鮮やかに認知度高いサイト構成となっていると思われます。

さらにもう一つの特色は治療を受けた患者が自分のサイト、ブログまたは掲示板で治療経験を語ることだろう。もちろん、他の病院で治療を受けた人のページもありますが、病院名、医師の名前が暗に陽に分かるように書いているのが多いのは滋賀医科大ということだろう。ネット上での拡散といえます。

これからもトリモダリティは「超高線量照射」が可能で優秀な治療成績がある素晴らしい治療という意味あいでの拡散は続くと思われます。

最初に掲示板で認知した「魔法の療法」といった印象の由来が少し分かった気がしました。


私のサイトに記事を書き、それが3日後にYahooでの検索結果のTOPページに表示されたのはYahooの検索アルゴリズムはどうなっているかわかりませんが、もって良しとすべきでしょう。



1) 小線源治療と体外照射の放射線治療とホルモン治療を併用する療法(3者併用療法)
2) ドメインに関してはドメイン名の種類 - JPNICを参照のこと。
「AC.JPは国立大学法人、公立大学法人他」ということで、これらの組織のサイトに限定しての検索を意味します。
また、「GO.JP は日本国の政府機関、各省庁所轄研究所他」です。
3) 「(前立腺癌 OR 前立腺がん) "trimodality" site:ac.jp」で検索した結果は647件です。


http://inves.seesaa.net/


  • [47]
  • 私の生検

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2016年 9月17日(土)11時00分27秒
  • 編集済
 
私の生検入院の様子

 朝9時過ぎに家を出る。病院の入院予約センターで入院受付をすると、
入院の場合は駐車場料金が2000円/日かかると言われ
急遽もう一度公共交通機関で出直して来ても良いかというお伺いを立て、
大急ぎで家に帰ることになった。そして家から駆け足でバスに乗り何とか許可時間の前に再び病院に着くことができた。

 それから病棟に向かい受付や薬の管理、体温、血圧測定などのチェックを受け、
たぶん抗生剤と思われる5時間点滴が始まった。
以前は36°を下回ることも多かった体温が最近は36.5°を超えており、何か異変があるのかもと考える。
また血圧は160-110みたいな状態であるが、
これは最近の動揺と検査を控えての緊張のなせる業と理解しておく。

 4人の相部屋であるが向かいのTKさんは前立腺癌の頬骨転移で放射線治療中。
治療で口内がただれて痛み、40種類の薬で吐き気がしてご飯が食べられないとこぼしている。
また隣のTさんは腎臓癌で8年前の血尿に始まり、
他病院での複数回の手術の後ここに転院して抗癌剤と放射線治療の継続中。
斜向かいのNさんはこれまた腎臓癌の抗癌剤治療中。
皆それぞれ苦痛を押し殺しながら、やりきれなさに堪えて、
今さらじたばたしても始まらないという達観も交えての闘病中であった。

 3時過ぎにいよいよ生検室へ案内された。そこには見慣れぬ処置用の椅子が置かれていた。
尻に穴が空いたパンツに穿きかえると一気に緊張状態が全開になった。
そして妊婦のような格好で仰向けに椅子に横たわる。
すぐに先生達がやってきて検査に取りかかった。
そこに外来で見慣れたK先生の顔を発見して少しほっとした。
検査担当医が直腸内に麻酔の入ったクリームを塗り、
これ以外に研修医と思われる人たちもクリーム塗りと触診の研修を兼ねてクリームを擦り込む。
入れ替わり立ち替わり「失礼します! 」、グリグリという具合である。
そして直腸に経腸超音波計測器を入れて画像で前立腺の様子を検討し、差し込む位置や本数を決める。
全部で10本にするようだ。外腺部も怪しいが内腺部も怪しいので、本数も増やして少し深く入れるようである。

 まもなく肛門にきりきりという痛みを感じ、その後バチンという音と共にズギーンと衝撃的な痛みが走った。
「こんな感じですが我慢できますか?」と声ががかかったが、はたして我慢できないと言えるのだろうか・・・。
その後キリキリ、ズギーン、うっという呻き声と共に左足がわなわなっと震える。それを10回繰り返した。
「痛さは個人差が大きいので何とも言えません。あなたの場合は痛かったみたいですね・・・。」
「う~ん、痛いなんてものではないわ・・・。」心の中で呟いた。
骨折は顔から火が出るような痛みであるから異なるが、痛みの程度は同等である。
従って、10回連続して骨折したような苦しみと疲労感であったと言える。

 最後に昨日のCTの結果に問題はなかったというK先生の言葉掛けがあった。
そのことだけでも今の私にとっては朗報ですと答えるのが精一杯であった。
CTに問題がないということは、内臓関係には転移していない可能性が高いという意味であろうと思ったからである。

 痛みで立ち上がれないかと思ったが意外にすぐに立つことができた。
ベッドに横たわったりしていると、この痛みは夕刻には薄らいできた。
その後就寝まで3度小便をするが、回を重ねるほど少し血尿が出るようになった。
そして腫れて尿の出が幾分悪くなっている気がする。

 隣人達と四方山話をして夜は9時に消灯。病院はシーツをかけると自分には暑すぎる。
空調の音や慣れぬ環境で1時間くらい寝付けなかったが何時の間にか眠りに落ちてしまった。
気がつくとシーツがかけられていた。看護師さんが掛けてくれたのだろう。
朝一番の小便は薄く濁ったウーロン茶のような色をしていた。大便にはあまり出血の痕は見られない。
また痛みは嘘のように消えていた。それらを見た上で本日退院が決定。同室の皆にお別れして退院手続きをした。
その後も痛みはほとんどないが、尿には血が混ざることもある。

先生はすでに抗癌剤で治療を開始した方が良いと言って薬を出してくれた。
もし違っているならそこで止めれば良いだけの話であるということであった。
この前診察してもらったTクリニックでも同様の意見であったので自分もその方が良いと考えている。
この抗癌剤は男性ホルモンを抑制するものである。こうした経緯から治療は放射線になるものと考える。

「病得て いとしさ満つる 命かな これほどまでと 誰か思わむ」

 生検後の血尿は退院した日の夜にかけて悪くなった。
退院時点は出始めに少し赤い程度であったが、徐々に赤味を増し尿全体が赤くなってきた。
また体温は36.8°と自分としては微熱モードである。
就寝時も何か気持ちよく寝れない。
翌日心配になって病院に尋ねるとK先生が応対してくれた。
血尿がトマトジュースのようになっていなければ大丈夫。
もしそのようになれば直ぐに病院に来てくれという指示であった。

 この日も夜にかけて出血が多くなったが昨日よりよくなった。翌朝はさらに改善してほとんど血尿は出なくなった。そしてそれが夜まで持続した。傷跡と思われる部分は時折チクッと疼く。

 退院後は何か寝苦しい。いや生検の夜からである。頭痛というのではないが後頭部にぼんやりと重ったるさを感じる。生検による体調の変化か、それともその後飲み始めたカソデックスの影響かは分からない。ちなみにカソデックスは生検の翌日から飲み始めた。



  • [46]
  • トリモダリティ治療終了後1年目の症状

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2016年 8月 3日(水)11時45分0秒
  • 編集済
 
 先週、治療終了後1年目の診察にS医科大に行ってきました。
ここに至って思うことは、現在日常生活に支障があるような症状は特に無いと言うことです。
従って、この治療を受けられて良かったと感じ始めているところです。そしてS医科大の先生方を始めスタッフに感謝しているところです。

 かと言って、症状が皆無というわけではないので、
治療前や治療途中の方の治療経過の目安として、私の現在の症状を報告するものです。
ここでは、私の身体で感じた症状を記載しているので、
治療との関連を断定するものではありません。悪しからずご了承ください。


症状の概要

 治療後の1~2ヶ月は、小線源に加え外部照射の急性期の症状がめまぐるしく変化するが、
その辺りで大体収まって以降の変化は極めて緩慢である。
従って、6ヶ月前と大きく変わらないのであるが、それでも微妙に改善に向かっているように感じる。
そこで6ヶ月前の下記の報告を基準にして報告する。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/t2/38


放射線治療による症状

①排尿
 炎症間や切迫感は薄らいでいるが未だ残存する。尿回数は、10回(日中)、
 1~2回(夜 間)と治療前の回数に近づいている。日常生活でほとんど支障ない。
 ユリーフは7ヶ月前に服用を止めた。
 その後2~3ヶ月経過するうちに徐々に夜間尿が2~4回に増加したが、
 ココアの飲用で再び減少している。
②排便
 2回/日程度と少し頻便気味であるが改善している。ガス排出は少なくなった。
 服用しているエビオスの効果が認められる。便意を催した後の堪え代は復活した。
 たぶんユリーフの所為だったと思う。
③前立腺の腫れ
 局部の重苦しさは残っているが、改善している気がする。
④腰痛&皮膚炎
 腰の鈍痛はあるが改善しているように思う。尾てい骨周辺の掻痒感は時々出るが、
 痒みが少なくなっている。

放射線治療によると思われる変わり種症状

①リンパ球の減少
 以前は何時も白血球数5000/ul、リンパ球比率36%程度だった。
 治療後3ヶ月では4000/ul、16%になった。そして9ヶ月では4000/ul、26.7%に改善した。
②臀部にある植皮採取のための古傷
 採取部と正常部の境目に軽度の潰瘍ができた。以前より治癒しつつあるが未だ完治してい ない。
 今回の診察で照射野の外であるから関係ないだろうという判断であった。
③陰部先端周辺の発赤
 外部照射後3~4回、所々発赤し痛痒くなる。以前は一度もなかった症状であった。
 6ヶ月後以降は出現しなくなった。
④肛門の内皮と外皮の境目に米粒大の出来物
 まさしく米粒のような固い出来物が突き出すように出現。照射後3ヶ月くらいでほぼ消失。 その後はそのままである。
⑤尿の異臭
 時々妙に生臭く、臭い尿が出ることがある。時には便のような臭いにも感じられる。
 尿を見た感じでは特に異常はない。この症状は外部照射途中から感じ始めた。
 この症状は最近出現していない。
⑥排便時に同時排尿が可能になった。
 これまでそのような芸当はできなかった・・・。これは改善?しつつある。
⑦自転車乗車は堪える。
 照射後3ヶ月では5Kmが限界。その後は未だ試していない。
 前立腺に未だ違和感があるので制限はあると思う。

ホルモン治療による症状(終了から7ヶ月)

①ホットフラシュは時たまあるが、非常に弱まっている。
②ばてばてモードは微妙に改善。
③身体のあちこち、特に関節周辺の痛みは、ほとんど出なくなった。
④性機能はこの2ヶ月で大分回復してきた。国旗掲揚も復活。ただしZ旗は未だ上がらず・・・。
 半分くらいに縮退した一物は、ほぼそのままである。 とほほ・・・。
⑤治療前は女性が通ると目がキョロっと反応していたが、現在は皆無である。
 馬鹿な失敗がなくなって良くなったとも捉えることができるが、生来の心の動きがなくなり、
 想像以上に心へのダメージが及んでいると思う。それはカラーがモノクロに変わる程である。
⑥体重5Kg増は変化ないが、臍下から膝上に集中していた脂肪が微妙にスリムになり、
 その代わりに筋力が微妙に増している。
⑦足や手の体毛、下腹の毛は少し復活している。消失した脇毛は未だ皆無。
 髭には固さが戻りつつある。
⑧膨らみ気味であった乳はそのままである。
⑨すべすべになっていた肌が少し脂ぎって、鮫肌になってきた。未だ額がテカる程ではない。
 入浴すると肌があちこち痒くなっていたが、少し改善してきた。
⑩柔軟になっていた関節が、少し固くなってきた。筋力が付いたからであろうか?
⑪コレステロール値の悪化は改善せず。中性脂肪69→157→180mg/dl(2014、2015、2016年)、
 HDLコレステロール88→66→65mg/dl、LDLコレステロール112→123→135mg/dl。
 血圧も上昇して2014年から降圧剤服用。
⑫治療中はどこか頭がふらつく感じがあり、意識がぼんやりしているような感覚があった。
 また平衡感覚にも異常があり「体が傾いているような感覚、斜めに歩いているような感覚」(ランナーさん記載)
 もあった。現在はスッキリしている。


その他

①尿道脇のしこり
 米粒大の存在に気が付いたのは数年前である。その間微妙に大きくなったような気がする。
 ゴナックス使用時には明らかに縮小したが、その後は元に戻っている。
 そんなところに転移することはないから安心するように言われる。
②仙腸関節や内股の痺れ
 左仙腸関節から股関節、左会陰から尿道、肛門、鼠径部、足にかけて、痺れのような鈍痛が出る。
 この症状はもう30年くらい前からあるが、ここ10年あまりは徐々に重くなっていた。
 波はあるが、治療開始後も現在に至るまで続いている。
 前立腺と関係あることは間違いない。
 ホルモン治療で癌が休眠している時も感じることがあったので、
 癌と直接関係していないかもしれない。
 最近は微妙に改善している気がする。

  • [45]
  • ホルモン併用救済放射線治療

  • 投稿者:
  • 投稿日:2016年 7月14日(木)09時40分37秒
 
前立腺がんに対し、手術を行った後、PSA再発となった場合は、救済放射線照射を行なうか、ホルモン治療を実施するということになります。

ホルモン併用放射線治療の有用性についてのランダム化比較試験が実施されました。それはNCT00423475であり、論文、Lancet Oncol. 2016 Junで報告されています。
この臨床試験はフランスの43施設において2006年10月~2010年3月に実施され、743人が以下のようにランダム化されました。

病期は以下のとおり
pT2, pT3, pT4a (膀胱頸部浸潤のみ)

・救済放射線治療単独治療群(RT単独群) 3次元原体照射 または IMRT 66 Gy/33回 照
・救済放射線治療に短期ADT併用群(RT+ADT群) 単独群と同様の照射に加えゴセレリン(商品名 ゾラデックス)10.8 mgを放射線治療開始日および治療3か月後に投与

RT単独群 374人
RT+ADT群 369人

RT単独群と比較して、RT+ADT群で有意に5年時点でのPSA非再発率が良好でした。
RT単独群 62%
RT+ADT群 80%

参加病院の数も多く、多人数のランダム化比較試験ということで信頼性は高いかと思います。顕著に差がでて、なぜ、このような差がでたのか知りたいところとです。

詳細を知りたいと思いますが、有料であるfull text を読もうとは思いません。


http://inves.seesaa.net/article/439934459.html


  • [44]
  • 愛知県がんセンターの富田氏の論文

  • 投稿者:
  • 投稿日:2016年 5月24日(火)20時39分14秒
  • 編集済
 
以前、IMRT vs brachytherapyで愛知県がんセンターの放射線治療部の富田夏夫氏他の論文を紹介しました。今回、Google Scholarで検索し、富田氏の新しい論文、J Cancer Res Clin Oncol. 2016 May 2をみつけましたので、概要紹介します。


・2006年6月~2013年12月のT1-4N0M0 の391人の患者が対象
・照射線量中央値は78Gy
・ホルモン治療は下記のとおり
 全例に対してネオアジュバントADT療法を施行し、施行期間中央値は10か月
 アジュバントADTの期間中央値は19か月、ホルモン治療全体の施行期間中央値は27か月

・5年PSA非再発率
 低リスク 100%
 中間リスク 98.2%
 高リスク  97.7%
 超高リスク 87.9%

full text のページの Look Inside をクリックすると、2ページ分だけ読むことができます。
Table1 に患者の詳細な内訳が載っています。

高リスク  158人(40.4%)
超高リスク 112人(28.6%)

ということで、高リスクの割合が大きいといえます。


さらに
中間リスク 88人(22.5%) での結果がPSA非再発率 98.2% ということは病院は違いますが、中間リスクで同じ放射線治療装置(トモセラピー)での治療を受けた患者としては心強い感じです。
もちろん、病院による技量の差はいかんともし難いとは思いますがそのことを別にしてもIMRTでの治療成果を継続して論文発表しているのはとてもいいことだと思います。
7年PSA非再発率、8年、10年の治療結果の論文を期待するところ大です。

今回は医学的な情報とはあまり関係ない私的な感想もダラダラと書き連ねました。

http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [43]
  • 与謝野馨『全身がん政治家』 高気圧酸素療法

  • 投稿者:
  • 投稿日:2016年 5月 6日(金)15時03分40秒
  • 編集済
 
最近、与謝野馨『全身がん政治家』文藝春秋を感銘深く読みました。
その内容の紹介と中で書かれていた高気圧酸素療法について書きます。

本を読もうと思ったのはブログ、がんサバイバー 与謝野馨著「全身がん政治家」を読んでを読み、4つのがん(悪性リンパ腫、直腸がん、前立腺がん、下咽頭がん)と転移を経験した与謝野さん、どのようにがんに立向ったのかを知りたいと思ったからです。

最初は前立腺がんについての話だけを読みましたが、それ以外の部分も読み、読了しました。


まずは前立腺がんをどのように治療したかについて。

前立腺がん確定時(2001年)の年齢、PSAなど

年齢:63歳
PSA :6.63
グリーソンスコア:4+3
陽性率:4/8

2001年 12月より ホルモン治療(リュープリン)開始 7か月続ける
2002年 7月より 3D-CRTによる放射線治療 (1回 2 Gyで33回照射 計 66 Gy)

2012年 PSA再発 8.4 ホルモン治療再開

10年以上たって、PSA再発したことに驚く。

国立がん研究センター中央病院で治療したということで、角美奈子医師(現在、がん研有明病院 放射線治療部 副部長)の話で印象に残ったことは次のとおり。

P.93
療後の生活の質を考えた時に、これまでの治療履歴と副作用のリスクを
考えて、泌尿器科で与謝野さんに放射線治療を勧めてもらったようです。

P.93
密封小線源治療はアメリカではすでに行われていた治療ですが、日本には
まだ入ってきていなかったので、渡米する必要がありました。

P.98~99
もし、与謝野さんのがんの悪性度を示す「グリーソンスコア」の数値が「6」
だったら、つまり、低リスクのグループに入る前立腺がんであったならば、
当時でも「渡米してこの治療を」と、もっと強く申し上げたと思います。
そうすれば、膀胱にかかる線量が違ってきますから。

小線源治療適応可能で金銭的、期日的に問題ない人は2002年当時も渡米して
治療を受けていたのでしょう。

以下がんに向き合うことに関していくつか引用します。
まず、最初は主治医の込山元清医師に外来で言われた言葉

P.223
「私もいろいろがん患者さんに接してきましたが、与謝野さんみたいに冷静に、
客観的に、自分のことを見られる人のほうが、結果的によい経過をたどるんで
すよね」

そうして、与謝野さんの述懐
P.224
私は四つのがんと三度の再発、合計七回のがんを経験する中で、「病気を治す」
ということに関しては、人一倍強く「治るんだ」と信じて治療を受けてきたと
思います。しかしその一方で「患者であることに夢中になってはいけない」と
いう意識も強く持ってきました。
ですから、私自身は何度もがん告知を受けても、できるだけ冷静に自分のがん
と向き合い、時には病気であることを忘れ、ごく普通に暮らしてきた。
それだけです。

この「患者であることに夢中になってはいけない」という言葉は含蓄あります。普通に暮らすことの重要性を強調しています。

ただ、私は「知る」ことを何よりも大事にしています。


高気圧酸素治療

掲示板には高気圧酸素治療に関していくつか投稿があります。
2010年10月22日の投稿
2014年4月14日の投稿
2014年6月26日の投稿
2014年6月28日の投稿

カナダ在住のビーバーさんは「2年後放射線の後遺症で大腸からの出血アルゴンガスの治療で治り」、膀胱から出血は高圧酸素治療でよくなったということです。


与謝野馨『全身がん政治家』に高気圧酸素療法について書かれています。

放射線治療後の後遺症で血尿がひどくなり、膀胱洗浄を繰り返していたのが、東京医科歯科大で高気圧酸素治療を行って顕著な治療効果がったということです。かかった費用も20回通院して2万円とのことでした。
金額に関しては、P.191に東京医科歯科大の柳下医師の話として次のように書かれています。

医療費も現状では、与謝野さんの治療は一回200点、二千円の三割負担なら
六百円に初診料、再診料がプラスされるので、一回の実質的な負担額は
九百円と安価です。安価すぎる点が治療施設が広がらない大きな要因です。


与謝野さんは以下のように書かれています。

P.182~183
高気圧酸素治療というのは、潜水艦のような大きな機械の中に入って、椅子
に越し掛け、先生の指示に従って酸素マスクをつけたら、その中で二時間、
酸素を吸って座っているだけでいい治療法です。密閉された室内の気圧が、
ゆっくりと二気圧まで上がっていくので、鍵や携帯電話などの金属類は中に
持ち込めません。本なら構わないということだったので、私は哲学や政治に
関する本を読みながから、二時間を過ごしました。

P.184~185
高気圧酸素療法は、昔からある治療法だそうですが、放射線障害にこれほど
効果があるということは、一般的にほとんど知られていません。

治療を受けた東京医科歯科大学の柳下和慶医師の話

P.186~187
放射線治療はがん細胞に対して有効ですが、ある一定量の放射線をかけますと、
どうしても放射線障害という後遺症が出てきます。放射線が当たった細胞の中
でDNAの問題が起きているといわれているので、放射線をかけた直後ではなく一
年後とか一年半後、もしくはそれ以上の時間が経ってから少しずつ障害が現れる
のです。
細胞組織にどんな影響が出てくるかというと、まず毛細血管が少なくなって血流
量が大幅に減るため、「線維化」という組織が硬くなる症状が起きてきます。
血液は酸素と栄養を運んでいますから、血流が減ると、細胞組織に大きなダメージ
を与えます。みずみずしい細胞の形ではなく、硬くボロボロした状態になるのが
繊維化です。粘膜ではとくにこのような反応が出てきます。与謝野さんの場合は、
直腸と膀胱が痛んでいました。

高気圧酸素療法とは、簡単に言うと、傷んだ細胞に足りなくなった酸素を供給で
きるシステムです。

P.189
高気圧酸素治療は、仕組みとしては非常にシンプルなものです。狭いカプセルを
イメージされる方が多いのですが、当院のものは同時に十六名が入れます。
日本最大級の施設です。複数の患者さんが同時に入れる装置は、全国で四十九
施設ぐらい。都内では、五~八人用が、日本医科大学荏原病院東芝病院
ある程度です。

お知らせ - 国立大学法人 東京医科歯科大学附属病院 「当院の高気圧酸素治療と、いわゆる「酸素カプセル」との違いについて」によると、「ベッカム・カプセル」(酸素カプセル)と全く違うものとのことです。

一人用の高気圧酸素治療装置もあります

酸素カプセルではなく、2絶対気圧まで加圧し、100%酸素を吸入する高気圧
酸素治療装置もあります。世界的に認められているもので、酸素カプセルと
混同してはいけません。日本高気圧環境・潜水医学会でも、保険適応にも
なっている治療法、治療装置で、日本では約700-800の病院にあります。

一人用の写真が載っていますが、通常やはりこの写真のようなイメージをもちます。


放射線治療後の後遺症の対処に関して、日本放射線腫瘍学会 小線源治療部会 第12回研究会 尿道・直腸合併症の克服 2010.5.16に詳しく書かれています。

京都大学の溝脇尚志氏は晩期直腸出血に対する治療選択肢について次のように書いています。

晩期直腸出血に対する治療の選択肢ですが、Grade 1の状態では、経過観察や痔
で使用する座薬や軟膏の処方で充分に対応ができます。しかし、Grade 2から3の
状態では、ステロイド液の注腸もしくはスクラルファート液の注腸、高圧酸素療法
を行います。また、止血が困難な場合には、内視鏡下でアルゴンプラズマ凝固装置
(以下、APC)による焼灼を行います。

更に晩期尿路障害は以下のように書かれています。

晩期尿路障害では、治療選択肢は少なく、何もせずに経過観察を行うか、止血剤
を投与します。また、高圧酸素療法は非常によく効くので、膀胱出血には非常に
いいと思います。これらの方法で出血が治まらない状態であれば、内視鏡下での
焼灼が必要になる場合があります。

晩期尿路障害に関しては高圧酸素療法は非常によく効くということのようだ。
与謝野さんの本に柳下氏がはじめに「膀胱出血している人はこの治療を受けて八十二%が治っています」と説明されたと書かれています。

もし、私に晩期尿路障害が起きた場合はとっとと紹介状を書いてもらい東京医科歯科大を受診すればいいかなと思いました。


北九州市 トリモダリティ 実施病院 で言及しました病院も「現在第1種装置(1人用)を4台所有し、治療実績は年間4500~5000例と日本ではトップクラスに位置しています。」ということで積極的に治療しているようです。

臨床工学科 高気圧酸素治療


http://inves.seesaa.net/article/434412219.html


  • [42]
  • 藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』とStone氏の講演の類似

  • 投稿者:
  • 投稿日:2016年 4月 4日(月)14時19分42秒
  • 編集済
 
藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』実業之日本社を、再読、再再読し、精読した読後感想を延々とブログに15回にわたりアップしました。
なお、私の読んだのは「2013年6月4日 初版第一刷発行」です。

細かい指摘は別として、私自身に一番関心のある前立腺が動くことに関しては「前立腺が動くことに関しての外照射の精度」と題して掲示板にも投稿しました。

ひとわたり、ブログでの記載が区切りがついたところで、私にとって書き続けたことについて、どうしてそこまで一生懸命になったのか気がぬける事実をみいだしましたので、スレッド本体ではなく、「論文・詳細スレッド」に少し長くなりますが書いてみます。

それは藤野邦夫氏の著作とStone氏の講演の類似と藤野氏の臨床試験番号の記述間違いといったことです。


Stone氏の講演記録
ハイリスク症例に対する密封小線源療法の可能性 講演:Nelson N. Stone MD
2008.12月作成


なお、この講演はWebサイトに掲載されています。
ハイリスク症例に対する密封小線源療法の可能性 前立腺がんの小線源療法 日本メジフィジックス株式会社

このページは私が最初に掲示板に2014年8月25日に投稿した後、GANBA-SETA さんが2014年8月26日の投稿で「次の資料も大いに役立ちましたので、ご参考までに。」という紹介文とともにURLを書き紹介していただいたものです。
既に藤野氏の著作との類似はGANBA-SETAさんはご存じで、今頃、気づいた私が遅いのかもしれません。

A
Stone氏の講演記録

ホルモン療法 + 外照射療法
よく引用される研究で、多くの放射線腫瘍医が外照射療法と長期
ホルモン療法を併用する根拠にしているものに、RTOG 9202の研究
があります。これは高リスク前立腺癌に対して2年間のホルモン療法
と放射線療法を併用しPSA非再発率をみたもので、線量は65~70Gy
です(図8)。2年間のホルモン療法と併用しても5年目には、50%
の患者が再発しています。ここから読み取れるメッセージは、たし
かにホルモンは有効かもしれませんが、不十分な放射線量を補うこ
とはできないというものです。


藤野氏の著作

P.266
長期のホルモン療法と外部照射を併用する治療法については、アメ
リカのRTOG-9209という研究が知られている。
これは高リスクの前立腺ガン患者にたいして、外部照射と2年間の
ホルモン療法を併用した治療法の研究だった。外部照射の線量は
65~70グレーだったが、5年めには50%の患者が再発したのである。
このデータでは長期のホルモン療法をしても、外部照射の線量の
不足を補えないことが示されている。


B

Stone氏の講演記録

前立腺全摘除術 + 補助放射線療法
Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)のDr. Michael
Zelefskyは、中間~高リスク前立腺癌の場合、放射線療法の線量を
上げるほど(最高で81Gy)優れた結果が得られることを明らかにし
ています。しかし81Gyであっても、まだ12%の患者では前立腺癌が
残存していました(図7)。つまり、この限局性疾患の全てを根絶する
には、81Gyでは不十分だったのです。


藤野氏の著作

P.149~P.150
アメリカのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC)
のDr.マイケル・ゼレフスキーは中リスクと高リスクの患者を対象に
最高で81グレーを照射しても、12%の患者に前立腺ガンがのこったこ
とを、2001年に明らかにした。


藤野氏の表現を盗作、あるいは剽窃 1) とよんでいいのか私にはわかりません。ただ、いえることはStone氏の講演記録を大いに参考にしただろうということです。

藤野氏の著作のP.265にはStone氏の講演、「前立腺全摘除術 + 補助放射線療法」で言及されたSWOG-8794についても書かれています。
ただし、これはStone氏の講演と違った表現です。


まず、 A から
Stone氏は講演で、論文 2) より図をあげて説明しています。
藤野氏の著作には書かれていない文、「よく引用される研究で、多くの放射線腫瘍医が外照射療法と長期ホルモン療法を併用する根拠にしているものに、RTOG 9202の研究」について書きます。
根拠といっていますので、NCCNガイドラインを調べました。
2014年版、及び2012年版に高リスクまたは超高リスク患者に対するホルモン療法を併用するのに短期より長期のほうがいいということのエビデンスとしてRTOG9202はあげられています。 3)
なお、NCCNガイドラインではStone氏のあげた論文ではなく、その後をフォローした2008年の論文 4) が参考文献としてあげられています。

このように結構有名な臨床試験、RTOG 9202 (論文の表記では92-02)ですが、藤野氏はRTOG-9209 と間違えて記述しています。

RTOG-9209 で検索したところ、見つかったものは"pancreatic cancer"、膵臓癌に関する論文でした。 ??? といったところで、なぜこのような大事な臨床番号を間違えるのかと思いました。そうして著作への執筆姿勢といったものを疑いを持ち始めました。
単純なミスだとしてもとうてい看過できないものです。医学論文ではないのでそんなに厳密である必要はないですが、間違ってはいけないところを間違えていると思いました。
そのような本を時間をかけて読み、論評したこと自体がバカバカしいと思いました。

その後、Google検索で「トリモダリティ」で検索したところ、上記の日本メジフィジックス株式会社のページがみつかり、正しい臨床試験番号とStone氏の講演との類似が分かったということです。

次にBについて
Stone氏は講演で、論文 5) のFIG.3. とTABLE 2.により説明しています。
Aの場合と同様に藤野氏が言及していないStone氏の講演記録の文を書きます。
「中間~高リスク前立腺癌の場合、放射線療法の線量を上げるほど(最高で81Gy)優れた結果が得られることを明らかにしています。」
これはFIG3. からの帰結することのようで次の文は少し複雑です。
「しかし81Gyであっても、まだ12%の患者では前立腺癌が残存していました(図7)」

これはTable2の値から次のような計算で求められた値のようです。

低リスク  0/7  0%
中間リスク 3/18 17%
高リスク  1/16 6%
従って、 3+1/18+16 = 0.118 で 12%

論文のabstractでは放射線治療後、生検を受けた人が251人 いて、それを81 Gy、75.6 Gy、70.2 Gy 及び64.8 Gy で陽性になった人の人数、割合を提示していて、高線量が好成績ということをいっているものです。full text のTable2ではその各々の件数、割合が書かれていて上記のように計算して 12 % という値を求めたということです。

放射線治療後、生検をするのが一般的だったかどうかわかりませんが、その陽性である割合を提示して、中間リスク、高リスクにおいて81Gyでは不十分ということをStone氏がいっています。
藤野氏は似たような論(「残存していました」と「のこった」とは表現は少し違うが)をfull text を参照して導き出したのでしょうか。

少し煩雑になりますが、論文のabstractの概要を紹介します。

・ 1988年~1998年の 3D-CRTまたはIMRTで治療されたT1c-T3の患者 1100人が対象
・ 5年PSA非再発率
  低リスク  64.8~70.2 Gy 77%
        75.6~86.4 Gy 90%
  中間リスク 64.8~70.2 Gy 50%
        75.6~86.4 Gy 70%
  高リスク  64.8~70.2 Gy 21%
        75.6~86.4 Gy 47%

75.6 Gy以上の線量で治療したほうが、PSA非再発率がよかったという論文です。

藤野氏はP.150で先にあげた引用の文の後にこのように書いています。

「MSKCCは、いまでは86グレイ以上の線量を照射しているが、日本には、
そこまでの技術をもつ施設はないのではなかろうか。」

MSKCCは上記の論文では "75.6 to 86.4 Gy" と書かれていて、2001年の論文発表の時期にはすでに86.4 Gyで照射していることを認識していない文です。
すなわち、論文のabstractすら読んでいないと思われます。まして、full text を読み、計算したとは思われません。
Stone氏の講演の文(最高で81Gy)を当時の最高線量を81Gyと誤解したと思われます。

なお、藤野氏の「MSKCCののDr.マイケル・ゼレフスキー2001年に明らかにした」という文より、PubMedで"Zelefsky MJ[Author] "で検索し、Sort by First Author でソートし、2001年でZelefsky氏が筆頭著者になっている唯一の論文として上記のものをみつけましたが、abstractをみると12%というのもでてこないし、論文の主旨も違っているので、藤野氏が年を誤記したのかと思っていました。



1) Wikipedia:剽窃には以下のように書かれています。

剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)は、他人の成果物をクレジット表示することなく取り込むことです。

2) Hanks GE et al. J Clin Oncol. 2003 Nov 1;21(21):3972-8

3) 2014年第2版

MS-14
高リスク群でのネオアジュバント/同時併用/アジュバントADTについては、短期より長期の実施を支持するエビデンスが多くなってきている。RTOG9202試験では、RT施行前から施行中にかけて4ヵ月間ADTを受けたT2c~T4の前立腺癌患者1,521人が対象とされた。被験者は治療を終了する群とさらに2年間ADTを継続する群とにランダム化された。

10年時点で、長期ADT群では全生存を除くすべてのエンドポイントについて改善が示された。さらにグリソンスコア8~10の患者だけを対象としたサブグループ解析では、 長期ADTの全生存における優位性が示された(32%vs  45%、P=0.0061)。

これは2012年版のMS-19でもまったく同じ表現です。

4) Horwitz EM et al. J Clin Oncol. 2008 May 20;26(15):2497-504.

5) Zelefsky MJ, et al. J Urol. 2001 Sep;166(3):876-81.



http://inves.seesaa.net/article/443112313.html


  • [41]
  • 前立腺が動くことに関しての外照射の精度

  • 投稿者:
  • 投稿日:2016年 3月24日(木)19時04分50秒
 
「前立腺は結構動くので位置決めしていても外部照射では逸れる可能性が高い」
といわれています。

ネット上ではもう少し穏やかな表現もあります。
ichi さんは治療法を決めた一番の理由 | じじ..じぇんじぇんがんで以下のように書いています。


同じ照射方式でも医療機関によって照射精度が違うと思われます。
前立腺はいつも定まった位置にあるわけではなく、その動きやすい
臓器に対して、どのような方法で照射精度を保つのか、照射線量、
照射回数とも医療機関によって違いますから確かめておきたいとこ
ろです。


藤野邦夫『前立腺ガン最善医療のすすめ』実業之日本社では再三にわたり、この件に関する言及があります。


P.140
もうひとつの問題点は、前立腺が狭いスペースで、たえず動く小型の
臓器だということにある。前立腺が息をしたり、しゃべったりしても
動くだけでなく、膀胱や腸の内容物の量によっても、つねに位置を変
える。このため、からだの外側から前立腺を照射する外部照射は、正確
さという点で制約を受けざるをえない。

P.150
最後に正確な外部照射がもつ弱点を指摘しておこう。それは前立腺が
動きやすい臓器であるため、照射する範囲をしぼりこめばしぼりこむ
ほど、目標をはずすリスクが高まることである。これでは再発率が高
くならざるをえない。

P.210
IMRTの最大の特徴は精妙な照射だが、前立腺は動きやすい臓器なので、
ひとたび狙いがはずれると、その特徴が裏目にでてしまい、所記の効果
を期待できなくなる。


この執拗な書きっぷりをそのまま読むと、外部照射では逸れる可能性が高く、再発率が高くなると思ってしまう。

もちろん、藤野氏も「照射をより正確にするIGRTという試み」という表題で金マーカー埋め込み含め方法他計4つの方法を紹介していて、最後に「これらの試みで理論どおりに理想的な照射ができるかどうかは、長い時間をかけた検証が必要になる」という一文で終わっています。


このことに関連する論文を2つ紹介します。ひとつは月刊インナービジョン 2011年3月号に載せられている江戸川病院放射線科の浜幸寛氏の論文 [1] です。立ち読みで1ページのみしか読むことができませんが、こう書かれています。

まずはIGRTの定義より

画像誘導放射線治療(image-guided radiotherapy:IGRT)は,照射
直前や照射中に撮影された画像情報をもとに,位置ズレを補正しながら,
正確に治療を行う技術である。

続いて本文

照射直前に画像でターゲットの位置を正確に微調整することにより,
照射中の位置ズレをおおむね3~5mm以下に抑えることが可能になって
いる。ターゲットを外すことなく,正常組織の被ばくを最小限に抑え
るためには,マージンを可能なかぎり最小にする必要がある。それを
可能にするのが,IGRTである。

「CyberKnife」や「Novalis」(ブレインラボ社製)などでは,照射中
にリスク臓器やターゲットの移動を観察し,動体追跡を行うことができ
るので,照射中に排ガスされた場合にも,速やかに位置のズレを補正
することが可能である。しかし,肺がんや肝臓がんなど呼吸性移動が
無視できない臓器では,動体追跡の手法は威力を発揮するが,前立腺
がんのように動きの小さい臓器では,その役割は限定的と言える。
前立腺がんに対するIMRT では,照射前に可能なかぎり排ガスを促し,
照射中の排ガスを抑制することで,ターゲットの位置ズレを許容範囲内
に抑えることが通常可能である。


ここで注目すべきなのは「前立腺がんのように動きの小さい臓器」と「照射中の位置ズレをおおむね3~5mm以下に抑えることが可能」ということ点である。藤野さんの本を読むと前立腺はよく動くので影響大であるように読めるが、肺とは違い動きの小さい臓器であり、そのためにマージンを設定していて、その範囲に収まれば何ら問題ないということだ。
3~5mm以下に関しては論文が参照されていますが、有料でみることはできない。

Google Scholarで検索語 "prostate moving 5mm IGRT" で検索し、京都府立医科大学の岩間一城氏他の論文 [2] をみいだした。
なお、岩間氏は現在、宇治武田病院所属のようだ。

結論部をGoogle翻訳する。


結論:前立腺癌患者のためのヘリカルトモセラピーによってIGRT・IMRT
に一致する軟部組織におけるPTVマージンは3mm以下で、肛門の収縮を回避
するための適切な指示が与えられた場合には3~5mmの私たちの仮PTVマージン
は、ほとんどの患者のために十分です。


PTVは planning target volume の略称であり、計画標的体積の意である。外照射の前後に画像をとり、その結果を評価したものが上記の結論である。


先日、診察の際、放射線治療科の主治医に確認したところ、「前立腺癌に対するIMRT/IGRT併用寡分割照射法の第II相臨床試験」の被験者となった私のマージンは8ミリということでした。

これで一安心。




[1] 前立腺がんの最新放射線治療-画像誘導放射線治療(IGRT)-症例ごとに適したIGRT手法の選択をめざして 立ち読みで1ページだけ読むことができる。
浜幸寛 1), 中川恵一 2)
1)江戸川病院放射線科, 2)東京大学医学部附属病院放射線科インナービジョン 26(3): 75 -77 2011

[2] Iwama K  et al. Anticancer Res. 2013 Dec;33(12):5675-9.


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [40]
  • 高リスク トリモダリティ療法可病院

  • 投稿者:
  • 投稿日:2016年 2月20日(土)18時21分23秒
  • 編集済
 
TRIP試験でTRIP臨床試験の参加病院の登録数の一覧を示しました。
ここで、TRIP試験について上記投稿より再掲します。

「高リスク前立腺癌に対するトリモダリティ療法の有用性と、アジュバント
ホルモン療法の有無による治療成績を比較検討することを目的に、多施設共同
オープンラベルRCT、TRIP試験を実施」

ここで、高リスクと書かれていますが、以下のように定義されています。

TRIP試験の対象症例はD'Amicoの高リスク症例にNCCNガイドラインで定義されて
いる高リスク症例を含めたものである。

高リスクの定義は以下のとおり

下記3因子のうち1つでも満たす症例を高リスク群とする
1 前治療CAB開始前のPSA値20 ng/mL超
2 臨床病期T2cまたはT3a
3 中央病理診断のグリソンスコア8以上


D'Amico、NCCNのリスク分類については
前立腺癌診療ガイドライン 2012年版 の資料1 前立腺癌のリスク分類を参照願います。

このTRIP試験登録数と2013年の読売新聞調査の小線源の治療数+当方がネットで調べ、追記、変更した一覧とこの2013年の一覧にないものに関しては、読売新聞医療情報部 編 『病院の実力 2013総合編』より2010年の値を調べたものを一覧にしたものを表として公開します。

これはひげの父さんが藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』についての2013年6月10日の投稿に以下のように書かれた「こうした技量を持つ病院」という観点での一覧ではないです。


「患者として気になることは、小線源療法をやっている施設ならどこでもこのような
「トリモダリティ」が受けられるかということですが、
それはまだ一部の医療機関に限られると思っていいでしょう。
外照射と小線源治療のレベルが共に一定の水準に達しており、
泌尿器科と放射線治療科の連携も緊密にとれている病院ということになると、
なかなか傍からは見つけにくいですよね。
こうした技量を持つ病院をリストアップしてお知らせできればと思うのですが、
さてどうなりますか・・・」


技量は私にはまったく分りません。ただ、公開されている論文から推し量るだけです。

ひげの父さんが書かれていた「トリモダリティとて安心してまかせられるのは、 小線源療法をやっている医療機関の上位1割?ぐらいではないでしょうか」というのは東京医療センターの斉藤先生の放射線治療 Brachytherapy(小線源療法)より2013年は累積治療実施施設は116なので、その1割、多くて12というのは妥当な数値だと思われます。

なお、2010年の値すべて追加した表と今まで調べた高リスクのトリモダリティ治療に関する論文を抜き出した一覧表は私のサイトに公開しております。

登録数はTRIP試験への適格登録件数です。2010と2013の欄は小線源治療実施件数です。

-------------------------
2016/03/27 追記
23の鳥取大が重複していました。
変更した図のアップはしませんので、除いてご覧ください。
計26病院となります。


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [38]
  • トリモダリティ治療終了後6ヶ月の症状

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2016年 1月31日(日)10時50分10秒
  • 編集済
 
 トリモダリティの外部照射後6ヶ月の診察に行きました。この段階では2ヶ月前まで続けていたホルモン治療が未だ未だ効いているので、PSA測定は形式的なものになります。特別な事情がない限り、結果は次回診察日に知らされます。

 今回は治療後の症状について述べます。これまでの報告のまとめとして、放射線治療による症状、放射線治療によると思われる変わり種の症状、ホルモン治療による症状(終了から2ヶ月)をまとめてみました。ここに挙げる症状は治療と関係すると感じられる症状であって、関係を断定するものではありません。

<放射線治療による症状>

① 排尿
 炎症間は未だ健在なので、尿意を催すと切迫感、排尿時の刺激は少し残存する。尿回数は、10回(日中)、1~2回(夜間)と治療前の回数に近づいているので、日常生活はほとんど支障はない。ユリーフは5ヶ月手前で服用を止めた。排尿の勢いが以前に比べ精彩を欠く。
 *ユリーフの服用を止めると1週間以内に排尿や前立腺周辺の諸症状に支障が生じてくる。そこで復薬すると直ぐに元の状態に戻る。これを2~3回繰り返して2錠/日→1錠/日→中止、と言う具合に漸次止めていく。
② 排便
 相変わらず2~3回/日の頻便は続いている。またガスの排出も多い。しかし極めてゆっくりではあるが改善してきている。特に便が出たスッキリ感が治療前より良いのは何故だろう。ただし便意を催した後の堪え代が心許ないので要注意。また以前に比べると少し便が細くなった。
③ 前立腺の腫れ
 圧迫感はほとんどなくなったので腫れはないと思われるが、局部に重苦しさは感じる。以前より局部に集中している感じがする。
④ 腰痛&皮膚炎
 腰の鈍痛はあまり改善していない。重苦しい感じで時により痺れるような感じだ。皮膚の日焼けのような黒ずみは解消し、酷い痒みもすっかり良くなっていたが、最近また少し掻痒感が出ている。

<放射線治療によると思われる変わり種の症状>

① リンパ球の減少
 以前は何時も白血球数5000/ul、リンパ球比率36%程度だったものが、治療後3ヶ月では4000/ul、16%になった。自分の場合、全骨盤照射という広範囲の照射が影響しているかもしれない。
② 臀部にある植皮採取のための古傷
 採取部と正常部の境目に軽度の潰瘍ができ、徐々に治癒しつつあるが未だ完治していない。
③ 陰部先端周辺の発赤
 外部照射後3~4回、所々発赤し痛痒くなる。以前は一度もなかった症状である。
④ 肛門の内皮と外皮の境目に米粒大の出来物
 まさしく米粒のような固い出来物が突き出すように出現。照射後3ヶ月くらいでほぼ消失。
⑤ 尿の異臭
 時々妙に生臭く、臭い尿が出ることがある。時には便のような臭いにも感じられる。尿を見た感じでは特に異常はない。この症状は外部照射途中から感じ始めた。
⑥ 排便時に同時排尿が可能になった。
 これまでそのような芸当はできなかった・・・。
⑦ 自転車乗車は堪える。
 照射後3ヶ月では5Kmが限界。6ヶ月では?

<ホルモン治療による症状(終了から2ヶ月)>

① ホットフラシュは歴然とあるが、その強度は弱まりつつある。
② 体力の減退、ばてばてモードは変わらない。
③ 少し高血圧きみである。
④ 出現し掛かかっていた関節周辺の痛みは、不発に終わっている。また、ネオアジュバント開始後に感じ出した骨転移を疑われた肋脇の痛みは、何時の間にか失くなっている。
⑤ 性機能はまったく回復していない。半分くらいに萎縮した精巣はそのままである。
⑥ 体重5Kg増は変化ないが、臍下から膝上に集中していた脂肪が微妙にスリムになり始めた。
⑦ 著しく変化した体毛の復活は感じられない。消失した脇毛やすね毛は、そのままである。
⑧ 少し膨らみ気味であった乳はそのままである。
⑨ 喉仏は小さくなったままである。


  • [37]
  • 高リスクにおけるIMRTと小線源の比較

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年12月12日(土)12時59分31秒
  • 編集済
 
2014年10月22日に投稿しましたIMRT vs brachytherapyで愛知県がんセンターの富田先生の論文と東京医療センターの矢木先生の報告を比較した記事を投稿しました。その最後に次のように書きました。

また、治療実績の高リスクの割合をふまえ、両者を比較する限り、高リスクに関しては
IMRT(トモセラピー)と小線源そう変わらず、どちらかというと、IMRTが若干優位では
なかろうか。

今回、論文での比較ということで治療法別PSA非再発率の比較表 (改訂) より期間、高リスクの人数がほぼ同じである以下の二つの論文より比較してみようと思います。

A 東北大学武田先生の論文  IMRT
B 東京医療センターの矢木先生の論文  小線源


期間:2003年~2008年
高リスク 人数
A:105人
B:97人

5年PSA非再発率は以下のとおりです。
A
中間リスク 100%
高リスク 82.2%
B
低リスク  98.8%
中間リスク 94.9%
高リスク  86.5%

A 対 B で高リスクに関してその高リスクの患者における比率(%)を示します。 1)

GS8以上:64.8% 対 49.5%
・・・・Aでは高リスク(GS)の比率が高い
T3:63.8% 対 12.4%
・・・・Aでは病期が進行している人が多い

内容としてはA(IMRT)のほうがはるかにリスクの高い患者に対して治療を行っているということです。更に、AのほうはPSAが20以上の数は48人であり、高リスク中45.7%を占めています。Bの方はPSAが20以上の数は明記されていません。

Aでは高リスクの因子複数以上の患者はある程度存在し、BはGSに関しての情報がないので、はっきりしたことは言えませんが、高リスクの因子を2または3持つ場合はそう多くはないと思われます。 2)

高リスク因子が複数(2,または3)ある場合で示したように高リスクで因子が複数ある場合、PSA非再発率は低い値となります。複数因子を持つ患者が少ない場合、高リスクのPSA非再発率はいい値となります。

5年PSA非再発率に関してAのIMRT治療のほうがBの小線源治療より少し低い値となっていますが、患者のリスク因子を考慮すると必ずしも劣っていると言い切ることはできないと思います。
また、この二つの論文を比較した限り、IMRTは小線源より症状に関して幅ひろく対応しているかと思います。小線源の場合、選択バイアスがあったとまではいえないですが、結果としてより高いリスクの患者に対して治療を行っていなかったということになります。

なお、最近閲覧し、コピーした泌尿器外科 28巻 8号の昭和大学のTrimodality therapyの論文は複数因子を持つ患者が幾分か多い場合の例です。  3)

1) Aの場合、Table 1 Patient characteristicsより、以下の計算で割合は求められる。
GS8以上 68/105 = 0.648
T3  67/105 = 0.638
 Bの場合、論文のTable 2 患者背景より以下の計算で求められる。
GS8以上 48/97 = 0.495
T3  12/97 = 0.124

2) TRIP試験で紹介しました東京医療センターまたは国立病院機構 埼玉病院で治療を受けた206人の高リスクの患者の割合と因子の数を論文のTable 1 Clinical, treatment and dosimetric parameters より、以下に示します。

GS8以上 126 (61.2%)
T3a 18 (8.6%)
PSA20以上 81 (39.3%)
リスク因子 1 186 (90.3%)
リスク因子 2  19 (9.2%)
リスク因子 3  1 (0.5%)

5年PSA非再発率
・高リスク  84.8%

3) 昭和大学の森田先生の以下の論文
森田將*1他 ハイリスク限局性前立腺がんに対するTrimodality therapyの治療成績
泌尿器外科 28(8): 1323 -1324 2015
*1 昭和大学江東豊洲病院外科系診療センター泌尿器科

期間:2005年~2014年
高リスク 95人

GS 8以上  74.8%
T3以上    15.8%
PSA 20 以上 36.8%

2つ以上の高リスク因子 23.2%
すべてが高リスク因子  5.3%

9年PSA非再発率
92.0%


同様に IMRT 対 小線源 で割合を示すと以下のようになります。

GS8以上: 64.8% 対 74.8%
T3: 63.8% 対 15.8%
PSA 20 以上: 45.7% 対 36.8%


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [36]
  • TRIP試験

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年12月11日(金)07時29分52秒
  • 編集済
 
2015年2月25日に高リスクに対するTri-Modality療法実施病院一覧という表題でTRIP試験に関する論文のAcknowledgementsより試験参加病院を高リスクに対して対応の可能性のある病院ということで投稿しました。


今回、3か月毎の診察に病院へ行った際、附属の図書館で泌尿器外科 28巻 8号を閲覧し、次の第30回 前立腺シンポジウムの発表に関する報告の記事をコピーしましたので、病院名他の情報の訂正、追記を行います。

表題他は以下のとおり。
小中弘之*1他 進行中の多施設共同オープンラベルランダム化比較試験 (TRIP試験)
泌尿器外科 28(8): 1437 -1440 2015
*1金沢大学大学院医学系研究科集学的治療学

TRIP試験について概要を再度説明します。

NCCNガイドラインでは以下のように書かれています。

PROS-D (1 of 2)
「高リスク群の患者では、EBRT(40~50Gy)と密封小線源治療±2~3年間の
ネオアジュバント/同時併用/アジュバントADTの併用による治療を施行して
もよい。」

MS-22
「EBRTと密封小線源治療の併用治療(場合により通常2または3年間のADTも追加
する)もまた、初回治療における選択肢の1つである。しかしながら、この状況
におけるADTの至適投与期間は依然として不明である。」

小中論文では以下のように書かれています。

「高リスク前立腺癌に対するトリモダリティ療法の有用性と、アジュバント
ホルモン療法の有無による治療成績を比較検討することを目的に、多施設共同
オープンラベルRCT、TRIP試験を実施したのでその進捗状況につき報告する。」

RCT:Randomized Controlled Trial

最初に紹介した英文の論文のに流れが示されています。
今回紹介した日本語の論文にも同じ図が掲載されていました。

1.中央病理診断で一括して病理診断を実施
2.適格な登録者を
無作為に次の2つのグループに分けられます。(1:1)n=170
長期ホルモン療法 計 30カ月 アジュバントホルモン療法24カ月
短期ホルモン療法 計 6か月
         小線源治療前の3か月のホルモン療法、小線源、外照射時の
         3か月のホルモン療法  アジュバントホルモン療法は無し

高リスクの定義は以下のとおり

下記3因子のうち1つでも満たす症例を高リスク群とする
1 前治療CAB開始前のPSA値20 ng/mL超
2 臨床病期T2cまたはT3a
3 中央病理診断のグリソンスコア8以上

すなわち、以下のように書かれています。
「TRIP試験の対象症例はD'Amicoの高リスク症例にNCCNガイドラインで定義されて
いる高リスク症例を含めたものである。」

NCCNリスク分類そのものにしなくてT2cを含めたのは参加する病院、参加する患者の幅を広げる意からだろう。ただし、結果として次のように報告されています。

「全国での参加登録施設は48施設。2010年10月より症例登録が開始されたが、
当初予定されていた症例の組入期間2年では目標症例に到達しなかったため、
登録期間が2013年3月までに延長された。最終的には、37施設から計349症例が
登録された。 」

349例に関しては、長期ホルモン群175例、短期ホルモン群 174例に分けられたとのことです。

そうして、医療機関名・科名と適格登録数が書かれている一覧表が掲載されています。この48の病院が少なくとも上記定義の高リスクの患者にトリモダリティ療法を実施しているということで参加登録したと思われます。

また、東京医療センターの斉藤先生の論文、放射線治療 Brachytherapy(小線源療法)によると、「2014年末までに全国117の施設で計約31,000例の治療が実施されている」 ということなので、この48施設というのは高リスクにトリモダリティを実施している病院のかなりの部分かと思われます。

あるいはこういったこともいえるかと私は思います。
この all Japan のTRIP試験に参加登録しないということは日本において高リスクに対してトリモダリティを実施していないということを宣言しているということになるのではないかと。

私が投稿した後にひげの父さんの投稿には以下のように書かれていました。

「この試験に参加した施設が、
トリモダリティをやっている施設の全てではないし、
必ずしもAクラスばかりが参加した臨床試験でもなさそうです。」

先に書きましたようにTRIP試験はトリモダリティをやっている施設のかなりの数が参加し様々な技量の施設が参加したと思われます。
それが、多施設で行う臨床試験の意味だと私は思います。

ただし、参加登録はしたが、適格登録者数0の病院は11という結果でした。
また、適格登録者数1の病院は8ということで、いろいろ事情はあったかと思いますが少し偏った形となったのはある意味残念です。

先投稿した高リスクに対するTri-Modality療法実施病院一覧での病院名と今回一覧表で明らかになったTRIP試験参加病院により訂正します。

「TRIP論文に記載されている病院」としてあげていて、TRIP試験に参加していない病院は埼玉医科大学国際医療センターです。Acknowledgements には T. Dokiya, MD という名前があげられていて、検索すると、Teaching Staff│Saitama Medical University Faculty of MedicineにはVisiting Professorと書かれているので、個人的な貢献だろう。

「TRIPに記載されていない病院」ということであげた滋賀医科大学、独立行政法人 国立病院機構 埼玉病院は参加登録しているということが今回分かったのでTRIP試験参加病院ということで、訂正します。
ただし、滋賀医科大学の登録数は0です。

掲載されている表より登録数5件以上の数の多い順に作成した表を示します。
この21施設の登録数の合計は319件で全体の91%です。

上記21以外の情報は私のサイトの以下のページに記載しました。
http://flot.blue.coocan.jp/cure/TRIP.html


多くの病院が自病院で、高リスクに対してのトリモダリティ療法でアジュバントホルモン療法を通常、どの程度の期間行っているかは別としてTRIP試験に参加し、至適投与期間のエビデンスをえることに協力したと思われます。

例えば、慶應義塾大学病院の大橋先生の小線源治療の論文では次のように報告されています。

2003 から 2009 年 までに東京医療センターまたは国立病院機構 埼玉病院で治療を受けた206人の患者が対象
101人(49.0%) が neoadjuvant androgen deprivation therapy (ADT) 実施
adjuvant ADT 実施者は無し

5年PSA非再発率
・高リスク  84.8%


追跡期間は症例登録日から7年ということで、先の長い話です。

http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [35]
  • PRIAS-Japan 中間報告2

  • 投稿者:Ted
  • 投稿日:2015年 9月 2日(水)22時46分35秒
 


  • [34]
  • PRIas-Japan 中間報告

  • 投稿者:Ted
  • 投稿日:2015年 9月 2日(水)22時44分16秒
 


  • [33]
  • サンゾクさん、お元気そうで何よりです

  • 投稿者:Yanbarukuinaメール
  • 投稿日:2015年 8月11日(火)19時21分43秒
 
さすがサンゾクさん、投稿されている話しの内容が濃いのでビックリしています。
もしかして、O先生とk先生にサンゾクさんの投稿内容を監査してもらったの?僕の方は放射線治療で受けた大腸と前立腺への
ダメージもほぼ原状回復しています。今週の木曜日に放射線治療後一ヶ月検診で滋賀詣に参ります。
今回の滋賀詣では日帰りで行きます。朝の4時に家を出て、夜の10時頃の帰宅と少し強行軍となりますが、それから2日後にはタイに戻らなくてはならないので仕方がないです。

  • [32]
  • トリモダリティ治療の総本山、外部照射

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2015年 8月11日(火)12時06分5秒
  • 編集済
 
トリモダリティ

 トリモダリティとは3つ(トリ)の治療(モダリティ)を併用する治療である。小線源治療、外部照射、ホルモン療法を併用する。その特長は、前立腺のみならず、前立腺周囲まではみ出して治療が可能なことである。手術ではこれが容易ではない。しかも小線源による内部照射と外部照射の合わせ技で、他の放射線治療では得られない高線量を安全確実に得ることができる。その結果きわめて高確率で癌細胞を死滅させる。このことがハイリスク前立腺患者の優れた治療成績につながっている。もちろん確実な施術が行われることが前提ではある。
 *外部照射で使用するX線は硬X線と呼ばれる。また小線源治療で使用する線源が放射するX線はγ線と呼ばれる。共に人体を透過するが、前者は人体を貫通して作用するのに対し、後者は人体で急速に吸収され線源から数ミリ程度までしか作用を及ばさない。従って外部照射では貫通してくる正常細胞へのダメージを抑制するため、線量が限られてくる。小線源では線源近傍のダメージのみ抑制すればよいから比較的高線量を得やすい。現在、それぞれの治療で得られる最大線量は、外部照射(IMRT)160Gy、小線源のみ210Gy、両方併用230Gy程度になっている(BED換算)。

S医科大の外部照射治療

 6/22(月)~7/27(月)に渡り、入院にて1.8Gy×25回の外部照射治療を受けた。これは小線源治療に上乗せするものであるが、小線源治療が及ばない部分の癌を予防するのに必要な標準的線量でもある。そして私のトリモダリティ治療の総処方線量は以下である。これはマウント・サイナイのストーン先生が限局癌をコントロールするのに必要な処方線量とした、ハイリスク≧220Gy、低中リスク≧200Gyを余裕でクリアする値である。安全に照射できる範囲で、これ以上望むのは難しいらしい。同時に入院していた他の二人も、当然基準値をクリアしている。
 BED:231.3Gy (内 小線源線量はD90:139.0Gy、[右精嚢5本、前立腺43本、前立腺体積16cc])
 *BED:生物学的実行線量(異なる照射法でも比較可能な線量とするため、生物学的効果  を勘案して実効的線量に換算した量)
 *上記を外部照射と小線源に分けてBEDで表すと、それぞれ85.5Gy+145.8Gy=231.3Gyと  なる。次の眞さん紹介の計算がぴったり合致する。
  「外照射に関しては、他のサイトで調べた結果、以下の計算式でいいようです。
  「BEDの参考数値」で検算済。
   BED=nd(1+d/(α/β))
   n: 照射回数 d: 1回線量
   α/β=2」
  「D90 は前立腺体積の90%に照射されている線量とのことです。
   BED = (R/λ){1+[R/((μ+λ)(α/β))]}
   R=D90*λなので、上記の式は以下のようになります。
   BED = D90{1+[D90*λ/((μ+λ)(α/β))]} = D90+D90*D90*λ/((μ+λ)(α/β))
   ここで、次の値をいれます。
   D90 =120  λ= 0.693/60*24 (hに換算) μ= 0.693 α/β=2」

 照射装置はVARIAN 社製のNovalis TXというリニアック高エネルギーX線照射装置である。この装置はマルチコリメータ(絞り)を有し、IMRTも可能なものであるが、実際の照射は、身体の背面、右横、前面、左横の順に4方向から照射する3次元原体照射となる。照射時間はそれぞれ6s、8s、4s、7sといった具合だ。自分の場合、全骨盤照射と言って骨盤内のリンパ節転移をマージする照射である。同じトリモダリティでもリンパを照射しない場合もあり、その時は照射範囲が異なり副作用の及ぶ範囲も異なる。また小線源と外照射の照射比率に自由度が生じるので、照射回数も異なることがある。
 治療は朝一番になることが多いが、午後になることも時々あった。その場合は部屋で待機しなくてはならない。呼ばれそうな時間の前にT字帯を装着し、排尿と排便を済ませる。特にガス抜きは大切だ。その後は少し時間的余裕がないと患部の形状が安定しないらしい。もちろん治療前に位置をX線CTでチェックしているので、うまく排泄できていなくとも再度時間を置いて行うので心配は要らない。自分は一度も不合格にならなかった。治療室に呼ばれ、T字帯一丁になり、人型に横たわり、3次元3軸微動調整を入念におこない、照射を済ませても10分程度である。
 診察は毎月曜日に放射線科、また入院中に2度木曜日に泌尿器科で受ける。治療やスケジュールの説明と身体状況のチェックである。

外部照射の副作用

 何と言っても気になるのがこれであろう。これは個人差も大きいので何とも言えないが自分のケースを述べる。
① 排尿痛
 会陰部の尿道の炎症である。外照射が始まる時点では、小線源治療の影響で尿勢が弱り、排尿時に少し沁みる程度であった。治療が進むにつれて痛みが着実に増してくる。少しでも尿道に尿が到達すると痛みが尿意を誘発する。それが痛みを増してさらに悪循環となる。これが尿切迫だ。排便と重なるとさらに促進される。尿道を尿が通る瞬間、思わずウッと唸ってしまう・・・。この症状は照射が終了しても1週間くらいは昂進する。前もって用を足すようにしないと1時間も持たない。身体を動かして患部に刺激を与えるとさらに危うくなる。しかし照射終了後1週間を過ぎる頃、急速に改善に向かう。その後は少しづつ良くなる。
② 排便
 これは便秘、下痢、無症状など人によって様々である。自分は照射後2~3日から下痢とガス便に悩まされた。4~5回/日といったところだ。それとともに下腹に重苦しさが生じ、身体に軽い脱力感を感じた。当然食欲も減退する。照射後3週間目くらいから下痢になる人は多いが、2~3日で始まる人は珍しい。先行きが危ぶまれたが、排尿痛と異なり目立って悪化することはなかった。下痢は照射ダメージを修復する生体反応の一種ではないかと思う。これとは別に照射で腸が拘縮する感じがする。これが腸の活動を悪くし様々な不調を生じさせているのではないかと思う。照射を止めて1週間ぐらいすると、この拘縮が緩んで気持ちよく排便できるようになった。お腹の重苦しさも楽になってきた。その後は、下痢は収まる傾向だが4~5回/日の軟便は続く。
③ 前立腺の腫れ
 これが腫れてくると走る時など患部に響くようになる。酷くなるとシンボルが腫れぼったくなってくる。この状態になると排尿痛が強くなる。自分の場合残尿感はないが、尿勢はさらに弱く切迫感が強くなった。この腫れが収まると排尿痛は急速に改善してくる。
④ 腰痛&皮膚炎
 照射終了頃から臀部に近い左腰に重苦しい鈍痛が生じるようになった。この症状は以前からあったが、小線源治療後かなり改善していた。照射の直接の影響というより、前立腺治療の進行にともなう患部の変化が間接的に影響しているのかも知れない。
 また照射終了まで気づかなかったが、終了後1週間ほどすると尾底骨周辺の皮膚がめくれた。そしてその周辺にひりひりする痒さが出ている。またその辺りがまるで日焼けのようにうっすらと変色し、それが下腹部側にも生じている。肛門付近に小さなイボ状のものができている。摘めるくらいで、かつ結構硬い。以前からあったのだろうか?皮膚と内皮の境目あたりにできている。
⑤ ハプニング
 照射が残すところ3日となった昼食後、左脇腹に鈍痛を感じた。一旦収まるが夕刻に再び腹痛となり不安が過ぎる。そこは入院の良いところで、早速先生に回診していただく。放射線性大腸炎と思われるが重篤ではないので様子を見ることになった。結局翌日まで計5回の間欠的鈍痛を覚える。特長は左脇腹から会陰に至る鈍痛、男の大事なところを打ちつけたような痛みなのだ。背中にも凝りのような痛みが出る。それが間欠的に繰り返し、時間の経過と共に痛みのポイントが少し下腹に移った。翌日午後CTで検査をした。そして夕刻K先生が病室に来られ、原因が分かったと言うのである。何と腎臓結石が尿管に下りて痛みを誘発しているという。その割には痛みが少なくて助かったらしい。
 腎臓結石の事は想像もしなかった。痛みのポイントが下腹に移動して、その後尿道に痛みが出たことからも、その症状には合点がいく。放射線傷害ではなかったので胸をなで下ろしたが、新たな悩みを背負い込んだことになる。治療のストレスやお腹の不調、身体活動低下による飲み水の減少などが引き金になったものと思われる。その後発作はないが、1週間ほど軽い鈍痛は残った。

照射終了2週間後の症状

 照射終了後1週間で結石の症状はなくなった。排尿痛は1週間後に急速に改善し、唸るほどの痛みはなくなる。その後痛みは少し残り、切迫感も少しある。
排便は終了1週間後に腹に感じる重苦しさが改善し、それとともに食欲も改善。便回数以外は以前と変わらない。そして昨日くらいから軟便も解消する気配が出てきている。
腰痛と皮膚炎は退院後に出てきた症状であるから未だ改善の兆しはないが、悪化もしていない。

治療の効果

 治療の効果を述べるのは時期尚早であるが、これまで述べて来たエイリアンが暴発しそうに感じた初期症状がどのように変化したか述べる。症状は小線源治療ですでに格段に改善していたが、未だ何かの拍子にそれを感じることがあった。ところが外部照射の中盤くらいからほとんど感じなくなった。入れ替わりに治療ダメージとして感じる症状は増加した。しかしそれはシンプルな感覚であり明らかに複雑に入り組んだ初期症状の感覚とは異なる。自分の初期症状とは以下のようなものである。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/4214


入院生活

 5週間の入院生活は短くはない。それがどのようなものであったか紹介する。まず以下は代表的な1日のスケジュールである。
6時 起床。散歩。病院は稀に見る自然環境に包まれているので、美味い空気を吸って散歩が可能。
7時 珈琲サロン。Yanbarukuinaさん、ヤマさん、キットコンディさんらとともに楽しい会話の一時を過ごす。
8時 朝食 パン、牛乳、果物
9時 照射
10時 検温、血圧測定、問診
12時 昼食 ごはん、鯖塩焼、こんにゃく煮物、ナムル
15時 バドラケット素振り 体操
17時 入浴またはシャワー
18時 夕食 ごはん、あんかけ豆腐、里芋、オクラ
21時 消灯
22時 就寝
 これではご気楽な入院生活に見えるし、事実そうに違いないのだが、身体に不調を伴っているのでそれ程でもない。空いた時間はベッド上での体操や昼寝、読書、TV、洗濯、買い物、そして会話などで過ごす。様々な病気の人との会話は病気への対処を考える上で非常に参考になる。
 病院には生活に必要なものがいろいろ備わっている。給水、給湯、給茶器、電子レンジ、洗濯乾燥機、冷蔵庫、TVなど。また院内にはコンビニ(ローソン)、郵便局、理容室、ヤマト宅配便、食堂、花屋などもある。さらに重宝したのが院内図書である。私はここで10冊程度の本を借り読破した。ここにはパソコンが設置されているので30分程度までならネット検索も可能だ。
 近隣まで足を伸ばせば、大学の学食やグラウンド、県立図書館、ショッピングモール、高速道路のSA、公設市場、公園、森林散歩コースなど2~3km圏内にある。お腹の具合が良くなかった自分は、生姜、エシャレットなどの香味野菜、発酵食品、果物などを買いによく出かけた。
 休日は体力が許せば行くところに事欠かない。S県は自然に恵まれた歴史の宝庫である。I寺、E寺、M寺、N浜、H城、O八幡など見てまわった。もちろん足を伸ばせばK、O、N県方面も日帰りで行くことができる。ただし排尿、排便は要注意だ。危うい場面もなくはなかったが、自分はすべての休日を外出で過ごした。


 今回の治療費は限度額を除くと全部で3万円足らずであった。日本の医療制度に感謝するのみである。そしてトリモダリティ治療としては3ヶ月余りのホルモン治療(アジュバント)を残すのみとなった。後は運を天に預けて天命を待つのみである。

*********************************

<外部照射後1ヶ月の症状>

① 排尿痛
痛みはあまりないが未だ刺激は残っている。従って切迫感も少しある。照射後1週間目くらいにピークを迎えた夜間排尿回数は5~6回から徐々に減少して2回である。
② 排便
照射後3日後くらいから体感的には改善していたが、下痢やガス便、最頻時6回くらいの便回数などの症状は少しずつしか改善しない。下痢やガス便は減少し、通常便になりつつあるが2~3回/日となっている。
③ 前立腺の腫れ
ほぼ収まっているが、枯れた感じで残存している。
④ 腰痛&皮膚炎
掻いても掻いても痒いという感じの皮膚炎である。3週後あたりから少し収まってきたが、未だに掻くと痒い。皮膚の薄黒い焼け?は、むしろ少し濃くなっている。腰の鈍痛は相変わらずであるが、改善の兆しがあるような気がする。肛門にできた疣状のものは、何時の間にか半分くらいに縮小し、かつ以前より柔らかくなっている。これってやはり照射と関係しているようだ。

これら症状の改善は比較的順調な方かもしれない。どうやら外部照射による急性期の症状は収まりつつあるらしいが、放射線障害を甘く見ることはできないという実感はある。現在は小線源によるダメージが緩和される過程にあるのか、それとも外部照射のダメージがさらに収まる過程にあるかの判断はつかない。 IMRT治療の患者さんなどの症状変化にも興味があるところである。

放射線照射とは関係ないが、ビカルタミドとゾラテックスのホルモン治療も半年を越して、その副作用による症状も少し強くなってきている。たとえばホットフラッシュを感じやすくなったこと。関節周辺に微妙に痛みを感じるようになってきたこと。また筋力の衰えによるバテ具合が強くなってきたことなどである。だがゴナックスの時の症状にくらべれば軽い症状であることは変わりない。

***********************************

<外部照射後2ヶ月の症状>

照射後2ヶ月後の症状は1ヶ月後とあまり変わらない。改善していることは間違いないが微妙な変化となる。

① 排尿痛
排尿痛はないが未だ少し刺激はある。従って微妙に切迫感があることがある。
夜間俳尿は1回、たまに2回である。
② 排便
ほとんど通常便になっているが若干安定感に欠ける。1~3回/日。ガスも通常より多い。ガスの臭いも加齢臭がまだ強い。以前の下水臭はほとんどない。
③ 前立腺の腫れ
未だ残っている。その部分から下腹周辺に重い不快感を感じることがある。これは腰の鈍痛とも関連しているようだ。
④ 腰痛&皮膚炎
皮膚の痒みはかなり収まってきた。肌の黒ずみは微妙に改善か? 最も痒みを感じていた尾底骨直近の左脇の皮下に小さな膨らみを発見。腰の鈍痛は相変わらずであまり変化なし。肛門にできた疣状のものは、ほとんど消失した。やはり照射の影響でできたものらしい。

ホルモン治療の副作用はさらに少し強まっている。頭のふらつきを感じることが増えてきた。また血圧が不安定に高くなる。

照射後1ヶ月を過ぎたころ、排尿の調子が大分改善したのでユリーフを中止してみた。ところが、4~5日もすると朝の排尿が途切れ途切れになり、ユリーフ復活。復活後はその日から快調な排尿に・・・。

***********************************

<外部照射後3ヶ月の症状>

外部照射後3ヶ月になるが、この一月は目立った変化がない。尿道の炎症感は微妙に良くなった気がするが、腸の具合は相変わらずで、食後のガスが多く、下痢はほとんどないが排便も不安定である。腰の鈍痛も相変わらずで、前立腺周辺の重苦しさも変わらない。ただその重苦しさは微妙に改善しているかもしれない。

左あばらが時折痛痒く感じられる。この部分は当初転移が疑われた部分に近い。ホルモン治療の影響は緩和せず、ホットフラッシュや頭のふらつき、バテバテの体力など改善なし。降圧剤を服用しているにも関わらず、少し高血圧気味になっている。コレステロール値も少し高い。もちろん体重も中年太り全盛期に近い。間食もしないし、食事量も減っているのに何故だろう? 最近気づいたのが、脇の毛の喪失である。う~ん何時抜けたのだろう・・・?

最近自転車に乗ってみた。漕ぐたびに前立腺に堪えて5㎞以上乗ることができなかった。思った以上にダメージが残っている。


  • [31]
  • 外照射、小線源治療ランダム化比較試験

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 5月30日(土)16時00分32秒
  • 編集済
 
European Society for Radiotherapy & Oncology (ESTRO)の3rd ESTRO Forum(4月27日のセッション)でのW. Morris 氏の発表の概要を紹介します。

LDR brachytherapy is superior to 78 Gy of EBRT for unfavourable risk prostate cancer: the results of a randomized trialという発表です。

Morris 氏はBritish Columbia Cancer Agency Vancouver Centre 所属であり、6施設で実施されました。

398人の患者(高リスク276人、中間リスクの患者122人)が無作為に外照射(200人)、または小線源治療(198人)に割り当てられました。
全員外照射(1回2 Gyで23回照射、計46 Gy)を受け、外照射に割り当てられた患者は追加の照射(1回 2Gy 16回照射 計32Gy)を受けました。
ホルモン治療も実施。

PSA非再発率は以下のとおりです。
7年PSA非再発率
外照射 75%
小線源 86%

図をみると小線源のほうが優位であることは明らかです。



http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [30]
  • トリモダリティ治療の本丸、小線源治療

  • 投稿者:SANZOKU
  • 投稿日:2015年 5月27日(水)08時09分28秒
  • 編集済
 
 今回トリモダリティ治療の本丸、小線源治療を受けてきました。何故本丸かと言うと、この治療によって前立腺細部の処方線量を決定付けるからです。治療内容を見ていただければその意味がもう少し明確になると思います。これは小線源単独治療よりも処方線量が低いのですが、上乗せする外部照射の線量を差し引いた線量を正確に確保する必要があるので、単独より技術的に容易いということはありません。少々長いのですが、ご興味がある方はお読みください。

5/11(月) 小線源治療入院初日

 何時ものように昨日から泊まっていたK市のH宿を8時に出る。9時にS駅に着いたので迷わず歩いて病院に向かった。10時頃病院に到着。玄関脇の受付で手続きをして2D病棟に向かう。病棟はスタッフや患者さんで外来より活気が感じられた。スタッフステーションで入院手続きを済ませ、さっそく病室に向かった。病室は個室になっていてビジネスホテルのような作りになっている。入院衣は放射線を浴びるので病院貸与のものを使用する規則になっている。
 11時にはさっそく担当のO看護師さんが現れ、入院にまつわる情報を教えていただくとともに、検温や血圧測定を行う。以後退院までこれを1日3回以上行う。そしてやわら愚息を出して会陰部をバリカンでツルツルに剃ってもらう。その後は教えて貰ったローソンでT字帯とリフレ(大きなナプキン)を購入。その側にあった図書館で本を2冊借りてきた。図書は小さなものだが思った以上に蔵書があり、何かと楽しめるだろう。またその室内にPCが2台あって使うことが出来る。ただしボランティアのおばさんが居る11時から15時の間だけである。また病棟の談話室にはTVがあり、給水給湯機もあるのでペットボトルに水を確保した。ここには電子レンジやオーブントースターもある。
 室内に戻ると間もなく昼食が配膳されてきた。茄子の煮物に里芋、その他であったが、味付けが自分には合っていると感じた。そこへO先生が来られて、さっそく近くの別室で今回の治療の説明を受ける。まず今回の手術にまつわる説明である。手術中は半身麻酔で動けないが、話すと動きが伝わるので話さないように注意があった。プレプランに沿ってシード配置するが、それに加えて手術中は画像と放射線モニタ装置で一本一本修正しながらシードを挿入する。細菌を流すため、手術後3時間くらいすると水を飲んで排尿を促す。また夜寝るまで枕は使わない。これは脊髄液より軽い半身麻酔薬が脊柱を登って頭に達するのを防ぐためらしい。半身麻酔は5時間くらいすると醒める。そしてその後の日程の簡単な説明があった。
 次に副作用について、主なものは頻尿と切迫尿であって、外照射中に最も強くなる。その後3ヶ月でほぼ治まる。このため手術後α1ブロッカーという尿道を緩める薬を処方する。たまに尿閉を来す人がいる。血尿はもう少し頻度がある。また1~2年後に血尿や血便が出る虞がある。血尿はO先生、血便はK先生に相談することになるようだ。アジュバントのホルモン治療は3ヶ月~1年を予定しているが、自分の場合は短めを希望したので6ヶ月に決まった。今後のPSAの検査スケジュールは外照射後2年は3ヶ月毎、その後は6ヶ月になり、1年毎になるらしい。万一再発した場合はホルモン治療はせず、再発部位を確定した上で、その局所を放射線治療するということであった。自分が行う全骨盤照射という外照射は臍から下の転移し易い骨盤内リンパ節を網羅して叩くもので、これまで十数例の患者に行っている。同じトリモダリティでも異なる外照射の方法がある事に認識を新たにした。自分の場合は重症ということなのだろう。中間リスク以上の予後の帰趨は、ほぼBEDで決まるとのお話しであった。中間リスクでは200以上、高リスクでは220以上ということらしい。もちろん先生のところの技術で安全かつ一様にシードを配置することを前提にしている。治療後1週間は座布団に座っているような違和感があるかもしれないが、それまでに治まるらしい。
 余談になるが、この春から先生のところでは全国の医療従事者を集めて前立腺癌小線源治療学講座を開設されたようだ。まさしく先生の恩師ストーン先生が世界の医療従事者にその技術を伝授されたように、今度は先生のいっそう磨きのかかった職人技を広く伝授すべしという、熱い想いが伝わってきた。ちなみに偉大なストーン先生は既に退役され、タッグを組まれていた放射線科の先生も事情があって転出され、現在マウントサイナイには技術の正当な伝承者が居らず、誠に惜しい状況にあるようだ。従って先生にご尽力願い、この火を絶やさず、一層発展させていただくように願うばかりである。
 3時には放射線技師のYさんのところに行って、小線源治療が放射性シードを扱う治療である旨の説明を受ける。あまり例は無いが迷走線源や脱落線源などという言葉も耳にする。その場合の対処法についても教わる。また手術後は管理区域解除と患者自体の線量確認をした上で退室が許される。結局2度に分けて検査を行うらしい。
 夕刻は少し寛いで談話室のTVを観戦する。夕食はおかゆと小さな豆腐、海苔煮付けであった。その後は明日朝一番の手術を控えて絶飲食が言い渡される。夕食後30分ほどすると2リットルの下剤を飲むことになる。これは大腸内視鏡検査の前に飲むものと同じものである。自分は1時間半くらいで飲み終えたが、最後の500ccは寒気がしてきて辛いものがあった。飲み終えると同時に排便が始まり、こちらは全部で10回2時間あまりかかった。ようやく最後の便で与えられた便様表の透明に近くなった。これで心置きなく寝ることができると思うと直ぐに寝てしまった。


5/12(火) 手術日

 6時起床。洗顔間もなく血圧、体温測定。再び浣腸。昨夜あきれるほど出たのに再び激しい水様便がほとばしる。少し濁りはあるが固形物は皆無でこれで良しということになる。8時、水分と抗生剤の点滴開始。8時半、T字帯、血栓予防ソックスを装着しストレッチャーで手術室へ。軽快な音楽が流れる部屋には既に看護士2名とO先生、K先生がスタンバイしていた。
 9時、さっそく手術台の登り口付近に座り、海老のように背中を丸めて半身麻酔の注射を脊髄に注入する。これは結構痛い。思わず仰け反りそうになって先生に叱られた。しかし生検時には脂汗が出たが、こちらはそれほどではない。直ぐに足が熱くなり、痺れを感じる。そのまま15分ほど座っていると、足の感覚がなくなりピリッとも動けない。そして4人に担がれ例の足上げスタイルの手術台にセットされる。ふくらはぎを定期的に圧迫する機械が作動しているが、ほとんど感じない。麻酔は頭にも影響するようで少しぼんやりしている。
 続いて行われたカテーテル、経直腸超音波プローブ挿入は何時の間にか終了していた。その後、O先生とK先生で何やら相談して手術が始まったようだが、何時始まったのかさえ分からない。身体に伝わる振動や圧迫感のみを通じて、施術を想像するのみである。このようにほとんど何も感じないが、経直腸超音波プローブの挿入は画像を明確に撮るための非常に重要な要素であり、挿入方法にもノウハウがあるらしい。これ次第でその後の穿刺が正確に行えるか否かが決まってくる。
 続いて穿刺を行うが、これも誠に重要な要素である。穿刺すると前立腺は動いたり腫れたりするので、先に挿入した超音波プローブのリアルタイム画像を手がかりに、手先の感覚を駆使して前立腺の辺縁部ぎりぎりに穿刺してゆく。うっかりすると皮膜を突き破って迷走線源の原因となるので、先生の緊張が高まる一瞬である。穿刺が終わると、たぶんこの辺りで、例のO先生とK先生の「アクワイアー(acuire)」「はい」の小気味よい掛け声で、プローブを5mmずつ動かして3次元画像を取り込み、穿刺の状態を確認する。ちなみに穿刺はテンプレートという碁盤目状に配されたガイド穴に沿って行われる。この穴はテンプレートに直角方向のみならず、斜め方向の穴も空いていて、様々な前立腺形状に対応できるようになっている。そしてこれらの穴にはそれぞれ符号が振られていて、手術中に両先生間で何度もそれらしき言葉が飛び交う。この後患者の前立腺形状に応じて辺縁以外にも穿刺は行われる。
 これら穿刺は、事前にコンピュータにて線量シミュレーションを行い、線源を挿入した後は実際の線量を測定し、そして次の線源配置を決めるという手続きの繰り返しで慎重に進められる。前立腺全体が最低処方線量を下回ることなく、かつ尿道や直腸は所定以上の線量を越えないように行う。これらを具体的数値で書くと以下になる。前立腺全体を覆う最低処方線量は145~160Gy、105Gy~110Gy。前立腺の90%以上の部分で確保される線量は190~200Gy、135~145Gy。尿道体積の30%未満であって、その受ける最大の線量は200Gy、160Gy未満。上述の最低処方線量以上の線量を受ける直腸体積は0.5cc、0.2cc未満。それぞれ前者は小線源単独の場合で、後者はトリモダリティの場合である。患者によって前立腺や尿道、直腸の大きさや、形状、構成具合が異なるので、これら全ての条件を妥協なく満足する手術は容易ではない。
 10:30、自分の場合5本を右精嚢に、43本を前立腺に配置して全ての処置が終わった。施術の正味は1時間ほどであった。前立腺容積が16ccと小さかったので、用いた線源は11MBqと一番弱いものである。足を上げた状態で、1時間余りを過ごしたが麻酔のせいか思っていたより疲れはなかった。もちろん期待?していたような苦痛はまるでなかった。「手術が終わりました」「きれいに配置されています」との言葉に、1時間余りの沈黙を破って感謝の言葉が突いて出た。
 帰る途中レントゲンを撮り病室に帰る。ベッドに移し替えてもらった後は寒気がする。13時頃には微妙に足が動くようになり、頭もすっきりしてきた。14時から水を飲む。
 16時にはほぼ麻酔が切れて足が普通に動くようになるが、それとともに会陰が熱く感じられ、ひりひりするような痛みを感じる。18時半頃、私の手術に引き続き3名の手術を終えた先生が様子を見に来てくれた。今日の手術内容を説明してくださる。もしかしたら僕より先生の方が疲れているかもしれない。
 20時には会陰のひりひりは少し治まってきたが、カテーテルのため膀胱に少し痛みが出る。痛み止めの飲み薬で症状は緩和された。この日は終日、麻酔薬の頭への逆流を防ぐため枕なしでベッドに伏せっていたが、朝一番の手術だったので就寝時には枕が許可になる。

5/13(水) 入院3日目

 昨夜は思いのほか眠る。朝から起き上がっても良いというのでさっそく洗顔する。本日から痛み止めと抗生剤の錠剤を朝昼夕と服用開始(この後3日間)。また排尿促進のためハルナールを朝に服用することになる(この後1週間とその後はユリーフに変えて3ヶ月間飲み続ける)。立ち上がって椅子に座るとカテーテルの管に血尿が出てくる。会陰の痛みはないが、腫れを感じる。
 朝食前にK先生が来室。脱落線源の処置の説明と保管容器を手渡された。また小線源手術を受けた証明カードも渡され携帯するように注意があった。さらに大腸内視鏡検査時には前立腺裏の直腸は決してバイオプシーをしないでくださいと検査時に手渡す説明書も付けて注意があった。またO先生のお話では、痔の手術も難しくなり薬剤で対応する必要があるとのこと。だからと言って、術前に痔の手術をすると肛門が開きにくくなり直腸プローブが入らなくなると手術ができなくなる。また傷跡が治りきらぬ内に手術は不可能であろう。痔の問題を抱える人は、事前に先生と良く相談する必要があるだろう。その後次回ポストプランと外照射の手順について説明された。
 この日はカテーテルと点滴に繋がれ不快なこともあり不自由であったが、ベッドから起き上がることもできるので、図書で借りた本を読む。朝食も昼食も美味しくいただくことができた。しかしどうやら持病の頭痛が出てきたようである。
 15時にレントゲンとCTを撮る。このときだけは退室が許されるので、点滴とカテーテルを引きずりながら自分で検査室に行く。17時過ぎには点滴の針が抜かれ点滴終了。17時半ころO先生が病室に来られてカテーテル抜去。一瞬気持ち悪いが、その後は会陰の重苦しい症状がなくなり、身体にはほとんど症状らしきものが感じられなくなる。ようやく手術から解放された気分でリラックスする。この後の最初の排尿で痛みを訴える方も居られるが、自分はまったく痛みがなかった。また座っても会陰の違和感は無くなっていた。
 18時に2人の放射線技師の方が現れ、室内と身体の放射線レベルを確認する。もちろん問題のないレベルであったが、線量計の感度を最大に上げると、自分の身体から2~3mの範囲はアラームが鳴り放しになるので、ここでようやく自分は手術を受けたのだと痛感する。自覚症状ではあまり感じるものがない。この後、手術後始めてゆるめの排便が僅かにあった。

5/14(木) 退院日

 朝一番から退院に備えて気持ちが高揚している。8時過ぎに朝食を済ませた後は、9時半に昨夜と同じ放射線の測定がある。そして看護師さんの最終チェックを済ませると退室が許可になる。その後スタッフステーションで手続きを済ませ、会計で支払いを済ませたのは10時半であった。
 会計を済ませて驚いたのは、自分の支払い限度額にプラス1万5千円足らずであった。何時も思うのだが、ここの治療費は必要最低限のものにしていただいていると思う。元祖ワーキングプアーであった自分には非常にありがたいことであった。
 首に少し重ったるさはあるが、むしろ頭痛が悪化して、そそくさとK市のH宿に戻った。明日のホルモン注射の外来に備えるためである。3時のチェックインの時間を迎えるまで、河原や駅地下で過ごし、チェックイン後はベッドで1時間あまり眠る。ようやく少し改善して一心地着く。

5/26(火) その後の症状変化

 退院日は時々下腹にチクっと疼くような痛みが走ったが、その翌日にはほとんどなくなり、血尿もそれとともになくなったと思う。
 手術後に気づいたことは、ホルモン注射で意気消沈していた我が愚息が、久々に威容?を取り戻していることである。とは言っても、これは手術による腫れ、もしくは放射線による腫れと思われるので、あまり喜ばしきことではない。術後1週間過ぎると大分収まったが,ランニングをすると微妙に響くところがある。そして2週間経過するとほぼ治った。
 何よりも大きな変化は手術前にはエイリアンが暴発するかと思った症状が日々薄れていることである。その症状を詳しく述べると会陰を中心とした様々なものである。まず、前立腺そのものに腫れているような嫌な重苦しさがあり、下腹部を圧迫するような動作をする度に鬱陶しさがあった。次に下腹部右の盲腸付近とその対称位置の左に、様々な症状があり、軽重を繰り返すのである。ある時は痛み、むず痒くなる。またある時は拍動、そして妙に生暖かい知覚が出たりする。そして尿道に炎症感があり排尿時に痛みが走る時がある。また肛門の前側にも炎症感があり、ウオッシュレットで洗うと針で刺されたような激痛が走ることがあった。そして排便時には過敏な感覚がある。便意が異常に刺激されるが、残便感が消えない。当然頻便になる。1日3回などということもざらにある。さらに、左鼠径部には軽い痺れがあり、これが時には内股まで及ぶ。そして左仙腸関節から左腰骨辺りにかけて慢性的な痺れのような凝りがあり、毎日夕方になると辛くなってくる。
 これらの症状が入れ替わり立ち替わり、ある時は複合して現れる。もちろん強弱の波はある。半年の休薬期間を含め、ホルモン治療を開始してほぼ1年になるが、その間明かな改善は見られず、むしろ徐々に悪化していたのである。そして最後にはエイリアンが暴発しそうなくらいの感覚まで追い詰められていた。ところが小線源治療後2週間にして、それら症状はかなり枯れた感覚になり、最も無関係と思われていた仙腸関節から腰骨にかけての凝りまで軽快しているのである。小線源恐るべしとの驚きと、その効果に期待は高まっている。
 仮にこのような自覚症状が癌の進行と関わっているなら、ホルモン治療でPSAは低下していても、癌はしっかり何処かで進行していたのではないかと思うのである。だとするとPSAが低いことが、必ずしも癌征圧とイコールではないということである。またこれらの症状はここ数年というものもあるが、2~30年というものもあるので、もしかするとPSAより敏感なバロメータかもしれない。
 手術後、心配していた排尿障害は少し頻尿になったが、手術後2週間でほぼ治まった。術後の後遺症というのは先に述べたものだが、これも治まっている。頭痛はあったが、これは持病が麻酔で誘発されたものだろう。従って今は、ほぼ後遺症がない。そして術前の諸症状が軽快しつつある訳であるから、この手術は自分の身体にとって実に優しいものであり、かつ大いに期待を抱かせるものとなっている。



  • [29]
  • 東京医療センター 放射線科の萬篤憲先生の論文

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 5月23日(土)20時01分48秒
 
東京医療センター 放射線科の萬篤憲先生の論文、Yorozu A, et al. Permanent prostate brachytherapy with or without supplemental external beam radiotherapy as practiced in Japan: outcomes of 1300 patients. Brachytherapy. 2015 Mar-Apr;14(2):111-7を紹介します。

・2003年から2009年の小線源治療を受けた患者1313人が対象
・T1c 60%
 T2 39%
 T3  1%
・Gleason score
 <7 49%
 7  45%
 >7  6%

・7年PSA非再発率
 低リスク  98%
 中間リスク 93%
 高リスク  81%

以前、Japanese Journal of Endourology Vol. 26(2013) No. 2で矢木康人先生の治療成績と再発時の治療を紹介しました。
少し煩わしいですが、PSA非再発率等を書きます。

・2003年から2008年4月までのBTを施行し5年以上経過観察が可能であった990人が対象
 低リスク  332人(33.5%)
 中間リスク 561人(56.7%)
 高リスク  97人(9.8%)

・5年PSA非再発率
 低リスク  98.8%
 中間リスク 94.9%
 高リスク  86.5%

・9年PSA非再発率
 低リスク  98.0%
 中間リスク 89.2%
 高リスク  76.7%


萬先生の論文が1年間期間が長いだけで、対象が300人以上多い。
2015年発表の論文なので、東京医療センターの治療成績としては最新の論文であろう。

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  • [28]
  • 古家先生の論文 術前にエストラサイトを服用

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 5月20日(水)11時57分28秒
 
東北4施設の手術のPSA非再発率で紹介しました弘前大学の古家先生が興味深い論文を発表していますので紹介します。

それは、Koie T, et al. Neoadjuvant luteinizing-hormone-releasing hormone agonist plus low-dose estramustine phosphate improves prostate-specific antigen-free survival in high-risk prostate cancer patients: a propensity score-matched analysis. Int J Clin Oncol. 2015 Feb 15.です。

高リスク患者に対して、手術単独治療と、手術前にLHRH agonist (ゾラデックスまたはリュープリン)とestramustine (エストラサイト)による術前療法を行った場合とを比較したものです。

以下、estramustine(EMPと表記)とLHRHを併用する療法をLHRH+EMPと表記します。

・EMPは6ヶ月間、280 mg /日を服用
・LHRH+EMPは2005から2013年に弘前大学での高リスクの患者274人、手術単独は2000年から2011年の東北4施設の高リスクの患者386人(全体は1268人)が対象
・傾向スコア (propensity score)を用いて解析するために背景を合わせた手術単独、LHRH+EMPはそれぞれ、210人

・5年PSA非再発率
LHRH+EMP 90.4 %
手術単独 65.8 %

エストラサイトの成分である抗がん剤、ナイトロジェンマスタードの効果でPSA非再発率が手術単独よりよくなったのだろうか。


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  • [27]
  • Bittner氏の論文 Prostate Cancer Results Study Group(PCRSG) より

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 5月17日(日)13時31分1秒
  • 編集済
 
Grimm先生らの欧米の主要な施設(Prostate Cancer Results Study Group(PCRSG))のデータにより、高リスクの前立腺がんのトリモダリティ治療の治療成績として10年PSA非再発率が90%ということがいわれます。(参照1参照2)

PCRSGのデータはPCRSGのデータで書きましたようにサイト論文のデータがあります。論文は2000年から2010までの18,000以上の論文が対象であり、サイトは2000年から2012年までの25,000以上の論文を調べた結果です。

サイトには元となる論文ははっきりしないので、論文をみてみました。

なお、Table 3.をみると、高リスクの場合、EBRT + seeds + ADT の治療の論文の個数は6であり、Seeds + EBRT は15 ということです。

Figure 3で、10年PSA非再発率が90%以上と思われるREFERENCESの番号1861及び11のabstractを読んでみました。11、18に関しては、リスク分類毎のPSA非再発率はabstractに記載されていないので、記載されている61、Bittner N, et al. Whole-pelvis radiotherapy in combination with interstitial brachytherapy: does coverage of the pelvic lymph nodes improve treatment outcome in high-risk prostate cancer? Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2010 Mar 15;76(4):1078-84. の概要を紹介します。

筆頭著者はNathan Bittner氏であり、Tacoma/Valley Radiation Oncology Centersに所属しています。

・1995年5月から2005年10月までの高リスク前立腺がん患者(グリーソンスコア8以上及び/またはPSA20以上と定義)186人が対象

・小線源治療と外相照射が併用され、外照射は全骨盤(WP)照射と ミニ骨盤 (MP)照射を行い、比較

・10年PSA非再発率
WP:91.7%
MP:84.4%

ホルモン治療(ADT)を実施した場合
WP:93.6%
MP:90.1%

ADT 無しの場合
WP:82.4%
MP:75.0%

10年PSA非再発率が90%を越えるのは条件があり、また、高リスクといってもT3は対象外です。

T3を対象にしなかったというのはAmerican Brachytherapy Society (ABS) ガイドラインで引用したように、1999年制定のガイドライン(改訂は2012年)に以下のように書かれていることが関係しているのだろうか。

Brachytherapy as a Boost to EBRT:
Stage Clinical T2b, T2c or
Grade: Gleason sum 8-10 or
PSA > 20 ng/ml


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  • [26]
  • 溝脇先生の論文 高リスクに対する放射線治療後のホルモン療法について

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 5月 9日(土)17時49分38秒
  • 編集済
 
京都大学、溝脇尚志先生の2012年の論文、Interim Outcomes of a High-dose Whole Pelvic IMRT for Very High-risk Group of Patients With Locally Advanced Prostate Cancerを紹介します。

対象:2006年~2009年の46人
   T3-4N0M0 (内訳 T3a: 23, T3b: 20, T4: 3)
治療法:全骨盤照射、精嚢への照射
    全員 外照射の前に実施されるホルモン療法有
       外照射後のホルモン療法無し

    PSAが4 ng/mL を超えるとサルベージホルモン療法を開始

42か月PSA非再発率
全体   78% (95%信頼区間 = 65-91%)
T3aだけ 91% (95%信頼区間 = 79-100%)
T3b/T4  64% (95%信頼区間 = 42-87%)

アジュバンド療法を実施しなくても、高リスクに対していい結果(特にT3aに対して)であったので、京都大学病院においては現在も高リスクに対して放射線治療後のホルモン療法は実施していないのでしょうか。

患者の時期が溝脇先生より少し前の京都大学の池田格先生の2013年の論文、Long-term outcomes of dynamic conformal arc irradiation combined with neoadjuvant hormonal therapy in Japanese patients with T1c-T2N0M0 prostate cancer: case series studyの概要は以下のとおりです。

対象:2003~2007年の150人
   T1c-T2N0M0

5年PSA非再発率
83.3% (95%信頼区間 = 77.1-89.6%)

Figure 2. によるリスク毎の5年PSA非再発率は次のとおり
・低リスク  96.2%
・中間リスク 84.2%
・高リスク  71.1%

小線源治療で高リスクで放射線療法後のホルモン療法、アジュバンド療法を実施しなかった事例の論文として慶應義塾大学病院の大橋先生の小線源治療の論文、Combined brachytherapy and external beam radiotherapy without adjuvant androgen deprivation therapy for high-risk prostate cancerがあります。

・2003 から 2009 年までの206人の患者が対象
・101人(49.0%) が neoadjuvant androgen deprivation therapy (ADT) 実施
・adjuvant ADT 実施者は無し

5年PSA非再発率
・高リスク  84.8%

「がんサポート」2014年3月号P.47に掲示板に何度か紹介したTRIP臨床試験(ランダム化比較試験であり、小線源、外照射後、2年ホルモン治療をする群とそうでない群を比較するもの)に関連して東京医療センターの矢木先生はこういっています。

「臨床試験の結果が出ないとはっきりしたことは言えませんが、当施設の治療成績から見ても、長期ホルモン療法と短期ホルモン療法とでは、そんなに大差がないと思っています」


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  • [25]
  • NCCNガイドライン「原則」の紹介

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 5月 9日(土)07時30分34秒
  • 編集済
 
日米欧ガイドライン比較で高リスクに関して、ガイドラインを引用しました。
それは Discussion 考察 からの引用でした。今回、PRINCIPLES 原則 より引用、紹介します。(多分、こちらのほうが原則ということなので狭い意味のガイドラインはこちらをさすと思われます)

英語、次に日本語訳をのせます。

PROS-D (1 of 2)

PRINCIPLES OF RADIATION THERAPY
Primary External Beam Radiation Therapy (EBRT)
・Patients with high-risk cancers are candidates for pelvic lymph node irradiation and the addition of neoadjuvant/concomitant/adjuvant ADT for a total of 2 to 3 y (category 1).

Primary/Salvage Brachytherapy
Patients with high-risk cancers may be treated with a combination of EBRT (40-50 Gy) and brachytherapy +- neoadjuvant/concomitant/adjuvant ADT.

放射線療法の原則
初回治療としての外照射療法(EBRT)
・高リスク群では骨盤リンパ節照射と合計2~3年間のネオアジュバント同時併用/アジュバントADTの適応がある(カテゴリー1)。

初回/救済治療としての密封小線源治療
高リスク群の患者では、EBRT(40~50Gy)と密封小線源治療+-2~3年間のネオアジュバント同時併用/アジュバントADTの併用による治療を施行してもよい。



ちなみに私が受けた臨床試験、1回2.5 Gy照射のIMRT/IGRT併用寡分割照射法に関しては以下のように書かれています。

・Moderately hypofractionated image-guided IMRT regimens (2.4 to 4 Gy per fraction over 4-6 weeks) have been tested in randomized trials reporting similar efficacy and toxicity to conventionally fractionated IMRT.They can be considered as an alternative to conventionally fractionated regimens when clinically indicated.

・中程度に分割数を減らした画像誘導IMRT(4~6週間で1回線量2.4~4Gy)がランダム化試験で検証され、有効性と毒性が従来の分割法によるIMRTと同程度であることが報告されている。臨床的に適応がある場合は、これらを従来の分割照射の代替法として考慮することができる。


寡分割照射法と高リスクのトリモダリティ、NCCNガイドラインでの扱いの違い(お勧めの度合い)、寡分割照射法の can と トリモダリティ の may のニュアンスはどういう風に違うか、よく分かりません。


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  • [24]
  • PSA非再発率図の作成

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 5月 5日(火)12時27分24秒
  • 編集済
 
カプラン・マイヤー法によるPSA非再発率の計算でPSA非再発率の図よりPSA非再発率を計算してみました。逆に患者の再発のデータより図を作成してみようと思いました。

とはいっても実際のデータがあるわけではないので、少し極端な例を設定してみました。高橋信『すぐ読める生存時間解析』東京図書のP.29の表を参考にして作成しました。
なお、観察期間は2013年1月より2014年12月31日とし、追跡期間の長さの順に患者1より患者10の10人としました。(表1)

カプラン・マイヤー法によるPSA非再発率の計算と同様に 表2 PSA非再発率の計算(簡易表)を作成しました。

リスクのある患者数 n がどのようにして得られるか、少し煩雑になるが説明します。

8か月 当初の値 10人より治療開始が遅く6か月で追跡できなくなった患者1をひく。 10-1=9

10か月 残った9人より8か月でPSA再発した患者2及び9か月で転院した患者3をひく。 9-2=7

15か月 残った7人より10か月でPSA再発した患者4をひく。 7-1=6

なお、1年PSA非再発率は76.2%、2年PSA非再発率は63.5%です。

以上の情報を元にPSA非再発率図を作成してみました。

高橋さんの本のP.29の終わりには以下のように書かれています。

「なお、この例の「追跡期間」の単位は「月」でしたけれども、読者が自分自身のデータを分析する際には、単位が「年」でも「日」でも「時間」でもかまいません。」

カプラン・マイヤー法によるPSA非再発率の計算で言及した昭和大学病院のグラフに関して行われた掲示板の議論は追跡期間の単位を年としたものと思われます。
グラフはみて分かるように月を単位としています。


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  • [23]
  • カプラン・マイヤー法によるPSA非再発率の計算

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 4月30日(木)19時54分56秒
  • 編集済
 
今まで、PSA非再発率に関して医学論文を紹介してきました。医学論文においては、通常、カプラン・マイヤー法(Kaplan-Meier method)が使われます。

勝俣範之『「抗がん剤は効かない」の罪』の投稿で勝俣先生のカプラン・マイヤー法に関する説明を紹介しました。再掲します。


がん患者の生存曲線は「カプランマイヤー法」という方法で描かれるが、"真の生存曲線"ではなく、"推定生存曲線"であるということ。

累積生存率の95%信頼区間の上限値を繋いだものと、95%信頼区間の下限値を繋いだものを図表すると、かなり幅があることがわかり、「カプランマイヤー法」で表される曲線を"真の生存曲線"と誤解しないことが必要。

追跡不能となったのは「打ち切り」例として表示するが、打ち切り例は、生存曲線に縦棒としてあらわす。

最後の部分がすとんと落ちるグラフは、たくさんの患者が亡くなったことを意味するのではなく、最も長く追跡された患者さんひとりが亡くなったことを示す。

生存期間の最後のほうは、追跡患者が少なくなるために生存曲線の形が変わりやすく、医学的には"累積生存率の信頼区間の幅が広くなる"


生存曲線を導き出す方法がどうして再発率を導き出すのに使用されるかに関しては以下に書かれていることが端的です。    1)


カプランマイヤー法を使用するためには,2種類のデータが必要となります。1つは「死亡」や「生存」などのアウトカムが起こったかどうかを表す2値のデータで,2値であればどんなものでも構いません。例えば,がんの罹患,再発,人工透析の有無,入院,退院など,使用されるアウトカムはさまざまです。

もう1つ必要なのは時間のデータです。時間のデータとは,アウトカムが起こった被験者ではアウトカムの起こった時間,アウトカムが起こらなかった被験者では追跡中に被験者が観察された最後の時間を指します。後者のデータは「中途打ち切り(Censor)されたデータ」と呼ばれます。

カプランマイヤー曲線で,Y軸上に"生存率"として表されている値は,正確には"累積生存率"と呼ばれ,その時点で患者が生存している確率を表します。


従って、以下、説明では生存、死亡で記述されていることは、「PSA非再発」、「PSA再発」とよみかえて、特に問題ありません。

カプラン・マイヤー法は、以下のように定式化されます。  2)


t = 治療開始から死亡までの時間(生存期間)
n = その期間当初の生存数
r = その期間の死亡数
n-r = その期間終了時点での生存数
このように定義すると以下のような式となる。
r/n = その期間での死亡割合
1-r/n = (n-r)/n = その期間での生存割合
S(t)= S(t-1)×(1-r/n) = その期間での累積生存割合(累積生存率)

式としては、上記でつくされています。

前立腺がんののPSA非再発率はtの単位は月が多いです。
例えば、5か月PSA非再発率(累積PSA非再発率)は次のようになります。
S(5)=S(4)×(1-r/n)

もっとも、鶴崎先生の論文で紹介した論文の図5では術後観察期間(日)となっています。

Censorに関して、追跡不可能となった患者だけではないことは以下の記述に明確に述べられています。  3)


1年前、あるいはつい先月から経過観察し始めた人もいる。現実的に生存を永遠に追跡することはできないので、いつかは中止しなくてはならない。よって通常経過途中の患者さんがでてくる。治療後4年経っている患者さんの再発は少ないかもしれないが、治療後1ヶ月の人は今後再発するかどうか全くわからない。それではこれらのデータを捨ててしまうのか。それはもったいない話である。それではこれらをセンサーという特別な扱いでデータに残すことにしよう。センサーには経過途中で観察が中止になった場合に加え、外来に来なくなってしまって観察できない場合もセンサーと考えることができる。

とこれだけではなんとなく、ぴんとこないので、まずは簡単な例から。
2014/12/06にサイトの生存率で紹介した生存率のデータを正しく理解するためにの例を以下に引用します。


例えば,10例の対象患者で,1例目が1ヵ月目に死亡,2例目が2ヵ月後に死亡,3例目は3ヵ月生存を確認したが,現在追跡中で不明,4例目は4ヵ月後に死亡という場合には,1ヵ月生存率は(10-1)/10(90%),2ヵ月後は9例が対象となりますので,1~2ヵ月の間の生存率は(9-1)/9となります。2ヵ月生存率は(9/10)×(8/9)=8/10(80%)になります。

本来なら次の時点の計算の対象となる例は8例ですが,3ヵ月まで生存が確認され,それ以降は不明の場合には,計算から除外しますので7例中6例が生存していると計算し,4ヵ月生存率は(9/10)×(8/9)×(6/7)=0.685(68.5%)と計算されます。

不明例がその時点で死亡している場合には,4ヵ月生存率は6/10(60.0%)ですし,生存していて十分に観察期間があれば4ヵ月生存率は7/10(70%)となります。
Kaplan-Meier法での計算した4ヵ月生存率は68.5%ですが,その時点で死亡している場合には60%となるということになります。

とここまで、準備をしてきたところで、論文ではないですが、以前、掲示板で議論となった昭和大学の中高リスク症例にも併用療法で優れた治療成績に掲載されているPSA非再発率の図を計算してみます。

なお、拡大した図をアップロードします。
再発時のみを対象とした表を用いて計算結果をしめします。表はベス・ドーソン、ロバート・G.トラップ『医学統計データを読む 医学・医療に必要な統計学活用法 第3版』メディカル・サイエンス・インターナショナルのP.241を参考にしました。
表を同様にアップロードします。

53ヵ月から5年、60ヵ月まで、PSA再発はないので、5年PSA非再発率は90.1%となります。
リスクのある患者数は階段状になりPSA再発を含むところまでのPSA再発していない患者数であり、落ちる前の直線上の最初の患者の数から縦棒の数を引いたものです。

サイトの表では5年PSA非再発率は91.1%であり、上記の計算結果、90.1%とは一致しない。ただし、図を拡大(10%を3cmぐらいに)して図上、再発時、各々、97.5%、94%であることは確認し、最後も約90%であることは確認しました。


北海道大学の清水先生の論文で紹介しました北海道大学の清水伸一准教授の論文、Full textのFigure 2.の大きい図よりPSA非再発率を計算してみます。

中間リスクに関し、人数を気合いで数え、以下のような計算となります。

3年PSA非再発率
29/30*33/34 = 0.938 (93.8%)

5年PSA非再発率
15/16*21/22*29/30*33/34 = 0.8396 (83.96%)

これは論文で書かれている3年PSA非再発率5年93.8%、PSA非再発率84.0%と一致します。

黒丸の見方ですがが、再発で階段状になる前までは、各々のリスク、同一線の上に表現されます。一番上の低リスク、最終的に72か月で16となり、観察終了です。ただし、高リスク、最初の再発があった後も多分、スペースの関係か同一線上に表現されています。


この論文では、PSA非再発率の95%信頼帯(confidence band)を実線表示した上下に破線で示しています。時間がたつと帯は広がっていきます。




1) 新谷歩(米国ヴァンダービルト大学准教授・医療統計学) 今日から使える医療統計学講座 【Lesson12(最終回)】カプランマイヤー曲線


2) 原野悟(日本大学)疫学概論 Lesson 8 その他の生存分析
原野先生の疫学概論は医学情報教育研究委員会OPEN教材科目一覧よりリンクされています。

3) 浦島充佳(東京慈恵会医科大学)カプランマイヤー生存曲線
なお、このPDFファイルは浦島充佳 学術記事よりリンクされています。


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [22]
  • 間欠療法、交代療法資料

  • 投稿者:GANBA-SETA
  • 投稿日:2015年 4月30日(木)15時57分57秒
 
下記の資料は「がんサポート」資料のコピーです。

間欠療法、交代療法、そして「効かない抗がん剤」に突破口が開かれた 再燃前立腺がんの最新治療
Posted By admin On 2013年4月1日 @ 9:51 AM In | No Comments


大阪大学病院泌尿器科講師の
西村和郎さん
効くホルモン療法が効かなくなってくると、前立腺がんは別の顔を見せるようになる。困難でやっかいな面だ。
昔は有効な治療法がなかったが、最近は少しずつだが、優れた治療法が登場してきている。その新しい治療法を紹介しよう。


[ホルモン療法の経過]
前立腺がんは、一般的には比較的進行が遅く、ホルモン療法もよく効き、コントロールのしやすいがんとされている。

しかし、このがんの最大の問題は、そのホルモン療法でがんが完全に死滅することはなく、数年のうちにホルモン療法が効かなくなり、がんが再燃(残ったがんが再び増殖に転じてくること)してくることだ。そしてホルモン療法が効かなくなってくると、途端にやっかいながんへと変貌する。なかなか有効な手立てがなく、昔は緩和的な処置をするのがせいぜいだった。

そんななか、最近は、少しずつだが有効な治療法が出てきている。ここでは、その新しい治療法を紹介していこう。

ホルモン療法を中止する治療法

[間欠的ホルモン療法]
まず1つは、このホルモン療法が効かなくなるのを少しでも先延ばしにできないかと新しい試みが出てきている。間欠的ホルモン療法と呼ばれる治療法だ。

ホルモン療法を行うと、効果が現れPSA値(前立腺特異抗原)が下がる。下がりきったら治療を止める。すると今度は徐々にPSA値が再上昇してくる。ある程度上がったところでホルモン療法を再開する。これをくり返していく治療法だ。通常、ホルモン療法は男性ホルモンの産生を迎える薬(LH-RHアゴニスト)を主体として、男性ホルモンの作用をブロックする薬(抗アンドロゲン剤)を組み合わせて行う。

再燃前立腺がんに対する治療法の臨床応用に精力的に取り組んでいる大阪大学病院泌尿器科講師の西村和郎さんは言う。

「抗アンドロゲン剤除去症候群といって、抗アンドロゲン剤を中止することによってPSA値が下がったり転移巣が小さくなったりするんです。抗アンドロゲン剤にはステロイド性と非ステロイド性がありますが、とくにステロイド性の抗アンドロゲン剤では、初めは効果を上げていたものが、いつの間にか男性ホルモンと同じようにがんを増殖させるようになると考えられています。したがって、抗アンドロゲン剤を中止すれば、その悪い作用がなくなり、PSA値や症状が改善されると考えられるわけです。
一方、動物実験では、間欠的ホルモン療法によりホルモンが効かなくなるまでの期間が延長できることが確認されており、人においても同様の効果が期待されています。まだ結論は出ていませんが、少なくとも治療を中断している間は副作用が出ないメリットがあります」

ちなみに、再燃前立腺がんに対する治療に積極的に取り組んでいる医療機関はそう多くはない。阪大以外では、千葉大学病院泌尿器科や横浜市立大学病院泌尿器科などが代表的だ。

抗アンドロゲン剤を切り替える治療法

[抗アンドロゲン剤交代療法の1例]
ところで、抗アンドロゲン剤を中止しても効果が現れない場合もある。このような場合は、別の抗アンドロゲン剤に変更してみる。これが、抗アンドロゲン剤交代療法と呼ばれる治療法だ。

例えば最初に使用していたステロイド性抗アンドロゲン剤を中止し、非ステロイド性抗アンドロゲン剤に切り替えるというものだ。非ステロイド性抗アンドロゲン剤は、日本では2種類あり、これら2剤の切り替えも有効性が報告されている。

「ステロイド性抗アンドロゲン剤は有効性がそんなに高くないことから、欧米では非ステロイド性抗アンドロゲン剤が主流となっていますし、日本でもこれが最近多くなってきています」(西村さん)

しかし、抗アンドロゲン剤を切り替えても効かなくなったら、どうするか。今度は抗がん剤を使うのがよいという。

「あるいは、前立腺がんの進行が非常に速い場合は、抗アンドロゲン剤よりも、いち早く抗がん剤を使ったほうがいいですね」(西村さん)

もっとも、この場合、正しくは、ホルモン療法から抗がん剤に切り替えるのではなく、ホルモン療法に、新たに抗がん剤を加えるというものだ。つまり、男性ホルモンのレベルは抑えておいて、抗がん剤を効かせるわけだ。

[前立腺とホルモン分泌の関係]
  LH-RH(黄体化ホルモン 放出ホルモン)=脳下垂体に働きかけて精巣への指令を出させる
  LH(黄体化ホルモン)=精巣に働きかけて男性ホルモンを分泌させる
  CRH(副腎皮質刺激ホルモン 放出ホルモン)=脳下垂体を刺激して副腎皮質への指令を出させる
  ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)=副腎皮質を刺激して男性ホルモンを分泌させる

「効かない抗がん剤」に道が切り開かれた

再燃前立腺がん治療のキードラッグになりつつあるタキソテール
実はこれまで、前立腺がんではホルモン療法は効いても、抗がん剤は効かないとされてきた。しかし、この閉ざされた壁に1つの風穴を空けた薬がある。タキソテール(一般名ドセタキセル)という抗がん剤だ。

ホルモン療法が効かない転移性前立腺がん患者1006人に対して、抗がん剤のノバントロン(一般名ミトキサントロン)とタキソテールのどちらが優れているか、臨床試験が行われ、その結果が2004年に医学誌『ニューイングランドジャーナル・オブ・メディスン』に発表された。

ノバントロンは、日本では前立腺がんに対してまだ承認されていないが、欧米では骨転移の痛みを和らげるなど、症状緩和作用が認められ、標準薬の1つになっている。そしてすべての患者に対して副腎皮質ホルモンのプレドニン(一般名プレドニゾロン)が併用されている。プレドニンは、抗がん剤を使用する際の吐き気止めによく使われるが、前立腺がんでは少量持続投与の形でよく使われている。

それによると、ノバントロン群よりもタキソテール群のほうが延命効果で優れており、また痛みやPSA値、QOL(生活の質)に関しても改善されるという。

「生存期間(中央値)の延長は3カ月という短い期間ではありますが、前立腺がんに対する抗がん剤としては初めて延命効果が実証されたわけで、その点でこの薬は画期的といえます」(西村さん)

その結果を得て、欧米ではタキソテールとプレドニンの併用療法がホルモン不応性(効かない)転移性前立腺がんに対する治療法として承認されるに至っている。

タキソテールを軸にした3剤併用

こうしてホルモン療法の効かなくなった前立腺がんに対して、また新しい道が切り開かれることになったが、大阪大学病院では、さらに工夫を行い、新しい組み合わせによる抗がん剤治療に取り組んでいる。

先のタキソテールを軸に、エストラサイト(一般名エストラムスチンナトリウム)、デカドロン(一般名デキサメタゾン)の3剤を併用するという治療法だ。

なぜこのような組み合わせになったのか、少し説明が必要だろう。詳細は省くが、西村さんは「海外で行われた臨床試験のデータをもとに考えた」という。

まず、タキソテールについては、乳がんでの実績を参考にした。乳がんでは、従来の3週に1度投与するより、週1回投与するほうが有効性が高く、副作用が少ないという結果が出ている。これをもとに、西村さんは外来で安全に投与できる治療として、週ごとに投与するのを2週続けて行い、1週休薬するという方法を考え出した。

エストラサイトは、女性ホルモンのエストラジオールと抗がん剤のナイトロジェンマスタードを合剤にしたもの。

女性ホルモンの作用は一般的に男性ホルモンよりも強く、脳の下垂体や副腎に作用して男性ホルモンの作用を抑える。前立腺がんでは、この作用を利用して広く利用されてきた。

しかし、この女性ホルモンには血栓ができやすいという難点がある。血栓ができると肺塞栓という非常に重篤な合併症を起こす。脳梗塞や脳血栓、心筋梗塞のリスクも高くなる。そこで、西村さんらは、こうした合併症が致命傷になりかねないので前立腺がん治療には女性ホルモンは使わない方針をとっている。したがって、女性ホルモンの一種であるエストラサイトについても、「タキソテールの効果を上げるために使うが、合併症の危険性があるので最小限の量にしたのです」という。

デカドロンはステロイド剤の一種で、タキソテールの副作用を抑えるために使用する。「海外では副作用対策にはプレドニンを使うのが一般的ですが、デカドロンにはそれ以外に、われわれの経験上ですが抗腫瘍効果も持っていると考え、その効果もねらって、デカドロンを組み合わせたのです」(西村さん)

[ホルモン療法で使われる主な薬剤リスト]
薬剤名(商品名/一般名) 投与方法
LH-RHアゴニスト剤
リュープリン(酢酸リュープロレリン) 3カ月ごとに皮下注射
ゾラデックス(酢酸ゴセレリン) 3カ月ごとに皮下注射
抗アンドロゲン剤
非ステロイド系
カソデックス(ビカルタミド) 内服
オダイン(フルタミド) 内服
ステロイド系
プロスタール(酢酸クロルマジノン) 内服
女性ホルモン剤等
エストラサイト(リン酸エストラムスチンナトリウム) 内服
ステロイド剤
デカドロン(デキサメタゾン) 内服
プレドニン(プレドニゾロン) 内服
PSA値が50%以下になるのが半分

というわけだが、この3剤併用の治療の結果はどうか。西村さんはこう答える。

「まだ結果をまとめていませんが、効果が出る人と出ない人とで個人差がありますね。効く人は3年以上効いていますし、効かない人では、2、3カ月で効かなくなる人もいます。効果の目安と言われている、治療前に比べてPSA値が50パーセント以下になる人が約半数ぐらいいます。ホルモン療法が効かなくなった患者さんに対する治療であることを考えれば、かなり有望とは思います」

ここで、タキソテールを用いた治療の1例を見ておこう。

前立腺がんになったことから精巣摘除術(去勢手術)を受けた65歳の男性の場合だ。手術後8年ぐらいは何もなかった。「もう大丈夫だろう」と思っていたところへ、骨転移が起こった。それも脊椎や肋骨などへの多発性骨転移だ。

すでに前記のエストラサイトを飲んでいたが、あまり効いていなかった。

そこで、西村さんは、タキソテールの少量投与を追加する治療を開始した。するとしばらくしてまず骨転移による痛みが消え、次いで転移巣の一部も消失した。50あったPSA値も一桁の1~2に下がった。すでに2年以上経過しているが、骨シンチグラフィ上では一部集積部分が見られるが転移巣は大きくなっておらず、元気に通院している。抗がん剤の副作用として、脱毛や涙が出る、爪が変形するなど出ているが、日常生活に支障を来すことはなかったという。

この1例を挙げるまでもなく、西村さんは「今やこのタキソテールが再燃前立腺がん治療におけるキードラッグになりつつある」という。もっとも、臨床試験の結果を見るかぎり、タキソテール単剤ではがんを消失させるほどの力はない。したがって他の薬剤と併用する上においてのキードラッグというわけだ。

このことは、海外での臨床試験の動向を見ればより明瞭になってくる。

海外ではサリドマイドやビタミンDも

日本ではまだ未承認で保険診療では使えないが、参考までに最近海外で有望視されている再燃前立腺がんに対する新しい治療法を2つ紹介しておこう。そのいずれにもタキソテールが併用されている。

まず1つは、サリドマイドとタキソテールの併用療法だ。

サリドマイドは、すでに血液がんの一種である多発性骨髄腫では標準治療薬の1つになっており、現在、海外ではさまざまながんで臨床試験が行われている。

前立腺がんでは、サリドマイド単独とタキソテールとの併用とを比較する臨床試験が行われた。サリドマイド単剤でも抗腫瘍効果が認められているが、十分ではないので、有効性のある抗がん剤との組み合わせを考えて出された治療法だ。その結果、併用療法で非再発期間と生存期間が延長したという報告があり、期待されている。

もう1つは、高用量ビタミンDとタキソテールの併用療法だ。

ビタミンDは、実験ではがん細胞の細胞周期を止めるとか、分化を誘導するなどの作用が明らかになっているが、本当の作用機序はまだよくわかっていない。ただ、海外の臨床試験では、この組み合わせの治療のほうがタキソテール単剤よりも非常によく効いたとの報告があるので、有望という。

ただし、ビタミンDには結石などの合併症が起きる恐れもあるので、注意する必要はある。

このように、ホルモン療法が効かなくなった再燃前立腺がんに対する治療は、まだ“混沌”としている。新しい治療法といっても、必ずしもいい効果ばかりとは限らない。その点を考慮・熟慮した上で、治療を選択する必要があることを付記しておきたい。


Article printed from がんサポート: http://gansupport.jp

URL to article: http://gansupport.jp/article/cancer/prostate/2729.html


  • [21]
  • 治療法別PSA非再発率の図

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 4月25日(土)19時02分25秒
 
Peter Grimm さんらの治療成績の情報はPCRSGのデータということで、サイトの情報と論文の内容に関して、投稿しました。

その時点では、全文は無料でみることはできませんでしたが、今はfull textを読むことが可能となったようです。全部を熟読する元気はないですが、Table 3.  Number of patients in each treatment group and according to risk group category で数を確認してみました。中間リスクに関しては手術の論文の数は4、Seeds + EBRTに関しては6、HDRは4と必ずしもすべて、10件以上でないことがわかりました。図に付記されている番号は論文の番号で、REFERENCESで参照できるということのようです。

ということもあり、折角20論文、集めて治療法別PSA非再発率の比較表 (改訂)で一覧表として整理したので、Prostate Cancer Results Study Group の図ににせて作図してみました。件数も少なく主に5年PSA非再発率の値しかないので、あまり意味はないかもしれないですが。


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [20]
  • 治療法別PSA非再発率の比較表 (改訂)

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 4月24日(金)14時03分11秒
 
奈良県立医科大学の田中先生の論文を追加したことに対する改訂です。
サイトの表の表示を分割して掲示します。論文著者の所属名も掲載となります。

* 10はcT1c-2cN0M0
** リスク分類は下記以外すべて、NCCNリスク分類です。
  9,14,15は不明 (本文には書かれていると思いますが有料なのでアクセスしていません)
  10,13,17,18,19 は D'Amico リスク分類。


各論文は以下のとおりです。

1. Tomita N, et al. J Cancer Res Clin Oncol. 2012 Nov;138(11):1931-6.

2. Takeda K, et al. Radiat Oncol. 2012 Jul 6;7:105.

3. 河野直明他 滋賀医大誌 26(1), 6-12, 2013

4. Shimizu S, et al. Radiat Oncol. 2014 May 21;9:118.

5.  Kobayashi M, et al. Int J Urol. 2015 Feb 11.

6. 矢木康人他 Japanese Journal of Endourology(2013)26:176-181

7. Ohashi T, et al. Radiat Oncol. 2014 Jan 9;9:13.

8. Sekiguchi A, et al J Radiat Res. 2014 Mar 1;55(2):328-33.

9. Kimura T, et al. int J Urol. 2014 May;21(5):473-8.

10.Tanaka N, et al. Radiat Oncol. 2014 May 6;9:107.

11. Hayashi N, et al. World J Urol. 2015 Jan 23.

12. Yamada Y, et al. Brachytherapy. 2015 Mar-Apr;14(2):118-23.

13. 坂本直孝他 日本泌尿器科学会雑誌 Vol. 102 (2011) No. 4 p. 621-627

14. Yoshioka Y, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2011 Jun 1;80(2):469-75.

15. Yoshioka Y, et al. Radiother Oncol. 2014 Jan;110(1):114-9.

16. Ishiyama H, et al. J Radiat Res. 2014 May;55(3):509-17.

17. Makino T, et al. Anticancer Res. 2015 Mar;35(3):1723-8.

18. Kita Y, et al. Hinyokika Kiyo. 2012 Jul;58(7):319-24.

19. 鶴崎俊文他 日泌尿会誌 104(3):496~504,2013

20. Koie T, et al. Int J Urol. 2015 Jan;22(1):70-3.


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [19]
  • (無題)

  • 投稿者:GANBA-SETA
  • 投稿日:2015年 4月21日(火)22時00分33秒
 
下記の資料は「海外癌医療情報リファレンス」からのコピーです。


立腺癌の標準治療が癌の転移を促進する可能性/ジョンズホプキンス大学

2007年10月23日

前立腺癌の標準治療は癌の転移を促進する可能性
ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター*
2007年10月1日
?この研究結果によりアンドロゲン枯渇療法が変更されることもあるかもしれない
アンドロゲン枯渇療法と呼ばれる前立腺癌の一般的な治療法によって、あるタンパク質の産生が前立腺の癌細胞内で亢進し、そのタンパク質の作用によって癌細胞が体中に広がりやすくなる可能性があると、ジョンズホプキンス大学の研究者らが行った新しい研究で示唆された。
ジョンズホプキンス大学の研究者らは、今回の知見によって、この致死的でもある癌に対する標準治療が将来的に変わる可能性はあるものの、自分たちの発見はいまだ非常に予備的なものに過ぎず、前立腺癌患者や医師はこの療法を中止するべきでないと注意を促している。アンドロゲン枯渇療法は腫瘍の成長を遅らせるのに有効な治療法であることを研究者らは強調する。
ジョンズホプキンス大学医学部病理学、泌尿器科学、腫瘍学の各科に所属するDavid Berman准教授らのグループは、ヒト前立腺癌培養細胞でネスチンと呼ばれるタンパク質をコードする遺伝子が活性化されているのを発見し、テストステロン抑制療法により想定外の問題が起きる可能性があることを突きとめた。
研究者らは、実際の人の前立腺癌細胞でもネスチンが産生されているかどうかを知るために、限局性前立腺癌の摘出手術を受けた男性患者から採取した細胞でネスチンの発現を評価したが、ネスチンは検出されなかった。ところが、癌細胞が前立腺の腫瘍の外に広がった転移性前立腺癌で死亡した患者から前立腺癌細胞を単離してネスチンを評価したところ、ネスチン遺伝子が活性化されていたことの確固たる証拠を発見した。
この違いは、体内のテストステロンを減らす治療法であるアンドロゲン枯渇療法が、一般的に前立腺癌が進展し転移しやすくなった場合に限り用いられることから生じたのではないかとBerman氏は推測した。
前立腺癌は一般的にテストステロンに刺激されて成長するため、アンドロゲン枯渇療法は腫瘍の成長を遅らせ、癌の勢いを弱めると考えられている。Berman氏は、癌が転移して死に至る患者はほとんど例外なくこのタイプの治療を受けたことがあると言う。
しかし、細胞からアンドロゲンを遮断することはネスチンの発現にも影響するのではないかと考えて、同氏らはアンドロゲン依存性前立腺癌細胞株で実験した。癌細胞を入れた培養液からアンドロゲンを除去したところ、細胞のネスチン産生が亢進した。
ネスチン遺伝子は細胞の成長および発達に何らかの役割を果たしているのではないかとこれまでにも示唆されてきた。そこでBerman氏らがRNA干渉と呼ばれる実験上のちょっとした妨害行為を用いてネスチン遺伝子の発現を抑制したところ、この細胞は、移動したり、細胞間を通り抜けたりする能力が、ネスチンの発現が通常である細胞より低くなることがわかった。
ネスチンの発現を抑制した前立腺癌細胞をマウスに移植した場合も、通常の前立腺癌細胞よりも体の他の部位に広がる可能性が低いことがわかった。しかし、以上の実験でネスチンの発現が腫瘍の転移にきわめて重要であるらしいことがわかった一方で、ネスチンの発現は腫瘍の増殖には影響を及ぼさなかったようである。
Berman氏は、「こうしたことから示唆されるのは、前立腺癌細胞からアンドロゲンを遮断するとネスチン濃度が上昇し、癌細胞の転移を促進する可能性があるということです」と言う。
この研究に参加したその他のジョンズホプキンス大学研究者は以下である。
M.D., G. Steven Bova, M.D., Matthew E. Nielsen, M.D., Mehsati Herawi, M.D., Ph.D., Ai-Ying Chuang, M.D., and Jonathan I. Epstein, M.D.
10月1日号のCancer Research誌に掲載されたこの研究は、米国国立衛生研究所、米国国立癌研究所、Evensen Family Foundation、German Cancer Aid Foundationから研究助成金を受けた。

  • [18]
  • 治療法別PSA非再発率の比較表

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 4月16日(木)18時26分35秒
  • 編集済
 
奈良県立医科大学の田中先生の論文を追加したことに対する改訂版を掲載しました。
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/t2/20

......

今まで、PSA非再発率に関して、掲示板、サイトにいくつか論文を紹介してきました。

RE:非再発率の件 投稿日:2013年 7月29日(月)00時29分59秒
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/3565

で以下のように書かれています。

「一例としてあげておきますと、小線源療法で最も実績の多い東京医療センターでは、
5年非再発率は、低リスク99%、中リスク95%、高リスク86% となっています。

Prostate Cancer Study Groupの調査ではさほど良くない外部照射(EBRT)も、
千葉県がんセンターのIMRTでは、
低リスク93%、中リスク98%、高リスク90% の5年非再発率を示しています。

ただし、放射線治療に関しては、施設によって大きく成績が異なるということに注意が必要です。

今後、こうした情報を徐々に集め、腺友ネットのHPでも公開できるようになれば良いと考えています。」

半年近く、情報、いろいろ調べ、集めてきましたので、その結果を分かやすく表形式でまとめてみようと思いました。

オーストラリアでIMRTによる治療を実施し、オーストラリアの他の治療法との比較を実施した Shea William Wilcox 氏の論文 Is modern external beam radiotherapy with androgen deprivation therapy still a viable alternative for prostate cancer in an era of robotic surgery and brachytherapy: A comparison of Australian series に載せられている表を参考にしました。

ただし、論文、有料のものを読んだわけではないので、無料でfull textが公開されているもの、無料でabstractが公開されているものに限定されています。
日本語の論文に関しては abstractも有料が多いです。情報として、網羅性では多分に問題あるかと思います。

なお、論文著者の所属名を書いたものをサイトに載せています。


各論文は以下のとおりです。

1. Tomita N, et al. J Cancer Res Clin Oncol. 2012 Nov;138(11):1931-6.

2. Takeda K, et al. Radiat Oncol. 2012 Jul 6;7:105.

3. 河野直明他 滋賀医大誌 26(1), 6-12, 2013

4. Shimizu S, et al. Radiat Oncol. 2014 May 21;9:118.

5.  Kobayashi M, et al. Int J Urol. 2015 Feb 11.

6. 矢木康人他 Japanese Journal of Endourology(2013)26:176-181

7. Ohashi T, et al. Radiat Oncol. 2014 Jan 9;9:13.

8. Sekiguchi A, et al J Radiat Res. 2014 Mar 1;55(2):328-33.

9. Kimura T, et al. int J Urol. 2014 May;21(5):473-8.

10. Hayashi N, et al. World J Urol. 2015 Jan 23.

11. Yamada Y, et al. Brachytherapy. 2015 Mar-Apr;14(2):118-23.

12. 坂本直孝他 日本泌尿器科学会雑誌 Vol. 102 (2011) No. 4 p. 621-627

13. Yoshioka Y, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2011 Jun 1;80(2):469-75.

14. Yoshioka Y, et al. Radiother Oncol. 2014 Jan;110(1):114-9.

15. Ishiyama H, et al. J Radiat Res. 2014 May;55(3):509-17.

16. Makino T, et al. Anticancer Res. 2015 Mar;35(3):1723-8.

17. Kita Y, et al. Hinyokika Kiyo. 2012 Jul;58(7):319-24.

18. 鶴崎俊文他 日泌尿会誌 104(3):496~504,2013

19. Koie T, et al. Int J Urol. 2015 Jan;22(1):70-3.


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [17]
  • Taking Abiraterone with Food May Help 

  • 投稿者:角さん
  • 投稿日:2015年 4月16日(木)14時26分59秒
  • 編集済
 
●元になった記事のURL:
http://www.renalandurologynews.com/psa-rising-while-on-abiraterone-taking-it-with-food-may-help/article/406935/

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Renal and Urology News 2015年4月2日

アビラテロン(ザイティガ)服用中に上がっていくPSA? アビラテロン(ザイティガ)を、食物と一緒にとれば有効になるかも。


 新しい研究によると、転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)でアビラテロン服用中にPSA の上昇が見られる患者の中には、アビラテロン酢酸エステル(AA:商品名ザイティガ)を食物と一緒に服用すると、PSAの上昇を食い止める可能性がある。
さらには、ザイティガの服薬治療期間を引き伸ばせることも考えられる。

 ノース・カロライナ州のダーラムのデューク大学でアンドリュー・J・アームストロング博士の指導のもと研究者たちは、過去にさかのぼって60人のmCRPC患者を調べた。最初のうちは、食物を取らないでザイティガを服用していたが、PSA の上昇をみた。これら60人のうち19人の患者は食物と一緒にザイティガを取ることに切り替えた。一方残りの41人の患者は食物を取らないでザイティガを服用した。

 食物を取らないでザイティガを投薬するのから食物と一緒に取ることに切り替えて3ヶ月も経たないうちに、ある程度の割合の患者がPSAになんらかの下降が生じたことが、研究の最初の成果だった。

 PSAの上昇が見られるときに、食物と一緒に服用した19人の患者のうち、3人(16%)が、服用の仕方を切り替える前の時点に比べてPSAの下降を示した。

 アームストロング博士の研究グループは、文書の論文に先駆けてオンライン(ネット)で「前立腺癌と前立腺の病気」に発表した。研究者たちは、食物と一緒にザイティガを取ることに切り替えた患者は、服薬治療期間の中央値が、切り替えない患者よりも長くなることを発見した。(切り替えた患者は272日:切り替えない患者177日)

 研究者たちの説明によれば、食物と一緒にザイティガを取ると、CRPCの進行に関係するアンドロゲン合成経路に追加的な酵素の抑制を引き起こすとみている。

 「これらの結果は、期待できるもので、患者の中には、食物と一緒にザイティガを取ることに切り替えると、服薬治療期間の中央値が2~4ヶ月ものびることがある人もいることを裏付けている。そしてこの事実は、もっと毒性の強い療法(注:抗がん剤のことか)への移行を遅らせる」と著者は書いている。

 研究者によれば、以前のケトコナゾールでの治療の効果は、食物と一緒にザイティガを取ることに切り替えてもPSA の下降を経験した患者の割合が低かったようだ。ケトコナゾールはザイティガの作用機序と同様の作用機序を持っている。両薬とも酵素CYP17の媒介する腫瘍内部のアンドロゲン合成をブロックする。この新しい研究では、19人の患者のうち食物と一緒にザイティガを取ることに切り替えた7人(37%)は、治療歴としてケトコナゾールの経験があったが、そのうちの誰もPSAの下降につながった人はいないと研究者は言及している。

掲載者注:
ケトコナゾールは、日本では軟膏(クリーム)でしか売っていない。(1) 白癬(2) 皮膚カンジダ症(3) 癜風(4) 脂漏性皮膚炎 などの皮膚関係の薬として販売されている。が、次のような記事もある。

http://blog.livedoor.jp/tsunoda001/


  • [16]
  • 小線源治療のBEDの計算

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 4月10日(金)17時55分1秒
  • 編集済
 
以前、生物学的効果線量(biologically effective dose;BED)について小線源の場合の計算式についてSANZOKUさんより教えていただきました。

http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/5055

「図17の論文に掲載されていそうですが私は見ていません。お探しの式は図21に
載っています」

また、
http://6307.teacup.com/cap87090/bbs/5059
「眞さん。その式は紹介した論文にもう少し詳しい説明があります。t1/2は1hだそうです」

今回、該当の論文で、BEDの一覧の表の値と一致することを確認したので紹介します。
論文はStock RG, et al. Biologically effective dose values for prostate brachytherapy: effects on PSA failure and posttreatment biopsy results. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2006 Feb 1;64(2):527-33.full textです。
その計算式と値についての説明を画像で表示します。

以下に下付の文字は省略して式を書き、リアルタイムによる辺縁配置法&EBRT併用療法のBEDの参考数値の表の値、D90 = 120 Gyの場合で確かめてみます。

なお、 D90 は前立腺体積の90%に照射されている線量とのことです。

BED = (R/λ){1+[R/(μ+λ)(α/β)]}

R=D90*λなので、上記の式は以下のようになります。

BED = D90{1+[D90*λ/(μ+λ)(α/β)]} = D90+D90*D90*λ/(μ+λ)(α/β)

ここで、次の値をいれます。
D90 =120  λ= 0.693/60*24 (hに換算) μ= 0.693 α/β=2

BED = 120+(120*120*0.693/60*24)/(0.693+0.693/60*24)*2 = 124.997

表ではBEDは 125 となっているので、この計算でいい。



  • [15]
  • Brachytherapy: Where Has It Gone?

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 4月 6日(月)18時27分33秒
  • 編集済
 
American Brachytherapy Society (ABS) ガイドラインMartin氏他の論文を紹介しました。Google scholarで論文名で検索し、引用している記事、"Brachytherapy: Where Has It Gone? "をみつけましたので紹介します。

この記事はJournal of Clinical OncologyVolume 33, Issue 9 - March 20, 2015において Comments and Controversies として掲載されたものです。筆頭著者はPetereit, Daniel G.氏です。

Martin氏他の論文では、小線源療法は、National Cancer Data Baseの解析によると2002年に17%でピークに達し、2010年には8%まで着実に低下したとのことです。もうひとつ引用されている SEER database を用いて2004から2009年の約、182,000 人の患者に対して解析した Mahmood 氏他の論文、Declining use of brachytherapy for the treatment of prostate cancer. には以下のように書かれています。

2004年から2009年にかけて外照射単独の治療は 55.8% から 62.0%に増加し、小線源治療は 44.2% から 38.0%に減少した。(小線源単独治療は 30.4% から25.6%に減少し、小線源と外照射併用治療は 13.8% から 12.3%となった)


小線源治療の減少の理由として5つあげられています。

1. ロボット支援全摘手術の増加があげられる。2000年代初期に導入されたロボット支援手術以前には開腹手術が全治療法の44%を占めていたが、それ以降2010年には60%まで上昇している。(上記のMartin氏他の論文による)
2. IMRTやSBRT(体幹部定位放射線治療)や陽子線治療を含む外部照射に関して技術向上があった。前立腺がんに限っていえば、過去10年間、2000年0.15%から2008年95.8%に上る通常の外部照射治療からIMRTへほぼ完璧な移行があった。
3. 制度に関わることなので、省略。
4. 不運な臨床結果に結びつく低品質の小線源治療手順の否定的な報道があった。
5.放射線腫瘍研修医の前立腺がん小線源治療の訓練量が十分ではなかった。


「小線源治療は患者のために最も費用効果に優れた治療であり、尿路症状の副作用も少ない治療である」と書きつつ、以下の文で終わっています。

Unfortunately, current trends in use raise the unsettling prospect that prostate brachytherapy may soon be available in only a few select centers in the United States.


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [14]
  • American Brachytherapy Society (ABS) ガイドライン

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 4月 1日(水)18時31分51秒
  • 編集済
 
小線源治療数上位病院をまとめるためにいくつかの病院のサイトを確認してきました。各サイトの小線源治療の適応は異なっています。
American Brachytherapy Society (ABS)Brachytherapy Guidelinesページよりガイドラインをダウンロードしました。

画像で示す表4に小線源単独か外照射を併用するか、あるいは更にホルモン治療を加えるかリスク分類毎にまとめられています。

このガイドラインは2012年に改訂され、以前のものは1999年制定です。
American Brachytherapy Society (ABS) recommendations for transperineal permanent brachytherapy of prostate cancer.として公開されています。
旧版のfull textもダウンロードしました。

以下のように書かれています。

Brachytherapy as Monotherapy:
Stage T1 to T2a and
Grade Gleason sum 2-6 and
PSA < 10 ng/ml

Brachytherapy as a Boost to EBRT:
Stage Clinical T2b, T2c or
Grade: Gleason sum 8-10 or
PSA > 20 ng/ml

2012年版ではT3aも含まれたということのようです。

Martin氏他 1) はNational Cancer Data Base を用いて米国における小線源治療の割合を見出しました。すなわち、NCCNリスク分類できた2004年から2009年の患者、719,789人の割合は以下のとおりです。

・低リスク  41.1%
・中間リスク 35.3%
・高リスク  23.6%

同論文において次のように小線源の治療数の推移をいっています。
1998年から2010年の患者1,547,941に対する研究で、小線源治療は、2002年に16.7%のピークに到達し、 そして着実に減り、2010年には8%の低さとなりました。

米国においては、高リスクで、小線源治療を選択する人が多いといえます。また、2002年のピークの翌年より日本では小線源治療が始まったということです。

小線源治療数、手術治療数推移 2007年から2013年で2007年から2013年の小線源治療数の推移を見てみました。
必ずしもすべての病院が増えているわけではないことが分かりました。本家の米国においても必ずしも右肩上がりの上昇ではないので、日本においては、やむなしといったところでしょう。

1) Martin JM et al. Cancer. The rise and fall of prostate brachytherapy: use of brachytherapy for the treatment of localized prostate cancer in the National Cancer Data Base. 2014 Jul 15;120(14):2114-21.


http://flot.blue.coocan.jp/cure/


  • [13]
  • 小線源治療 木村先生の論文

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 3月21日(土)18時48分41秒
 
久々の小線源治療の論文の投稿です。

Mid-term outcome of permanent prostate iodine-125 brachytherapy in Japanese patients.の論文の概要を示します。

・筆頭著者はTakahiro Kimura (木村高弘)先生であり、慈恵医大に所属
・2003年から2010年の患者604人が対象
・低リスク 219人 (36.2%)、中間リスク 361人 (59.8%)、高リスク 24人 (4.0%)
・neoadjuvant治療は 260人 (43%)、adjuvantホルモン療法は45人 (7.5%)、外照射は75人(12.4%)に実施

8年PSA非再発率は以下のとおり
・低リスク  89.9%
・中間リスク 79.4%
・高リスク  52.5%

低リスク/中間リスクと比べて高リスクでのPSA非再発率は低いといえます。

http://flot.blue.coocan.jp/cure/bdfs.html


  • [12]
  • HDR治療、石山先生の論文

  • 投稿者:
  • 投稿日:2015年 3月18日(水)18時06分24秒
 
今まで、HDRに関する論文は多くは紹介してきませんでした。
今回、北里大学石山博條先生の論文を紹介します。

High-dose-rate brachytherapy and hypofractionated external beam radiotherapy combined with long-term hormonal therapy for high-risk and very high-risk prostate cancer: outcomes after 5-year follow-upであり、概要は以下のとおりです。

*2003から2008年までの178人(内訳 NCCNリスク分類で高リスク:96人、超高リスク:82人)
*HDRは平均D90 PTV線量: 6.3Gy/1分割 を5回実施、また、外照射は1回3Gy を10回照射(計30Gy)
*ホルモン治療はすべての患者に術前に6か月以上、外照射の後に3年実施

NCCNリスク分類による5年PSA非再発率は以下のとおり。
・高リスク  97.8%
・超高リスク 81.9%

PSA非再発率のグラフは以下のとおり。

PSA非再発率のグラフ

http://flot.blue.coocan.jp/cure/